上田市日本遺産とは

上田市日本遺産とは?

信州上田・塩田平の日本遺産ストーリーを読んでみる

~ ストリー と言うより ポエム? ~

日本遺産申請資料の「ストーリーの概要」より

「独鈷山と夫神岳から扇状に開ける地・塩田平は、古来「聖地」として、多くの神社仏閣が建てられている。」

(※「聖地」という表現は、これまで特に言われてはいません。『上田市歴史文化基本構想』(2019年)にも ありませんでした。「太陽と大地の聖地」は別所温泉活性化プロジェクト(2014年~)で作られた、「別所温泉」を指す言葉ですが、日本遺産では「信州上田・塩田平」に変更されています。認定後は2つのキャッチコピーが並走状態?)

「山のふもとにある信州最古の温泉といわれる別所温泉、「国土・大地」を御神体とする「生島足島神社」、「大日如来・太陽」を安置する「信濃国分寺」は、1本の直線状に配置され、レイラインをつないでいる。」

(※別所温泉、生島足島神社、信濃国分寺が1本の直線状に配置されていないことは、地図を見れば明らかです。現代の "Big lie" の一例? まさか文化庁がこんな単純な嘘を言うとは信じられないから本当のことなのだろう?)
(※「レイライン」はオカルト分野の言葉(UFO、心霊写真 など)で、批判する人も多くいます。(『令和2年度 上田市日本遺産補充調査報告書』P1)
「最古」の根拠は不確か。「大日如来」は他の場所にも多くあり、レイラインとの関連は不明。仏塔の大日如来は曼荼羅の表現の一部分という解釈が一般的?)

「夏至と冬至に、鳥居の中を太陽の光が通り抜け、神々しくぬくもりのある輝きを享受できるのだ。」

(※寺社と太陽の関係は曖昧で、よくわからず、調査資料も見当たりません。パンフレット表紙の、鳥居を斜めから見た写真は、特別な光景でしょうか?)

「先人たちが、この地が特別であると後世に伝えようと遺した様々な仕掛けは、今も、訪れる人びとにパワーをチャージさせる。」

(※様々な「祈りの形」があったことは想像できますが、「レイライン」との結び付きはまったく不明で、根拠も、話の出所も示されてはいません…… 都市伝説を創作して、無理に感動しようとしている?)

(※このストーリー(ポエム?)に、どのような物的証拠・状況証拠があるのでしょう? それはどのように提示されてきたのでしょう?)

日本遺産(Japan Heritage)とは?

~「日本遺産」と「日本の遺産」は同じではない? ~

文化庁  日本遺産(Japan Heritage)について
https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkazai/nihon_isan/index.html

>「日本遺産(Japan Heritage)」は地域の歴史的魅力や特色を通じて我が国の文化・伝統を語るストーリーを文化庁が認定するものです。
>「日本遺産」として認定するストーリーは,次の4点を踏まえた内容とします。
1 歴史的経緯や(地域の風土に根ざし世代を超えて受け継がれている伝承,風習等を踏まえたストーリーであること。

※日本遺産のストーリーとは、歴史・文化についての、一つの解釈、見方、切り口のようなもので、ストーリー自体は文化遺産とは限らない?
日本遺産ストーリー ≠ 日本の遺産 ?
(もし、ストーリーを文化遺産とするなら、ストーリーの根拠を示す必要がある?)

※「ストーリー = 物語(現代の創作を含む)」という認識は正しいのでしょうか?
本来の意味は「文化財の"関係性"の話」(文化財群を結びつける話)で、内容は「歴史的経緯」と「伝統文化」であり、「創作」の意味はないのでは?(構成要素に古典文芸・説話や、確実とは言えない推定を含むとしても)

現代の創作物語が許容されるなら、「日本遺産」という名称や「世代を超えて受け継がれている」という要件は、伝統ではないものを伝統に見せかける偽装の働きをしていることになる?

「維持するだけの保護はしない、できない。活用して、ある程度は改変する。それが嫌なら自分で保護しろ」というメッセージ? 文化行政の民営化? 活用による破壊から守らないといけない?

上田市日本遺産 詳細(PDF) (※申請時資料 計画目標値など)
https://japan-heritage.bunka.go.jp/ja/stories/story093/
https://japan-heritage.bunka.go.jp/ja/datas/files/2022/09/08/abcb8a22a969f0df56996254196ed7ff7caab924.pdf

認定の取消し制度について
取り消し制度は申請時にはありませんでした。(最後の認定が2020年6月、制度の発表は12月。2021年から実施。ただし、以前から導入の可能性は予告されていた?)
「とにかく認定獲得が最優先。批判が出ても構わない。フェイドアウトでもいい。損はない。」という考え方もあった?

