演歌
演歌
演歌は歌のひとつのジャンルになっています。演歌は浪花節から作られたとも言われています。中学生の時、音楽の先生が演歌について話したことを今でも覚えています。
“演歌は声楽と違って、歌手はのどから声を出す。声楽家は体全体から声を出す。演歌は世界に向けて恥ずかしい音楽であり、日本が世界に誇る音楽は民謡だけである。”
NHKラジオで、ある音楽批評家が、“演歌のルーツはシューベルトである”と笑いながら話していました。明治の開国で文部省はシューベルトの歌曲を学校唱歌に導入しました。一般の日本人にとって始めての五線音符に表示された西洋の歌でした。シューベルトの歌曲は覚えやすく、親しみやすいからです。
すべての日本人は学校でシューベルトの歌曲を歌いました。やがて日本人作曲家達は日本の歌、学校唱歌、童謡を五線音符で作曲しました。これらの歌は伝統的な日本の歌、民謡等を取り入れて演歌へと発展したのです。ほとんどの演歌は伝統的な楽器、三味線、尺八による伴奏より、オーケストラによる伴奏のほうが合います。演歌は五線音符で作曲されており、ご存知のように、カラは歌声なしの意味で、オケはオーケストラのことだからです。
実際には、喉を絞って高い音を出すことは難しいことです。背筋を伸ばして、顎を引いて、声を体全体から出すようにしたらどうでしょう。テノール歌手やソプラノ歌手でないなら、高い声を出す時はファルセット(裏声)を使いましょう。ただし高い声へ移るとき不自然にならないように、曲から外れないようにしましょう。
水森かおりの“庄内平野 風の中”は名曲です。山形県新庄市を基点に、南に出羽三山{月山、羽黒山、湯殿山}、北に鳥海山、西に“つるし雛”で有名な酒田市、東に最上、最上の赤倉温泉から一山越えて南下した山間に、大正ロマンあふれる建物群の銀山温泉があります。最上川に潤された田園が広がる庄内平野がこの歌の舞台です。映画“送り人”の舞台でもあります。悲しく涙を誘う美しい詩で、感傷的な歌になるところを、水森かおりが感情をこめて力強く歌い、庄内平野の情景が伝わってくる感動的な歌に仕上がっています。浪曲調でない、力むのでない、こぶしを利かすのでない、本来歌はこうあるべきでしょう。
”君影草スズラン”の歌は川中美幸の歌であったようですが、水森かおりが歌っています。川中は演歌ポイこぶしを利かした歌い方ですが、水森は癖のない歌い方で、このほうが高度な技能が必要とされます、そして昭和歌謡曲風の郷愁をうまく表現しています。