平穏な暮らしは突然破られた。 男を引き戻す非情な世界。
前作で「トレッド・ストーン」の悪夢を振り払ったジェイソン・ボーン(マット・デイモン)に再び悪夢が襲い掛かる。前作でマリーのいるインドゴアに隠れ住むことになったボーンは悪夢にうなされていた。その頃CIAの公金横領に関わる情報をもつ情報屋とのコンタクトを指揮しているパメラ・ランディ(ジョアン・アレン)しかし何者かがその接触の妨害、連絡 員と情報屋を殺して逃走。不発の仕掛けられた爆弾からボーンの指紋が!そのころゴアにその殺し屋(カール・アーバン)が現れた。見かけない顔を目撃し危険を察知したボーンはマリーとともに逃亡しようとするが・・・・・・。
という冒頭からのシーン。けっこう凄いよ、これは。デイモンが凄腕のキリングマシーンに見えるかどうかは置いておいても21世紀にもこのようなスパイサスペンスアクションが作れるってことは前2作と合わせて証明できたなあという意味ではたいしたもの。まさに世界を又に掛ける007ばりな舞台転換もいい感じ。だけど地味なスパイアクションで終わらせないようにきっちりカーチェイスシーンを盛り込んできているところはやはりハリウッドなんだな。まあ監督は後述するがイギリス人なんでそこかしこにイギリス風味が出ていた。そこがあんまりぱっとしないという人もいるかもしれん。先に凄腕に見えるか?って書いたけどそういう風に見せる努力をちゃんとしている。例えば体の運びとか。(関係ないけど昔白土三平の「サスケ」では忍者がお百姓に化けていてもその足の運びで見破ったりしていた描写があった。)
前作ではコンクリンの上司アボット(ブライアン・コックス)やコントローラーのニッキー(ジュリア・スタイルズ)、そしてボーンを信じて彼を理解している マリー(フランカ・ポランテ)も続いて出演なので前作を観たほうがそのつながりを理解できるところはちょっとマイナス要因ではあるがそれが重要な鍵になる ので観た方がいいと思われる(苦笑)あとジョアン・アレン。これは儲け役でしょう。いい感じでした。カール・アーバンはヒゲと長髪じゃなかったから「エオメル」とは解らんかったなあ(笑)監督はポール・グリーングラス。調査専門のジャーナリストとしてのキャリアを持ち、MI5(イギリスの防諜組織)のスキャンダルを扱った「スパイキャッチャー」を発表したこともある。この本はイギリスでは発禁処分を受けた。そのあと「血の日曜日」を題材にした映画「ブラディ・サンデー」を発表した。その性かもしれないけれど揺れるカメ ラワークや抑えた色調などは「フレンチ・コネクション」にも繋がる系譜を持つ(それは作品の撮り方として)そして物語の持つ硬い感じは先に書いたがイギリス人らしさが 漂っている。めちゃおもろいでとは言わないが好きな流れの作品だ。
※ブログに書いたエントリを加筆修正しました|「ボーン・スプレマシー」短評 : web-tonbori堂ブログ
原作/A・J・クィネル「燃える男」 監督/トニー・スコット 脚本/ブライアン・ヘルゲランド
キャスト|クリーシー:デンゼル・ワシントン ピタ・ラモス:ダコタ・ファニング ポール・レイバーン:クリストファー・ウォーケン
ミゲル・マンサーノ:ジャンカルロ・ジャンニーニ リサ・ラモス:ラダ・ミッチェル サムエル・ラモス:マーク・アンソニー
マリアナ・レゲロ:レイチェル・ティコティン ジョーダン・カルフス:ミッキー・ローク