もしも申請時に取り消し制度があれば、慎重な意見がもう少し反映したのかも……

レイラインとは?

日本遺産レイラインの謎 1

日本遺産ストーリーでは、信濃国分寺、生島足島神社、別所温泉が1本の直線状に配置されていることになっていますが、事実でないことは地図を見れば明らかです。
日本遺産申請資料の中に、レイラインの説明・出典は見当たらず、何に基づいて審査されたのか、わかりません……


日本遺産レイラインの謎 2

上田市の広報やパンフレットでは、レイラインを「夏至の朝、太陽が日の出の際に地上につくる光の線」と説明していますが、日本遺産申請資料にはこのような説明は見当たらず、出典も示されていません。
太陽の光が1本の「線」として見えるわけではなく、いつ、どこにできる「線」なのか、不明です……
(広報うえだ 2020年7月号 P7、「上田市文化財保存活用地域計画」(2022年)、「上田市歴史的風致維持向上計画」(2023年) など)


日本遺産レイラインの謎 3

新聞等では、文化財群が「夏至の日の出に向かって直線状に並ぶ」「夏至の日の出の方角に沿って点在する」と説明されることがありますが、実際の分布を見ると、特に方向性があるようには見えません。レイラインを伝える人達は、自分で地図上に直線を描けるのでしょうか? それは認定ストーリーと一致している?
(信濃毎日新聞2022年1月15日朝刊26面東信、信濃毎日新聞2022年12月15日朝刊24面東信 など)


科学的、疑似科学的

科学的:わからないことを、わからないこととして、仮説を立て、仮説を疑う。
疑似科学的:わからないことを、確実なこととして、仮説を重ね、仮説を信じさせようとする。


暗黙的な事実化(認知トリック?)

例えば、「史実の有無」「伝統の有無」「現在の事実の有無」は個々に確認するべき問題ですが、これらを、「史実」を意識した一つの仮説にまとめ、「伝統」「現実」は問わないことで暗黙的に事実化してしまう、という誤りを見かけます。

上田市日本遺産では(批判的な意見においても)、史実の有無は意識されますが、レイラインに関する伝統や現実は意識されず、事実であるかのように扱われています。


答えを見つけてしまった人達?

命とか死とか、とても重要なことで、世界や宇宙と同じくらい大きいもののように感じることがあるかもしれませんが、実際は人の頭の中の一つの概念でしかなく、ほとんどの生き物はそんなことは思ってもいません。常に考えているわけではなく、小さな子どもの頃には、何も知らず、わからなくても、不安ではなく、不幸でもなかったのではないでしょうか。

傷ついて、ずっと努力してきたけれど、どうしてもうまく行かず、疲れてしまい、とうとう「ほんとうの答え」を見つけた?

(自分が大きくなったわけではなく、逆にどんどん小さくなって、一つの概念の中に自分自身を閉じ込めてしまった? 「鍵をかける」人もいて、本人の場合もありますが、団体の中でその役割を持つ人もいる?)

日本遺産に関する行き違い?

~ カッコウのストーリー? ~

顧客は何か根拠があってご利益やパワーを期待しているわけではないので、ストーリーの信憑性はどうでもいい? ただし、面白さや特別感は必要なので、インチキ話と嘲られるようでは困る?
日本遺産の認定により、国のお墨付きを得て、補助金で宣伝もできて、知名度は向上したけれど、公共性が高くなった分、一定の品質も求められるようになり、批判も増大した?

地元で生まれ育った人は、特別な太陽信仰も、特別な龍の信仰もないことを経験的に知っているので(夏至・冬至にお祭りはなく、雨乞いはお地蔵様など他の神仏へ祈る方が多かった?)、日本遺産ストーリーについてよくわからず、戸惑っている?
地域外の人や若い人は、日本遺産ストーリーを地域の伝統と思い、大切に継承するべきと思っている?

日本遺産は市の各種の計画に組み込まれているので(計画の重層化?)、もし仮にやめたくなったとしても、やめられない状況になっている? 結論が動かせないので予算計画等で特に審議もない?(パンクタイヤに空気を入れ続ける?)
文化庁の総括評価・継続審査も事業の進捗の審査であり、目標をある程度達成していれば、そのまま継続になる可能性が高い?


上田市日本遺産の矛盾?
・直線ではない直線レイライン?
・位置が操作されたレイライン図?
・斜めから見た鳥居の真ん中を通る太陽?
・アバウトな仕掛けの特別な聖地?
・霊木の撤去で景観スポットが継続?
・歴史を語らない歴史ストーリー?
・地域住民が「よくわからない」と言う地域文化?
・歴史でも伝統でもない日本遺産?
(参照:地図、案内看板、パンフレット写真、認定ストーリー、大柳、市議会R2.12.1)