唐津くんち一番曳山、刀町『赤獅子』
唐津くんち一番曳山、刀町『赤獅子』
■制作過程 ※制作期間:2018年10月~2019年4月
赤獅子は教育委員会が採寸した図面がしっかり多数揃っています。有難い事に上面投影図も♪これらを基に粘土型骨組みを作成します。もうこのあたりの手順は確立されました♪
厚紙骨組みに木屑粘土を盛って行きます。文献を見ると、角、耳、牙は木組みとあり、粘土型に角は要らないのですが、バランスを見る為に付けました。
今回の重要なテーマは作成効率を上げる事。粘土を少し盛っては硬化させる待ち時間を使って台車作成も並行させます。台車はもはや手慣れたもんです♪
角の木組みも並行し作成します。本物は漆、金箔で覆われてどういう木組みをしたか不明ですが、おそらく大工仕事としてはこの様な構造であったはず。と思いをはせながら♪
そうこうするうちに粘土型がほぼ完成。別に木組みで作っている耳を仮組。どうも本物は鼻の穴がもすこし大きい印象。採寸通りなんですけどね、やっぱり赤獅子の鼻の穴は良い意味でインパクトありますからね、余計大きく感じるのでしょう。張り子にした後で微調整する事としましょう。
台車も着実に出来ていきます。台車の平板の押さえ材(中が空いた障子の桟状の物)は前回の珠取獅子で苦労した分ノウハウが出来、問題なく出来ました♪
粘土型への紙貼り。前回の珠取獅子の巻き毛で発生したパイ生地化現象を教訓に、今回は貼る紙を大きくぜず、特に凸凹の部分は5mm角ぐらいに紙をちぎり何度も何度も貼り重ね、押さえつけながら紙の収縮による浮きを防ぎます。写真は下顎を外した状態。
ぱっかん♪抜けました♪前回限界まで薄くし、後で貼りを厚くしていったのも失敗の原因でした。今回は出来るだけ厚く貼り抜いたおかげで内側のモールドもばっちりです♪ただ抜く時に粘土型は少々損傷しましたが。。。
抜いた張り子をより強化する為の下地を染み込ませます。これも前回は漆で固めたりしてみたのですが、固くなりすぎて研磨、加工しにくくなるのと、本塗の下地が乗らないのとでタイトボンドと水彩絵具(白)を混ぜ、水で薄く溶いてひたすら染み込ませていきます。併せて木型で作成した角と耳に紙を貼り強化下地を塗布し、獅子頭内側の強化木材を入れます。
本塗に備え下地を乗せます。これは今までの経験で濃いめの水彩絵具を厚く塗り、指やティッシュで磨きます。これにより細かい粗さを埋める効果があります。巻き毛が白いので赤くコーティングされたケーキに乗ったホイップクリームの様です(笑)
角は金箔フィルムを押す(貼る)予定なのですが、下地は漆の代わりに鳳凰丸で使用したクレオスのスーパーメタリック:スーパーゴールドを塗布。丁寧に塗って磨きあげると結構なクオリティなのですが、やはり金箔フィルムにはかないません。
皆さん知ってますか?赤獅子の顎は開閉しますし、舌もあるのです。他の曳山では別パーツを紐で固定したりしてたりするのですが、最初に出来た赤獅子はこの様な造形です。
台車の大工仕事もほぼ完。獅子の台車は手摺が多いです。縮尺により結構細く、これまでの数々の破損の教訓により可能な限り強化します。各手摺はホゾ組みし、なんと細い材にはピアノ線が通っています。ほとんど病気の域です。また、写真には写っていませんが車輪の鋼輪は鯛山以来の赤錆仕様です。
本塗りはほぼ完。後は金箔押し(貼り)です。も少し凸凹を取りたかったですが箔押後の透明漆のトップコートでも多少改善するので妥協しました。
これは後頭部の竹籠の土台です。さあここから地獄の試行錯誤が始まります。竹籠など頭髪を付ければまともに見えないし、針金でも全く問題ないのですが、もうホント病気の域で『人工割竹』を作成する事にしました。。。
『人工割竹』は、厚紙にピアノ線を挟み、Rを付ける為アルミ線に巻き、硬化下地を塗布しマステで固定。その後硬化の方法も散々試行錯誤を繰り返し、良い感じで割竹風になったのですが決定的に縮尺がおかしい!根本からやりなおし!
ピアノ線を挟む紙の厚さを半分以下にし、巾も半分以下に。しかしRを付ける事は死守。なんとかここまで細く出来ました。これだけで半月以上かかってます。。。
どおすか?接着にてここまで。良い感じでしょ?ピアノ線のおかげで割竹同様弾力も十分♪色目も枯竹っぽいでしょ?
パーツの充実度も上がってきました。ただリトル竹崎が『竹籠は白布で巻き上げてるでしょ?』と何度も何度もささやきます。。。
はぁ。。。やりましたよ。俺やったよ。100箇所程白布で巻き上げましたよ。最初はリアルに布でやり始めたんですが、縮尺感が良くないので不織布に変更。良い感じ♪
獅子の面の塗りが完了したので、箔押しです。巻き毛は前回制作の珠取獅子でノウハウが蓄積されすごく順調です♪
獅子の面と後頭部の竹籠は別々になっていて、紐や布で結わえ付けられています。そこでリトル竹崎がささやきました。『簡単に外せる様に出来んじゃね?』そこで知恵を絞り紐を巻きつけた膨らみに強力磁石を仕込んで着脱出来る様にしました。
これがカチリと磁石がくっついたとこです。強力磁石の大きさの関係で、とても紐や布の巻きつけには見えないし図太くなってしまいました。。。でも画期的でしょ♪
獅子の面の箔押し完♪やはり寄ると粗さが目立ちますが、遠目で見る事、薄目で見る事、眼鏡を外して見る事が決まりです(笑)
さて髪の毛の素材選定に難儀しました。。。アクリル糸、毛糸、細いもの、太いものをバラしたもの、サンドペーパーで毛羽立てたり、揉んだり。。。いくつもの試行錯誤と不要の黒糸が貯まってきた時、ふと閃いて化繊の厚手布の横糸を解いてみると、なんと良い感じ!ストレッチ素材だったので縮れ具合もばっちり♪ 絡み合わずシャラシャラしてるので、ちゃんと髪がなびきます♪
角の箔押し完♪え?この縦線はなんだって?知らん知らん。。。金箔フィルムは本金箔をフィルムに貼ってあり、重なりでどうしてもこうなります。。。勘弁してー。遠目で見てー。。。
満を持して髪を竹籠に結び付けていきます。髪は人間同様薄い所はエクステ付けて、段付けて、シャギーを入れてます。子供の髪をカットしてた頃を思い出しました(笑)