MOVIE-tonbori堂

レジェンド・オブ・メキシコ/デスペラード

MOVIE-tonbori堂Vol.36「レジェンド・オブ・メキシコ/デスペラード

その男は硝煙に包まれ ギターの調べとともに現れる

ロドリゲスの「エル・マリアッチ3部作」を飾る最終章。ということになっているが前作とのつながりはない。言うなればマカロニウェスタンの「用心棒」シリーズみたいなもの。筋もあってないがごとくだが流しのエル・マリアッチが軍を牛耳るマルケス将軍の愛人をできてしまって逃亡するが彼女と彼女との間にもうけた子供を殺されて失意の日々を送っていたところに左遷も同然のていでメキシコにきたCIAの悪徳捜査官サンズがクーデターを画策する将軍を大統領を殺した後暗殺をしてくれと依頼する。「腕のいいコックは殺す。そうやってこの国のバランスを保つ」とうそぶくサンズ。このあたりはデップの真骨頂で主役バンデラスを喰うほどの演技。実をいうとこれ以降というかこれさえも怪しいがバンデラスとデップはほとんど絡まず携帯での連絡のみで主役級の2人が別々に活動する。ここらへんは割と批判の的でもあったようだがロドリゲス節は健在でアクロバティックな銃撃戦を見せるシーンはただただ感嘆。あとおきまりの裏切りなど詰め込めるだけの要素は全部ぶちこんでいるごった煮も彼の作風も健在。しかし分別くさいマリアッチより悪党なのにその独特な美学で見せるサンズのほうがかっこよく見えるのはご愛嬌かそれともデップの力か。終盤絶体絶命のピンチに立たされるサンズだがまたまた美味しいところをさらっていくに至ってはこのえいがの主役はいったいどちら?と思ってしまう。バランスはひどく欠いているがそれでも怒涛のアクションで押し通すところがロドリゲス流(笑)仲間のマリアッチ軍団も今回個性が出てきて面白かった。ただ前回の方がバンデラスとサルマ・ハエックの映画だったことを考えればちょっと今回は散漫な印象を受けてしまう。悪党にデフォーのような芸達者を持ってきているだけに残念。ちなみに原題の「ワンスアポンナタイムメキシコ」はマカロニの大御所セルジオ・レオーネへのオマージュです。

監督/脚本 ロバート・ロドリゲス

CAST|エル・マリアッチ/アントニオ・バンデラス カロリーナ/サルマ・ハエック ビリー/ミッキー・ローク アヘドレス/エヴァ・メンデス

ククイ/ダニー・トレホ ベリーニ/チーチ・マリン ラミレス/ルーベン・ブラデス ロレンソ/エンリケ・イグレシアス フィデオ/マルコ・レオナルディ

サンズ/ジョニー・デップ バリーリョ/ウィレム・デフォー