唐津くんち二番曳山、中町『青獅子』
唐津くんち二番曳山、中町『青獅子』
■制作過程 ※制作期間:2019年4月~2019年10月
粘土型骨組み作成。青獅子は凸凹がありすぎて変化点を定められません。粘土を盛りながらやっていくしかありません。また、赤獅子と違い図面もしょぼく平面図がありません。その後苦しめられる要因の一つとなります。。。
粘土が乾く間、並行して台車作成。前回から生産性向上を図った作戦です♪
まずはとにかく粘土を盛る。失敗したら削って盛ってを繰返せば良い。適当で構いません。なんかシャンシャンみたいに。(笑)
赤獅子の角、耳は木組に紙貼りだったのですが、古い情報によると青獅子の角、耳は粘土型で張り抜いていると言う事で粘土型骨組み。実は木組の方が造形し易いのですが。。。
台車には鞘柱が立ちました。赤獅子もそうでしたが、初期の曳山は軽量もあいまって構造がシンプルです。
顏を整える為、結構粘土を盛って削って硬化してを繰返すうちに台車は順調に仕上がって。斜めの手摺カッコいい♪
そして顏。なかなか定まりません。どこをどうやったら定まる(似る)のか迷走しています。ホント青獅子の顏は奥が深い。。。やっぱり歯茎かな?
粘土型完成。抜きをしやすく、また再利用を鑑みニスで固め表面には透明漆を。
紙貼りはこんな感じで。紙が収縮してパイ生地状になってしまうのを防ぐ為、紙はこの小ささでチマチマ貼って行きます。またトレイの白い液体は水彩絵具とタイトボンドを水で溶いた通称『硬化下地』です。
抜きは基本左右に分けて抜きます。凹凸が多いので切れ目を入れてミカンの皮の様に抜きます。
ぱっかん、抜けました。便宜上抜く時に切り開いた部分は繋いでいます。
抜いた張子の内側に漆を塗り強化しつつ表面の細工を鮮明にしていきます。本物の内部構造を随分提供していただき本当に有難かったです。ざっと終えたところで仮組。
今回の驚きの発見として、青獅子の心棒は2本あるという事です。栓木で固定されるのが鞘柱の外の補助心棒で、本来の心棒は顏の傾きを調整する役目がある様です。従ってろくろに棒を差し込み固定し顔の傾きを調節している模様です。
本塗り開始。本塗り用下地は同色の水彩絵具。そうしないと漆は基本クリヤーなので下の色が透けてとんでもない回数の塗りが必要となります。これで緑は2度塗りの状態。それでも研いで塗ってを最低でも5回は繰り返します。
人工割竹による後頭部竹籠作成完。赤獅子で苦労したぶん手慣れたものです。今後これに紺糸で接合部を巻上ます。
今回も後頭部は強力磁石による脱着式を図ります。今回は目立たぬ様頭をひねり赤丸部へ仕込みました。ここにはちょうど補強材が渡されますのでほとんど判らなくなります♪
パーツ毎の本塗り完。これから箔押しに入ります。
後頭部の竹籠の紺糸巻上完。磁石、鉄材の仕込みも終わり見事にカチリ♪
青獅子の角は根元付近で分割されています。理由は不明ですが、古い写真では上部がもう一ヶ所分割されていた様で先端を後ろ向きに出来た模様です。
そして順調に箔押し完。あとは止め漆を施し、開眼です。
箔押しが終わったパーツを仮組。良い感じ♪やっとイメージが掴める様になってきました。
あとがき
突貫工事で仕上げたので、不正確や気に入らない部分も多く、2021年8月~2021年10月に修復を行いました。