野村長徳は大巻の人。又助の長子で、通称長輔という。芝田甚兵衛師匠につき学を修め、天保9
年(1838
)より明治5
年(1872
)まで、34
年間手習い師匠を務め、読書、算術を教授し、また謡曲を教えた。屋号を師匠館と称した。大巻館の麓であることから、このように名付けたものであろう。明治の末年までは師匠館と呼んだが、今はその屋敷跡も、馬屋の窪みを残すのみでよく分からない。長徳師匠は屋敷の一隅に菅公(菅原道真)の碑を建て、時折子弟に拝ませたという。
明治24
年(1891
)11
月、子弟等相図り、高金寺境内に「野村芝田長徳先生の碑」を建て、氏の徳を頌した。その碑銘は次の如くである。
先生諱長徳通称長輔大巻村農又助之子也祖宗性出於野村氏幼穎悟能学襲郷先生芝田氏之業為御学之師其年十九也初芝田氏之死也授其姓氏譲與菅公之聖像及謡曲之数巻且嘱以後事矣先生乃徒遺嘱欧郷託前開塾星山村字宇南田従移村字舘以後授子弟自天保9
年(1838
)3
月明治5
年(1872
)5
月迄蓋35
年也此間教成者260
人方今皆一戸主也明治5
年(1872
)55
以5
月26
日終罹病卒葬養龍山高金寺配作山氏有一男一女媚橋本氏男長蔵復本性乃以農事営家道也矣銘曰
NO52.野村長徳師匠館跡.mp3