唐津くんち三番曳山、材木町『亀と浦島太郎』
唐津くんち三番曳山、材木町『亀と浦島太郎』
■制作過程 ※制作期間:2019年10月~2020年10月
まずは粘土型の骨組み作成です。こんな感じで表面近くだけ粘土を盛る様工夫します。なんかポリゴン的で『メカガメヤマ』みたい(笑)
そして骨組みに木屑粘土を盛って行きます。図面に平面図が無いので甲羅、尻尾は勘に頼らざるを得ません。。。この後気の遠くなる様な微調整が続きます。。。
台車は毎度の事で手慣れてきました。亀曳山は材木町という事で丈夫で立派な樫材がふんだんに使われています。模型用樫材が手に入りにくいのでチーク材で代用しました。亀曳山は長さ、幅もあり重量があるので二本心棒。従って鞘柱も二本です。
亀曳山の手足は本体に密接し、加飾が出来ないので分割方式を目指します。アルミ番線をそれらしく曲げ、粘土を盛る為麻紐等を巻き下地とします。なんかビジュアルは気持ち悪い(笑)
そして粘土を盛り、爪を付け本体に仮組し整えて行くのですが、まぁこれが難工事。ちょっと角度が違うって事で崩してやりなおし、大きさがおかしいって事で崩してはやりなおし、、、崩したり、削ったりでテーブル(ダイニング)も床も土埃にまみれ。。。怒られません様に。。。
やっとそんなに違和感のない素型が仕上がってきました。ここから尻尾と甲羅の凹凸、顏、手足の細かい造形にかかります。
まずは尻尾と甲羅にヒノキ材で凹凸を形成、木屑粘土で段差をなだらかにし、削り込んで自然に仕上げていきます。
甲羅の細かいとこホント大変です。また、合わせて顏と手足の造形もほぼ完了。また写真にはありませんが、新兵器『コードレスミニルーター』投入。格段にスピードが上がりました♪
台車はこんな感じ。車輪の錆の再現がいまいちうまくいきませんでした。。。材木町の台車にはこれでもかとばかりボルト、鋲で強化武装(笑)されています。まるでマッドマックスに出てきそう(笑)
さあて、満を持して紙貼作業へ突入。ある程度予測はしてましたが、尻尾、甲羅の凹凸で紙が縮みパイ生地状に。まぁ想定内、割って湿らせ潰して隙間を無くしながら貼り込んでいきます。
ぱっかん♪抜けました。パーツを分けて抜いたのですが、なんだかすっぽんの解体後みたいで怖い。。。
亀曳山はとんでもなく強固に内部補強が施されています。後の写真で判ってもらえると思います。甲羅内部はきちんと文様が移りました♪良い感じ♪
黒漆を施す前の内部。これでも心棒接合柱と古民家ばりの梁がない状態。戦車か潜水艦の内部ばりですな。
内部補強、黒漆塗り完♪ここまで再現出来たのも、この曳山町内のO君のおかげです!ホント有難う♪ あ、彼はFBやってないか。誰か見せてあげてお礼言ってたとお伝えください。
さて問題です。これは何でしょう?実は手足の爪です。ぶっとい状態からコンマmm単位で削り込んで形成します。ちなみに本物も本体は紙胎、爪は木型とあります。
首接合♪この内部接合部を写真から読み解くのにすごく時間を要しました。
外側接合もなかなかうまくいきません。。。変形等でうまく接合しないところを木材で埋めて補強します。本物の目玉は内側からガラス玉をはめ込むのですが、さすがに難しいので外側からのはめ込みを試みます。牙、舌も未装着の状態。
爪をホゾで差し込みほんとに微妙にコンマmmずつ削り込んで形成していきます。そら時間かかるわ。。。
もろもろ本塗り前のパーツが揃ってきたので仮組して台車に乗っけてみた。なんとなく印象が違う。。。ここからですよ本番は。
説明しよう♪ 石目地塗は頭や手足、梨子地塗は甲羅の外側。前者は石目地粉(乾漆粉や炭粉)を蒔き、凸凹に仕上げる技法、梨子地塗は梨子地粉(金粉や銀粉)を蒔き、透き漆で仕上げる技法です。
さて、塗りのスタートは赤漆から。頭に石目地塗を施すので先に仕上げてマスキングする必要があります。なんか顔がホラーに(笑)
特殊塗りは初チャレンジなのでテストピースで技法と仕上がりを試します。石目地粉を何にするか?が難航。木炭の削り粉、鉛筆の芯の削り粉、鋸屑、金属削り粉、、、最終的に一番しっくりきたのは砂。園芸用の川砂をお菓子作りのふるいにかけ、粗目と細目の2種でテスト。画像では分かりにくいですが、細目を採用♪
漆に浸った石目地粉が飛び散ると大変な事になるので、入念にマスキング。既に黒漆も入っています。緑は本塗下地。ラップがかかるとなんか変な印象(笑)
石目地塗の乾燥時間を使って(浦島)太郎の制作。多分本物は人形師さんが胴体は針金に藁を巻き、布で覆った胴体芯のはず。ほぼ同様に制作していきます。な、なんか怖っ!呪いの人形やん!(笑)
