唐津くんち六番曳山、大石町『鳳凰丸』
唐津くんち六番曳山、大石町『鳳凰丸』
■制作過程 ※制作期間:2015年1月~2016年2月
まずは、前部の鳳凰部分。おそらく図面で見るに、木型ではないと判断し、粘土で芯を作り、和紙を貼り固めて、要は『張子』を作成。2つに割り、粘土芯を外す。んー。。。糊が薄すぎた。ぶかぶかになってしもうた。。。
俗に言う『張子』に下絵を描きイメージを固める。どうせ形成素材で埋めてしまうのだが。。。
パーツが徐々に整う。細工を形成する素材は、鋸くずと漆を混ぜたやつで行うらしいのだが、そんな時間も金もない。天然木屑で出来た粘土を使用。硬化後は彫刻刀で形成も可能。これで行ってみよう。舟形は加工しやすいホオの木で。
さてさて、やっとここまで。鳳凰丸は細工がすごいので、はたして完成出来るかどうか。。。あと粘土形成をどれだけ滑らかに出来るか?先は長い。。。
鳳凰部分の荒細工はほぼ終了。船体はFATにする為微妙なRを付け、船側の板張りも追加。今回は大きさ比較用のタバコと共に。結構小さいでしょ1/30って。
船尾を飾る歯噛獅子(はがみしし)。この大きさなので張子で抜くのは不可能と思い、木彫で作りかけたんですが、やはり忠実にせねばと抜きましたよ。苦労したー。。。
歯噛獅子は紙のままだと細工が出来ないので、天然木屑で出来た粘土でコーティング。パテ、紙粘土等と違い実際の作法に近い(気がする)。下は屋根の中央部分。こちらは木工ボンドの優れもの『Titebond』で。普通の木工ボンドは硬化後もぶにょぶにょしてて細工に適さないですが、これはカリカリに硬化して細工がしやすいです。
欄干を作成。まぁ細いわ反ってるわで手間かかるかかる。。。従って素材は竹。スチームアイロンで微妙な反りを。ヤスリは俺のワンダーランド100均で(笑)。
たいぶ形になってきたぞ♪黒漆(勿論天然ではありません)で一次塗り。殆ど研ぎ落とし次の塗りに備えます。屋根も順調。
ここも難関のひとつでした『垂木』。1×1mmヒノキ材でなんとか完成。中央寄のトゲの様な部分が最難関。1mmに満たない様な三角形の木切れを後で貼りました。このトゲの様な形状より『茨垂木』って言うそうです。建築科の息子が感心してました。良かった♪
最難関中の最難関、輪違連続紋の透かし彫り。試行錯誤の連続!最初は金属リングを瞬間接着剤で繋げようと思ったんですが、太すぎるわ段々になるわでNG。悩みに悩んだあげく、銀行の記号の形を連結させる事。治具を作って紙を固めて輪切りにして連結。クリアー!
屋根の塗り、ほぼ完♪ 多少凸凹は目立つけど、もうこのへんで妥協。時間かかったー。。。
なんとなくイメージを見たくなり撮ってみた。んー...まだ荒いなぁ。。。
船尾のなんだろう?櫓みたいな部分。結構パーツが多くて大変。組み上がった状態がこれ。この部品の為に船体の採寸ミスが発覚、多大な修正で船体を大きくリフォーム。。。仕上がってたのに。。。
細かい部品の準備は続く。屋根の梁、欄干の柱+擬宝珠、端飾。歯噛獅子は改めて下地。これも試行錯誤のうえ水彩絵具がベストマッチする事を発見♪ あと耳付けなきゃ。。。
やっと金が入りました。やっぱり金が入るとしまるな♪ 金はさすがに金箔と言う訳にはいきません。。。モデラーには有名なスーパーメタリック:スーパーゴールドを使用。
屋根の垂木の錺金具もこのスケールだと塗るしか不可能。。。まぁでもここも金が入ると印象が変わる。
後部より。輪違連続紋の透かし彫りもなんとかはまった。でも実際のスケールより随分でかくなった。。。だってこれが細工の限界だよ。。。
鳳凰の目の瞳とアイラインも至難の業。。。プラモだったらもっと小さい目入れも得意だったんですが、これはもうご勘弁、これが限界っす。。。
羽根の復元されたカラーリングの為、下地作り。うーーん。。。背景の写真と比べても鳳凰の表情が違う。。。やっぱり顏を似せるのは難しいですよ。。。これが限界っすよぉ。。。
台車の作成も開始。これは楽♪ だって直線のみですもん♪ え?さすがにホゾまでは出来ないっすよぉ。。。
歯噛獅子。こちらも顏を似せる難しさ。BEFOREは目が大きすぎ可愛い顏に。。。泣く泣く一部やり直し眉をしかめ、目を小さく。。。。。。。もうこれが限界!
まだ白木の状態の作成途中の台車。我ながら『ろくろ』(船の舵輪の様な部分)はうまく出来た♪
心棒、詮木等作成完。ニスを塗るとそれらしくなってきた♪ 三段の心棒も順調♪ちゃんと伸縮します♪ しかし車高が低くなってしもた。。。まぁいいやシャコタンって事で(笑)。。。
本体をはめてみる。吊り下げ部分が未作成なので、下までどんづいた状態。この時はまだ採寸ミスが累積している事などつゆ知らず。。。
唐破風屋根上の棟木。最近仕事が早くなった♪
台車上部より。車輪の鋼の輪の質感良くない?こういう時、プラモで培ったウェザリングが生きるのです♪ これはアルミ板で、ヤスリで荒く削り、あえて黒マジックペンでさっと塗り、すぐ荒くふき取る。そしてタイトボンドを薄く塗り、エンピツの粉をまぶし、べたべた触る。そんな感じっす♪
吊り下げ金具と、屋根の接合部が出来たので仮組みしてみる。鋭い人はお気づきでしょうが、ここで大変な事に気づく!まず屋根が大きすぎる。船体に比べ鳳凰部分が大き(長)すぎる。従って屋根と船尾が近寄りすぎている。。。あと、やっぱり目!もっと怖い目じゃなきゃ!この写真撮影後、目の修復を決意しました。。。
形にはなってきたが、まだ羽毛の模様、飾金具等やることは山積。。。
船尾の湾曲した黒い格子、苦労したがなんとか取付完。
正面。明らかに首が太い!。。。こればっかりはもう修復不可能です。。。
後面。歯噛獅子下の文様のマスキングは難関のひとつでしたがなんとか塗れた。かなり荒いけど。。。
全貌。ほぼ忠実に素材にまで拘って作ったつもりです。現在の重量125g、1/30なので30の3乗倍すると、約3.4t。結構近いのでは?
結構自信作の台車。栓木、心棒は2段階で可動します。ちゃんと"ろくろ"を回すと3連(6連)組み合わせ滑車を通して上下します。前後梶棒も可動、左右、後部天板も外せて内部が覗けます。
正面。和紙を貼り重ね、漆で固めた鳳凰はその後の造形の為盛った木屑粘土(こくその代わり)の厚みで、ちょっと頭でっかちに。。。
側面。ちょいちょい見た目に合わせていたら、屋根部が後ろめに。。。なんとかごまかしたけど、尻すぼみの感は否めません。。。
後面。最初は船体の材の厚みに無頓着だったんですが、これも累積して寸法のズレに。。。多分縮尺的にティガー戦車なみの装甲厚を誇ります。。。orz