唐津くんち七番曳山、新町『飛龍』
唐津くんち七番曳山、新町『飛龍』
■制作過程 ※制作期間:2017年1月~2017年9月
まずは鯛山同様粘土型の骨組みを。鯛山と比べ変化点が多いので骨組みも工夫が必要です。このエッジが基準線にもなるので注意が必要です。
骨組みの隙間を上げ底し、おが屑と土を混ぜた粘土で造形していきます。角や爪等激しく突出する部分の骨組みを組みながら徐々に肉付けをしていきます。
文献によると、羽は木組みに紙を貼り重ねた構造との事で、同様の製法で後付します。それ以外は粘土型なので肉付けをし、削ってを気が遠くなる程繰返していきます。
トゲ?ひげ?の為、骨組み用の芯材(厚紙)を取り付け。・・・・サンタさん♪
大体形成完。しかしこの凸凹とトゲトゲ、紙貼って抜けるかなぁ?。。。
羽は木型で。よく見ると単板(平板)ではなく微妙にねじれています。この様に骨のところで切り離し少しずつよじって接着。
尾羽も木型です。今度はねじれではなく、まず反っています。材を熱湯に漬け柔らかくなったところで円筒に縛り付け型付けします。骨は板を極力薄く削り曲線に追随させます。
粘土型は再利用(量産?)を考えて水気がしみこまない様、徹底的に水性ニスで沁み固め、最後に透き漆でコートします。紙を貼り固めても剥がれやすくする為、この上に油をひいて紙を貼り始めます。しかし焼物みたいですね♪(補正のしすぎで画像が荒いです。ご勘弁を。)
紙を貼り重ねている状態。写真では白飛びしてしまいました。。。何度も言いますが抜ける(外せる)かなぁ。。。
ぱっかん♪ 抜けました。って楽勝の様に言ってますが、本当は細切れに抜き、出土土器を復元する様に貼り戻しました。大変だった。。。
これまで内部の補強骨組みは少しずつ削り合わせていましたが、凸凹が多くあまりに大変だったので新兵器登場♪ 『型取ゲージ』。押し付けるだけで金属線が動き曲線を写し取れます。これでどれだけ効率アップしたか♪
ちゃくちゃくと内部骨組みは進みます♪ 鯛山に比べ太く厳重です。やっぱり凸凹は応力が集中するのでしょう。(大学で習った(笑))
羽は木型に紙貼り。実際の製法に限りなく忠実に。
仮組。見ての通り羽類が肉厚すぎます。これから微妙に削り、印象を合わせていきます。模型は寸法通りではダメなんです。
アラカブ(カサゴ)のひらきではありません(笑)。内部骨組みほぼ完。塗りを入れました。
第2形態です。(シン・ゴジラか!)張子素体に鱗凹凸の為の粘土肉付け、鼻下、顎のトゲ形成です。ちなみに右のセイロ状のものは舌です。この後採寸ミスで口腔に収まらない事が判明し作り直しとなりました。。。
眉のトゲ、牙等造形が整ってきたので鱗等マーキング。飛龍の鱗の凹凸はくっきりではなくなだらかなので先が思いやられます。。。
手(爪)造形完。紙と粘土でなんとかとやっていたんですが、粘土が脆くて断念。。。ホオ材を細工しました。また鱗の溝を切削。この後のなだらかにする細工が大変です。
大体の造形完。塗りの下地はこれまでの経験で水彩絵具(濃いめ)がベストなので塗布。そして可動ピン、ホゾ組みにて各パーツ仮組み。漆の艶でなくマットな感じも新鮮でしょ?
塗りの乾き待ちを利用して台車作成開始。ヒノキ材で大工仕事。出来るだけ大工だったらどういう手順で組むだろうか?なんて考えながら組んで行きます。
台車の祖形完成。もう3台目ともなると大工仕事は手慣れたもんです♪
羽を付けると隙間の鱗貼りが出来なくなるので予め貼ります。このあたりの鱗は大きいので比較的楽です。
舌です。見えない所ですが、造形に手を抜かないのが信念です。
さて、胸鰭の接合手術です。ホゾを刺し、こくそ(本来は漆と木屑を混ぜたもの、今回は木屑粘土とタイトボンドを混ぜたもの)で埋めていきます。
接合手術完了。外面はばっちり♪ 内側は多少荒くなりました。なぜならもう鱗が貼ってあるので派手な加工が出来ません。。。まぁ良しとしよう。そして不毛の鱗貼りを続けます。
新町の台車はこの様に着色してあります。水性ニスに絵具を混ぜて木目が透ける様に着色し、仕上げは透き漆で仕上げます。
金貼りほぼ完了♪ 鱗は辛かったですが、角と牙もムズかったです。曲面追随フィルムを使用したのですが、しわになったり先端が荒くなったり。まぁいいや、ご勘弁、ご勘弁。
あまり巡行中は鯛山の様に可動させませんが、飛龍の尾羽も可動します。構造上はこうなります。ただこれを使わずとも顎取のテクニックでアーケードくぐりにて華麗な障害物かわしを見る事が出来ます。
台車もほぼ完。台車の町名はデカールに逃げてしまいました。。。(輪郭だけね)あと実は黒目もデカールで逃げてしまいました。ちなみに飛龍は軽量の曳山なので組合せ滑車は2段4個です。