第15回 浅田進史先生(経済学部)

第15回目のインタビューは、経済学部の浅田進史先生です。

学生の質問に丁寧に答えてくださる浅田先生。ご担当の「経済史」を履修している学生FDスタッフの強い希望で、インタビューに応えていただきました。


Q:浅田先生はドイツ近現代経済史がご専門とのことですが、経済史を学ぼうと思ったきっかけなどはありますか?

A:もともとは歴史が好きということから始まりました。その中で経済を歴史的に見てみると、物事が社会にとってどういう意味があるのか、どういうことが言えるか、ということが分かります。そういった社会における物事の関係を深く考えたいと思い、経済史を選びました。

Q:歴史好きというところから経済学に発展したのですね。

A:はい。歴史の中でも、特にドイツの資本主義の歴史とか、あるいは労働の歴史を考えたときに、ドイツの経済史を学びたいと思いました。

Q:ドイツには留学などもされたのでしょうか?

A:そうですね。2000年から2002年の2年間、留学しました。ドイツにはそのあと、研究調査で何度も行っています。

Q:では、先生はどのような学生時代をお過ごしでしたか?

A:私のいた大学は地方国立大学ですけれども、その当時一般教養科目が重要視されていて、2年間ほとんど専門科目が取れなかったです。1、2年の間は、自分の専門で取りたい授業が取れるというよりかは、一般教養的なものを学んでいました。その内容が、正直面白くなくて…。特に真面目な学生という訳ではなかったので、2年間は学生として自由にやっていいんだ、と思って過ごしていました。

Q:ほとんど専門科目がとれないなんて驚きですね。

A:そうなんです。ただ、2年時の成績で自分の入りたいゼミに入れるかどうかが決まるルールがありました。誰もが好きなゼミに入れるという訳ではなくて、人数制限が厳しく決まっていた大学で。

でも、どうしても入りたいゼミの先生がいたので、その先生に「少なくともどの科目の点数をとっていたら良いですか?」と聞いておきました。基本的にそんなに真面目な学生という訳ではなかったのですが、先生に「外国史をやるので、とにかく英語の成績をとっておけ」と言われたので、英語は真面目に勉強しましたね。

Q:ドイツ留学もされたとのことですが、学生時代にやってよかったと思うことはありますか?

A:大学生活は色々なことができて結構楽しかったですね。ぜひ皆さんも色々なことをやってみるといいですよ。

特に良かったことはやはり留学です。2年生のときに語学のプログラムに参加して、2週間くらいドイツに留学したのですが、それが良い思い出になって。3年生のとき貧乏旅行じゃないですが、1日いくらと決めて、ヨーロッパを旅行するということを1ヶ月くらいしました。それが非常に良い経験になりましたね。

Q:色々とやったこと、全部を楽しまれているのですね。

A:そうですね。留学にはとにかくお金が必要なので、居酒屋でずーっとアルバイトをしていました。居酒屋のアルバイトだと、晩御飯を食べさせてくれるじゃないですか。そういったこともあって居酒屋だったのですが、これも楽しかったです。

地方だったということもあり、都会と比べて時間がゆったりとしているので、そういう雰囲気もよかったですし、家賃も安かったです。そういった環境もあり、楽しい経験ができました。

Q:活動的な学生だったのですね!そこから研究者になろうと思ったのは何かきっかけがありましたか?

A:最後まで研究の道に進むか悩んでいましたが、海外旅行の経験が後押ししてくれたと思います。それから、卒業論文を書き終わって、自分は文章を書くことが好きなのだと気づきました。経済史の研究者は物書きみたいなものなので、卒業論文を書いたことも研究の道につながったと思います。

Q:好きなものの中で、自信がある、誰にも負けないということはありますか?

A:自信といわれると、難しいですね。

Q:一番好きとか、一番の趣味とか、そういったものはいかがですか?

A:やはり研究者としてやるからには、基本的には自分のやっている分野で研究を続けていくと、やっぱり課題が出てくる。その課題に取り組むにあたって、合わせて、その気晴らしになるようなことをやっているのであって、何かこうこれが「一番」と思ってやろうと思ってないです。

ただ、30半ばをすぎて、健康には気を使うようになりました。特に食べ物に気を使うようになって、家族と一緒に自分でも料理をするようにしています。研究だけになるとどうしても根を詰めすぎちゃうので、最近は料理だったり掃除だったりをして、なるべく体を整えるようにしています。


Q:料理ですか!健康的な気晴らし方法ですね。どんなものを作るのですか?

A:色々と作れるようになりました。人に作ると相手の健康を考えないといけないじゃないですか。自分のために作っている分は、焼きそばとカレーだけ作っていればよかったのが、そうはいかないので、一応、基本的に一通り作るようになりましたよ。

Q:ちゃんと料理の栄養バランスをとっているのですね。大事ですね。

では、授業で今の学生を引き込むために、何か工夫していることはありますか?

A:経済学部で経済史を教えるということで、学生みなさんが歴史に関心がある訳ではないので、どうやって歴史の過去のことに関心を持ってもらうかということは、それなりに毎回考えて工夫しています。

私の担当している科目は、経済学科では数少ない1年生から履修できる専門科目なので、「大学の講義ってこうなんだよ」って、高校と大学の中間くらいの講義を目指してなるべく分かりやすくやろうと思っています。同時に、やはり大学なので、大学の講義が大学らしいと思ってもらいたいということもあります。要所で「最近の研究ではこういうことが面白いと思った」など学術的なことも講義に入れるようにしています。そういう部分が、「大学に入って突然難しくなった」と言われてしまったりしますが、人によっては「この部分が面白かった」と言ってくれたりして。加減を考えながらですね。

Q:私は先生の経済史の授業をとっていますが、先生は毎回リアクションペーパーを全部読んで、学生からの質問にちゃんと全部答えてくれますよね。すごく時間がかかるのではないですか?

先生:質問を見るのは、だいたいお昼休みか授業の前日の夜ですね。340枚くらい。感想の部分を一通り読んでメモをして。授業で説明した内容について、もうちょっと説明した方がよさそうなテーマに関しては、回答したいと思っています。

Q:すごくありがたいです。いつも私たち受講生のために、ありがとうございます。

先生はこうしていつも工夫を重ねてくださっていますが、理想の先生像はありますか?

A:大学の研究は半分教育、半分研究で、大抵の人たちは研究がやりたいから大学教員になったというところがあると思いますが、その反面教育っていうのも期待されています。

もちろん教育にもちゃんと力を入れたいと思っていますが、研究するからこそ、その成果を面白いと学生に伝えることが出来るので、その二つをうまく組み合わせて出来るようになるといいなと思っています。まだ何か自分の研究と教育というのは、かけ離れている気がするので、なかなか一致させるのが難しかったりするのですが、なんとかもう少し頑張ってみようと思っています。


Q:駒澤大学の学生たちに特に伝えたいことはありますか。

A:そうですね、まずは大学に行こうねってことかな。ゼミで教えていて、途中で来なくなってしまう学生もいるんですね。聞いてみるといろんな事情があって、単純に大学をなめていましたっていう人から、家庭の事情で来られなくなってしまった人と、さまざまです。でもある程度大学というのは、来てくれれば受け入れるという部分があるから、とにかく大学には来ましょうということですね。

Q:研究と教育の両立を考えていらっしゃる、どちらも全力の浅田先生。お時間をいただき、ありがとうございました!

聞き手:学生FDスタッフ

経済学部2年 郝