秀吉のキリシタン弾圧
秀吉のキリシタン弾圧
信長の時代にフランシスコ・ザビエルを始め多くの宣教師が来日し、キリスト教会が建てられ、多くの人々が改宗し信者になりました。九州では大名がキリスト教に改宗しキリシタン大名といわれました。
しかし秀吉が天下を取ってからはキリスト教が禁教になり、キリシタン弾圧が始まり、徳川家康に引き継がれ、家光のときにキリスト教は完全に日本から排除されました。なぜ秀吉がキリスト教を弾圧したか私たちが学校で教えられた理由は、キリスト教の教え,神への絶対的な信仰が為政者による民衆支配の妨げになると権力者が考えたからと言うことでした。
ヨーロッパ中世の時代、神聖ローマ帝国がキリスト教を国民支配、世界支配の手段にしていたのに、つじつまの合わない論理です。ネットで語られている中に最も合理的な理由が一つありました。秀吉が九州平定をしていたときに、彼はキリスト教徒による仏教寺院破壊を目にしました。それよりも衝撃だったのは、多くの若い女性がポルトガル人の奴隷商人により奴隷として外国へ売られていくことでした。若い女性好きの秀吉にとって絶対許せせないことだったでしょう。
当時九州のキリシタン大名はポルトガル商人から武器を買っていました。鉄砲は種子島に伝来して以来日本人の刀鍛冶たちが国産で普及させましたが、弾薬は商人から買っていました。その支払いが高く、キリシタン大名は領民の若い女性を奴隷として差し出すことによって支払にあてたのです。現代の私たちから考えると奴隷として人を売り渡すことは、著しく倫理に反することであり、キリスト教の教えに絶対相いれないことです。
スペインがアメリカ大陸を侵略し、現地人を奴隷にして搾取していました。このことがローマカトリックの法王、枢機卿会議で問題になり、インディオは同じキリスト教徒であり、神の前に平等であるということで、奴隷にすることは禁止になりました。それからは、プランテーションの農場主は動労力を確保のために、アフリカの黒人奴隷を使うようなりました。アフリカの黒人は人でないという白人の論理からです。当時の彼らが敬虔なキリスト教徒であっても、人を奴隷にすることに良心の呵責を感じることはなかったようです。
いけないのはキリスト教の信仰でなく、奴隷売買ですが、秀吉はそれを一体のものと見たようです。このままでは若い女性だけでなくすべての日本人が彼らの奴隷にされてしまうと思ったかもしれません。
家康が覇者になってもキリスト教の禁教は継続されました。家康は鎖国でなく、海外との交易を奨励しタイ国では山田長政が国王になり、日本人町もありました。イギリス船の船長アダム・ウイリアムズを家康の家臣に迎え入れ,家康は彼から外国の情勢を聴き、キリスト教禁教を決定的にしたようです。彼の話によると、フィリピンでは最初宣教師によるキリスト教の布教が行われ,やがて商人が入り、最後に軍隊が来て国を制圧し植民地にされたということです。
家光の時代になって禁教を徹底するために、ヨーロッパの交易の相手国をオランダとイギリスに限定しその玄関を長崎の出島にしました。のちにイギリスは何のメリットもないと辞退しました。
江戸時代が終わり明治時代になって、九州長崎の隠れキリシタンは蘇り、多くの教会が建てられました。世界歴史遺産に登録されたことはご存じのとおりです。
さて日本のキリスト教徒の人口割合は戦後から最近まであまり変わらず5%と言われています。日本人の多くは無宗教に近く、正月は神社へ初もうでに行き、葬式は仏教で行い、結婚式はキリスト教会のチャペルで行い、クリスマスをクリスチャンでもないのに祝います。余計なことかもしれませんが、クリスマスはイエス・キリストの誕生日と関係なく異教徒の行事をとりいれたもののようです。
日本は偉大な先人たちのおかげで中世ヨーロッパ列強の植民地にされることがなく、日本人は彼らの奴隷にされなかったのです。
キリスト教とその聖書に欠陥があるのでなく、宗教を国や世界の支配、侵略、植民地化、奴隷支配、金もうけの道具や手段にしようとする人たち、宗教組織、国家に問題があるのです。
陰謀論によると世界的な宗教組織の中枢は権力欲に取りつかれた邪悪な人たちの巣窟になっており、彼らの最終目標は世界統一宗教、統一政府の実現であるといわれています。グロ―バル化の流れと同じです。パパ・ブッシュが現役の頃、New world order 新世界秩序と言っていたものです。
最初に世界人口削減計画が実行されて、ユダヤ系資本家と経済エリートが世界を支配し、それ以外のすべての人たちを奴隷化するというものです。
しかし、いずれの教会に属している人であれ、ほとんどの信者はまじめで、敬虔なクリスチャンです、そして人としても優れた人格者が数多くいます。これらのことについて神様は既にお見通しで善良な信者に警告を発しています。「わたしの民よ。彼女から離れ去って、その罪にあずからないようにし、その災害に巻き込まれないようにせよ。彼女の罪は積もり積もって天に達しており、神はその不義の行いを覚えておられる。」ヨハネ黙示録第18章4節5節
迫害されたキリシタン側のことに触れなかったが、小説は遠藤周作の「沈黙」が有名です。江戸中期の需学者新井白石著の自叙伝「折りたく柴の記」は読みごたえがある書です。アマゾンで購入できます。