怖っ!頭も手も怖っ!でも見て、どちらも1cmに満たない大きさ。細工も至難を極めます。頭は木材削りだし、手は5本指を番線束ねてそれらしく曲げ塗料コーティング。
そうこうするうち石目地塗完成♪ ちょっと目地が粗いですがプラモ同様これくらい粗くしないと印象が薄くなります。(もう一息細かくても良かったかな?。。。)まぁ自分では気に入っています♪
こちらは梨子地塗テストピース。実際が梨子地なら1/30縮尺では相当細かい粉と粒度が必要。蒔きではどうしても上手く行かず溶かし込みで塗ります。少し赤を溶かした透き漆でトップコート、良い感じ♪
幕吊り枠前部の波頭飾り。これは白漆の上に銀粉を蒔いた状態。これでばっちりなのだが、やはり止め漆で残念な結果となり、模型用クロームシルバーに落ち着いてしまいました。。。残念。。。
台車後部、太鼓を置く台作成中。これまでは真鍮線を瞬間接着剤と漆で固めるやり方で多少強度に難があったのですが、今回は限りなく細いニューム(アルミ)管とアクセサリー用のピンを釘にしてがっちり組みました♪
さて、本塗も済み満を持して箔押し開始。これまでは高価な本金箔フィルムをケチって面積の広いところだけ使っていたのですが、今回は全ての金飾に使用する事にしました。
怖い!ほら怖い(笑)浦島太郎さんの頭部細工中。模型用のフラット(艶消し)塗料に胡粉代わりの砥の粉を混ぜ肌を塗り、髪の毛は極細糸を両面テープに並べ再現。まだひっつめ髪なのでカットのうえ鬢付け予定。
亀さんの舌は、既に作成、装着済だったのですが、どうも口の空き方と舌の長さが気にくわなかったので閻魔さんの如くペンチで舌を引っこ抜き(笑)加工しなおしました。
ほぼ箔押し完。そして手足を装着。本金箔は最初ぎらつきが目立ちますが、しばらくすると漆に馴染み渋い輝きに変化します。
写真では加工もしているので判らないですが、金箔が馴染んできた状態。透き漆でのトップコートも完了。後は肌の金色ぶつぶつと目玉とその周りの彩色です。
「クッキーモンスターかっ!」とツッコミが出そう(笑)亀さんの目玉です。右目が若干下向きなのでこんな感じに♪ 本物はガラス玉に彩色し真綿を詰めてあるのですが、さすがにそこまでは。。。木製で白漆、瞳と血走りはデカールにし、模型用スーパクリアでガラスっぽくコートしました。
浦島太郎さんの着物はちゃんと型紙を取り布にアイロンプリントし仕立てようと思っています。どうも嫌な予感がしてこの状態から先に踏み込めません。。。
そして着物を着ていない太郎さん(笑)顔は1/35人形改造でぶいぶい言わせていた私にかかれば1/30なんてお手の物なのだが、似せるのは至難の業なので、本物の顔画像を取り込み加工してデカールに。しかし何回貼りなおしてもどっちかの目が歪む。。。もう諦めてこれでご勘弁を。。。
亀さんには、目玉がはまり、尻尾先端の滑車が付き、幕釣枠が付きました♪ ちょっと目の印象が気に食わないのですが、これで決定。最後にちょっと微調整するかな。。。(目玉は口から針等を差し込み、抜く事が出来ます♪)
先日泣きついて、様々な方々から資料画像を提供いただき、幕データ作成完了♪ ホントに本当に有難う御座いました!幕画像が2つあるのは何故?まぁ完成記事を乞うご期待♪
太郎さんの袴。どうやら太郎さんは袴を2種類お持ちの様です。ゴージャスな方を作成。亀甲柄は近いものを無料素材からゲット。(ちょっと花弁が違う。。。)まぁ良い感じ♪ 裾の指貫(?)はガタガタ(笑)まぁいいや。
亀曳山の心棒の滑車はちょっと変わっています。他の曳山は二つの滑車が両側にあってそれを鉄棒で繋ぎその上に心棒が乗っかる形。構造は想像するしかなかったのですが、構造上こんなんかな?と。ひょっとしたら側面差し込みではなくL字を材の中心に叩き込んであるのかも?まぁいいや。
台車には滑車が付き、縄通し完。他の金輪類、竿立て金具。鐘提げも装着。何故か鐘提げは鞘柱両側に?利き手別かな?
縄の巻き上げ等の細工によく使う技、縄に見立てた紐、糸をびっちり並べタイトボンドを薄く溶いたもので固めます。応用としては御簾にも使いました。今回はステンレス線を仕込み亀の左右の固定縄に応用しようかと。うまく行くかな?。。。
さて問題です。この小さい謎の物体は何でしょう?。。。そうです玉手箱です♪ この小ささでちゃんと箱に仕立て(開閉可)漆塗です。もう病気を自覚しています(笑)
ついに太郎さんにお着物をお着せしました♪ 袴の着付けも限りなく忠実です。(弓道部で経験有)背景は幕作成時に荒い画像をトレースしたスキャン画像ベースです♪