ウンモ星人


宇宙人ユミットからの手紙”の本があります。UFOのこと、星間移動について、詳しく書いてあるに違いないと、期待して読みました。

この本は難解な科学の用語で書かれています。著者ジャン ピエール・プチ博士はMHD発電及びアエロダイナミックスの世界的権威であり、UFOのことはすべて熟知しているのに、なぜか肝心なことをぼかしています。地球製UFOを完成させる物理理論を持っているのに,“ブラックホールが存在するなら、UFOは存在しないし、その逆も真なりである”と読者を煙に巻いています。

ウンモ星人宇宙船の推進原理について磁気流体力学コンバーター誘導装置の説明があります。ソレノイドコイル、磁場、イオン化装置、上層イオン化流、下層イオン化流、プラズマ側壁、MHDエアロダイン等の用語があり。機体の周囲の空気のイオン化状態の変調と組み合わせた可変磁場によって揚力を得るとなっています。

ドイツ式円盤型航空機の推力要素、プラズマ電流(イオン電流)、ソレノイドコイルの磁力線によるプラズマ電子誘導、上下反対方向の磁場、と構成要素はほとんど同じです。

“イオン化と可変磁場の組み合わせによって、誘導効果による強力なガス流が生じ,機体の外側に対しては遠心性で、内側に対しては求心性を示す”とも説明されています。強力なガス流はプラズマのことでしょう。

“イオン状態の変調”とは、プラズマ(イオン)の流れに磁場を干渉させて、電流を発生させることです。そしてこれらと組み合わされた可変磁場の相互作用とは磁場出力を可変してプラズマ(ガス流)の流れを加速することです。

MHD発電は磁界に挟まれた空間に、高速プラズマを流し、その流れに垂直に置かれた電極に電流が発生する仕組みになっています。プラズマは高速移動の導体として働き、3本指の法則、ファラディの電磁誘導の法則により電流が発生します。この技術は“ユミットの手紙”から技術導入されたものです。MHD発電が普及しないのは電流を取り出す電極が錆び易いからです。

ウンモユミットの宇宙船は機体を囲うようにソレノイドコイルが配置されており、ジャーマンUFOと構造が若干違いますが動作原理は同じと言ってよいでしょう。ジャーマンUFOの概念図で、プラズマ流の向きが機体底辺で逆向きになっているがその影響は僅かでしょう。ウンモユミットの宇宙船はソレノイドコイルの分散配置によりプラズマ流の向きは一方向に統一されています。

UMMO Ummite の技術は米軍の戦闘機に使われていることは広く知られたことです。三角翼の航空機が有名です。ジェット機の補助エンジンとして使用されたもの、潜水艦、魚雷などもあります。米国だけでなくロシアでも開発されており、もしかするとその他の先進工業国でも研究開発がされていると思われます。ただしウンモユミットの技術、UFO技術と言ってはマッドサイエンス、SFと見られるから、MHD、磁気流体力学による技術と言います。したがってUFOの飛行原理はとっくの昔に解明されていたことになります。

ユミット宇宙船のイラストに反物質のストックが描かれています。これは反重力物質のことではありません、宇宙船の燃料です。ドイツ式円盤型航空機は燃料にガソリンを使っていますが、7ヶ月から数年を要する星間移動には使えません。現在宇宙ロケットの燃料は液体、固形水素、酸素そして無人ロケットに核燃料が使われています。核燃料は少量で大出力を長期間出し続けます。しかし人体、環境に著しい悪影響をもたらします。

反物質は宇宙が誕生したとき、物質と同時に生成されたと言われています。核燃料よりはるかに大出力で少ない量で長期間使用できる燃料です。理論上の仮説でなく、現在ごくわずかであるが生成できるそうです、しかし実際に使える量を生成するには至っていません。

現代、最先端科学で地球製UFOを作っても宇宙船になりません。直径8mの円盤型航空機を燃料積載量から航続距離を見積もると、地球1周がやっとでしょう。さらに乗務員の空気、水、食料の積載が必要です。ユミット宇宙船のイラストには、それらの収納スペースがありません。彼らは反物質から燃料だけでなく必要なものすべてを作り出しています。人類がこの科学技術を獲得するのは300年以上先でしょう。

“宇宙人ユミットからの手紙”は難解ですがドイツ式UFOの予備知識から、ユミット宇宙船の推進原理がある程度推理できます。ウンモ星人と著者は本当のことを地球人に教えたくないように思えます。

江戸時代1803年、茨城県大洗海岸沖に、異国の虚船が漂着した記録があります。当時の絵師が描いた絵が残っており、ウンモ星人のシンボルマーク。漢字の王のような 文字も書かれています。彼らは今から200年前に、UFOに乗って15光年の距離を半年余で地球に到達する科学技術を持っていたことになります。

現代、UFOの推進物理原理について、反重力発生装置、3点マイクロ波フォーカス移動、機体周辺時空変換、ゼロポイントX点移動等が提唱されています。しかしウンモ星人の宇宙飛行船は私達の理解を超える科学技術を応用したものではないようです。超科学理論は科学イマジネーションの産物で、謎が謎を生み、読者の好奇心をかきたて、本が売れる仕組みができているように見えます。それはビジネスであり、文化でもあります。