1日に8時間を超えて働かせた場合や1週間に40時間を超えて働かせた場合、事業主は割増賃金を支払わなくてはならないことはよく知られていることと思います。しかし、変形労働時間制のもとで働かせたとき、通常の残業時間・残業手当の場合とは計算方法が異なってくるため注意が必要となります。ここでは変形労働時間制を取らない場合、そして変形労働時間制を取った場合、どのように計算が異なって来るのかを説明します。
割増賃金が発生するのは、法定労働時間である8時間を超えた部分になります。
所定労働時間: 黄マーカー (会社によって設定された労働時間)
所定外労働時間: 青マーカー (割増賃金が発生しない残業時間)
法定外労働時間: [+α]の部分 (割増賃金が発生する残業時間)
なお、以下の説明で用いる「時間外労働」という語は法定外労働を指すものとしてご理解ください
(1)→(2)の順に計算します。(1)(2)のそれぞれの[+α]時間に対し割増賃金を支払うことになります。
例1:8時間+α
例2:7時間+1時間+α
例2は、会社の設定している労働時間は7時間であり、1時間のみの残業では割増賃金は発生しません。この場合、通常の賃金の1時間分を支払えば良いのです。更に労働させた場合(つまり8時間を超えて労働させた場合)、「+α」の部分の割増賃金を支払うことになります。
例1:40時間+α
例2:35時間+5時間+α
例1において、例えば月曜から土曜まで8時間の労働をすると、1日当たりでの時間外労働はないものの、1週48時間となるので8時間の時間外労働が発生します。
例2における考え方は「(1) 1日単位での計算」と同じで、所定労働時間が7時間とした場合です。
また「1週単位での計算」の場合、「1日単位」ですでにカウントしてある[+α] の時間は除外しなくてはならないことに留意してください。
変形労働時間制における時間外労働の把握は、「① 基本的な労働時間の把握」で説明した手順より複雑なものになります。
(1)→(2)→(3)の順に計算を進めます。計算方法・順序を間違えると、未払い残業手当が発生する恐れがありますので注意しましょう。
(1)(2)(3)の順に計算を進め、それぞれの[+α]を合計します
i. 1日の所定労働時間が8時間以内の場合①(1)と同じ扱いになります
例1:8時間+α
例2:7時間+1時間+α
例2は、会社の設定している労働時間は7時間であり、1時間のみの残業では割増賃金は発生しません。この場合、通常の賃金の1時間分を支払えば良いのです。
ii. 1日の所定労働時間が8時間超の場合その所定労働時間を超えた時間が時間外労働とされます。
所定労働時間+α
例えば1日の所定労働時間を9時間とすると、「9時間+α」の[+α]部分に割増賃金を支払います
i. 1週の所定労働時間が40時間以内の場合①(2)と同じ扱いになります。
例1:40時間+α
例2:35時間+5時間+α
ii. 1週の所定労働時間が40時間超の場合その所定労働時間を超えた時間が時間外労働とされます。
所定労働時間+α
例えば1週の所定労働時間を45時間とすると「45時間+α」の[+α]部分に割増賃金を支払います
(3) 変形期間単位での計算 (「1日単位」「1週単位」ですでにカウントしている[+α]の時間は除外)
労働時間の総枠(上限時間)+α
1か月単位の変形労働時間制では労働時間の上限が定められています。対象期間中の上限の計算式は次のようになります。
上限時間=40時間*×対象期間の暦日数÷7日
暦日数28日~31日の労働時間の上限をこの計算によって求めると以下のようになります。
歴日数 上限時間
28日 160.0時間
29日 165.7時間
30日 171.4時間
31日 177.1時間
厚生労働省発行のリーフレット「1か月単位の変形労働時間制」の3ページ目に掲載されているものを借用しました。
上記の解説の具体例としてご参照ください。
www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/dl/140811-2.pdf
(1)→(2)→(3)の順に計算を進めます。計算方法・順序を間違えると、未払い残業手当が発生する恐れがありますので注意しましょう。
(1)(2)は「② 1か月単位の変形労働時間制における時間外労働時間の把握」と同じ手順になります。
(1)(2)(3)の順に計算を進め、それぞれの[+α]を合計します
i. 1日の所定労働時間が8時間以内の場合①(1)と同じ扱いになります
例1:8時間+α
例2:7時間+1時間+α
例2は、会社の設定している労働時間は7時間であり、1時間のみの残業では割増賃金は発生しません。この場合、通常の賃金の1時間分を支払えば良いのです。
ii. 1日の所定労働時間が8時間超の場合その所定労働時間を超えた時間が時間外労働とされます。
所定労働時間+α
例えば1日の所定労働時間を9時間とすると、「9時間+α」の[+α]部分に割増賃金を支払います
i. 1週の所定労働時間が40時間以内の場合①(2)と同じ扱いになります。
例1:40時間+α
例2:35時間+5時間+α
例1において、例えば月曜から土曜まで8時間の労働をすると、1日当たりでは時間外労働はないものの、1週48時間となるので8時間の時間外労働が発生します。
例2における考え方は「(1) 1日単位での計算」と同じで、所定労働時間が7時間とした場合です。
また「1週単位での計算」の場合、「1日単位」ですでにカウントしてある[+α] の時間は除外しなくてはならないことに留意してください。
ii. 1週の所定労働時間が40時間超の場合その所定労働時間を超えた時間が時間外労働とされます。
所定労働時間+α
例えば1週の所定労働時間を45時間とすると「45時間+α」の[+α]部分に割増賃金を支払います
対象期間を通した労働時間の総枠(上限時間)+α
1年単位の変形労働時間制では労働時間の上限が定められています。対象期間中の上限の計算式は次のようになります。
上限時間=40時間×対象期間の暦日数÷7日
対象期間を1年、6か月、4か月、3か月とした場合、上限時間は以下のようになります。
対象期間 上限時間
1年(365日の場合) 2085.71時間
6か月(183日の場合) 1045.71時間
4か月(122日の場合) 697.14時間
3か月(92日の場合) 525.71時間