唐津くんち十二番曳山、京町『珠取獅子』
唐津くんち十二番曳山、京町『珠取獅子』
■制作過程 ※制作期間:2017年10月~2018年10月
粘土型の骨組み作成開始。今回は形だけでなく見取り図も合わせて肉付けに備える方式をとってみました。
出来るだけ粘土の量をおさえ、忠実な造形の為、出来るだけ立体的に骨組みを作っておきます。
大まかな肉付け完。これからが巻き毛等の細かい造形です。出来るかなー。。。
ほぼ荒く造形完。ちょっとお尻が小さい印象。。。図面通りのはずだが。。。ここらへんがミニチュア化の難しいところ、あとは写真とにらめっこし、勘の勝負で微調整です。
素形をやりなおした結果。採寸もきっちりやり直したところやはり頭がかなりでかくなっていました。頭をかなり小さくしました。
和紙を貼っていき、俗に言う張子を形成。珠取獅子は巻き毛等表面造形が多いので厚く貼ると溝が消えてしまうので、可能な限り薄くしてみます。
ぱっかん♪抜けました♪今回油ではなく界面活性剤を塗布したら簡単に抜けました。但し限界まで薄くしたらまるで蛇の抜け殻並みの薄さ、脆さ。。。内側に貼りを加え厚くします。
可動、取り外し部を切り離し、素組みし、作成中の台車と合わせてみます。良い感じ♪ ところが次の工程が頓挫。。。
表面細工。紙厚が異常に薄かったので下地を塗っては硬化、塗っては硬化を気が遠くなる程繰り返しました。そして巻き毛等の凹凸を深くシャープにする為削り始めると凸凹が多く細かい為、紙を張り重ね乾燥させる際収縮し、パイ生地状になり削れば削る程空洞にぶちあたります。これを埋めながら削りながら。。。
例えると黒部トンネル工事の破砕帯です。。。
内面細工。表面同様下地を塗っては硬化、塗っては硬化。おまけに前回お願いで書いた様に内面の資料写真が乏しくやっとここまで。もう諦めかけてたところに救世主降臨!次の次の写真で説明します。
本体の細工で煮詰まったら気分転換に台車を作成。ただ台車も細かい部分の資料写真が乏しく、ここは強度的にこうなっているに違いない的な想像が入っています。ただ工学部出身、祖父が仏壇職人の血のせいか台車はすこぶる上手くいっています。
前述の救世主は同級生のK井君!なんと曳山の内部をつぶさに画像、動画を撮ってくれ、それぞれの撮影部までpdfにしてくれました♪もうマジで涙もの。ただここからやりなおしが。。。ここまでしっかり送ってくれた以上、私はそれを再現しなければとの使命のもとバリバリ剥がし、削り、内部をやり直し。ホント有難うね♪
これが『破砕帯』修復の状況です。これをパテとか紙粘土でやれば全く問題ないのですが、出来るだけ忠実にすべく木屑粘土で隙間をミリ単位で埋めては固め、そして削りの繰り返しです。
なんとか左右貼り合わせ実現。珠取獅子君は結構お口が小さいので口腔の塗り、金箔(フィルム)を済ませて張り合わせ。同時に心棒もセットし台車に仮組。
この尻尾の開口部が結構難関でした。機構的には協力者の多くの画像ですんなり行ったのですが、蝶番部の位置合わせと収めこみで何度もやり直しが。。。
可動部その2、後部より。よく考えられてます。これを設計した人達の苦労も忍ばれます。
そしてなんとか『破砕帯』を突破。遂に塗りに突入です。既に終わっている口腔部をマスキングし下地塗布。色は発色が悪いので青っぽくなっていますが『鳳凰丸』の緑での実績にて、そんなに違和感なく発色し塗れると信じています。
黒を塗る為のマスキング。ミイラ珠取獅子(笑)。ただここで新しく採用した曲面用のファイバー製マスキングテープが漆にあまり粘着せず大変な事に。。。
赤、緑、黒の塗り分けほぼ完。しかし判ります?マスキングが境目の溝で浮き結構な箇所で浸食が。。。これから面相筆を使い老眼と戦いながら浸食箇所の修正です。。。
そして遂に金箔(曲面追随フィルム)貼り開始。あれ?なんか思ったよりうまく行きます♪巻毛も何度も分割してやるとうまく行きます。
徐々に金箔貼りは進みます。しかしここにきて緑が薄いかな?と気になりはじめています。しかしこれから塗りなおすと思うとぞっとするし。。。まぁ写真はガンマ補正かけてるので実物より薄い色になってはいるんですが。。。
ほぼ金箔貼り完。まだ黒目は入っていません。けっこううまく貼れたんですよ、肉眼では。。。いまさらですが写真ってあらが目立つんですよね。。。
台車。ろくろと滑車に紐通し完。あとは曳綱を付けるくらいです♪(梶棒は外してあります)
満を持して黒目を入れ開眼♪ところが黒目を入れてルンルン気分で珠の金帯を入れようと思ったら採寸ミスと後足を強調しすぎた関係で位置が定まりません。珠の下部の白い部分を急遽補正。。。説明は次写真で。
説明しよう。後足を強調する為、実物よりちょっと大きめにしました。また珠の後部が採寸ミスで高さが低くなっていました。そうすると写真黒線のあたりに金帯が入る感じなのですが実物は金帯に後足はほとんどかかっていません。やむなく珠の高さを稼ぎ黄線になる様にしました。。。やはり実物との乖離はリトル竹崎が許しませんでした(苦)。。。また微調整だぁぁ。。。
珠後部かさ上げ完、金帯入れました。金の面積が広いので、奮発して金沢本金箔使用フィルムを使用しました♪ 良い感じ♪
飛行機プラモの老舗ハセガワの『金箔フィニッシュ』。ちゃんと石川県箔商工協会のおりがみ付です。巻き毛の金はきらめき重視で『ゴールドミラーフィニッシュ』を使用しています。
判るかなー?。。。中央のコンセントの様な部分、心棒の振れ止めです。鳳凰丸の振れ止めの構造にも感動しましたが、これもよく考えられています。
尻尾後部開閉の為の蓋の蝶番完。これも出来るだけ小さくする為、鯛山でやったヒンジ方式も検討しましたが、やはり目立つところなのでアクセサリー用の番線細工で。縮尺的には大きいけどこれが限界。
そうこうしてると、なんと心棒基部破損!実物はホゾとボルト止めのはずですが、破損したものはホゾとアルミ材ボルトを使っていて細工時のぐらぐらに耐え切れず、ホゾもろともポッキリ!。。。急遽強化心棒作成。ホゾは小さすぎて逆に脆くなるので数段太いステンレス材に紙を一重巻き漆で固めました。これで耐えられるはず。