【15回目】モリーゼ州とカンパーニア州
◆モリーゼ州とカンパーニア州・・・カンパーニア内陸部は、秋・冬の降水量が多いものの、春・夏は少なく、昼夜の温暖さもあるので、ブドウ栽培に恵まれた気候。地元品種が多く、個性的なワインが造られている。モリーぜのブドウ畑は主に標高の高い丘陵地帯に広がり、石灰粘土質土壌が中心で、昼夜の温暖差が大きいため、凝縮したブドウが生まれる。
ジャニャコヴォ "ネロヴィニャーレ"
Giagnacovo "Nerovignale"
Tintilia del Molise DOC
ワイン名:Tintilia del Molise Rosso “Nerovignale”(ティンティリア・デル・モリーゼ・ロッソ "ネロヴィニャーレ")
ワインの種類:赤ワイン
ブドウの種類:ティンティリア100%
生産地:南部イタリア、 モリーゼ州、 カンポバッソ県、サン・ビア ーゼ
ワイナリー名:Cantina Giagnacovo di Giagnacovo Tommaso(カンティーナ・ジャニャコヴォ・ディ・ジャニャコヴォ)
ワイナリーの特徴:モリーゼ州のワインの歴史は意外と古く、17世紀から1960年代までブドウ栽培が非常に盛んで、この地域の農民にとって主な収入となっていた。私たちのワイナリーはモリーゼ州内陸部カンポバッソ県サン・ビアーゼ、標高820m に位置し、ティンティリア、モスカート、アリアニコ、カベルネ・ソーヴィニヨンといった伝統的なブドウ品種を栽培している。継続的な研究から得られた知識から私たちは亜硫酸塩を添加しないワインの生産にたどり着いた。その結果、消費者はブドウ 本来の香りや味わいを五感で感じることができる。
ワインの特徴:ティンティリアはモリーゼの土着品種で、今日ではモリーゼ ワインのシンボルとなっている(原産地はスペイン) 。色:鮮やかな赤色、縁はスミレ色を帯びている。 香り:黒胡椒、赤いベリー果実、カーネーションの花、スミレ、スパイスなどの香りが特徴。 味わい:エレガントで骨格のあるスタイルに先立ち、フルーティーな余韻が長く続き、適度なタンニンが持続し、調和がとれている。
醸造:発酵温度は26度。マセラシオンの期間セラーのプロ グラムに従って圧搾、ポンピ ングオーバー。マセラシオンの後、澱引き、酒石酸の安定化、瓶詰め(合成物質の添加なし)、熟成。
相性の良い食事:伝統的なモリーゼ料理 、プリモ料理、白身肉や赤身肉のロースト、煮込み料理、ジビエ ・チーズやサラミ
中川原まゆみのコメント:この州はマルケ州とプーリア州の間にあり、この2つの州の影響が強く、栽培品種もほぼ同じだが、このティンティリア種はこの産地を中心に栽培されている。すみれを想わせる繊細な香りがあり、味わいはデリケートなニュアンス。
ムスティッリ "ファランギーナ・デル・サンニオ"
Mustilli ”Falanghina del Sannio”
Falanghina del Sannio DOC
ワイン名:Falanghina del Sannio DOC (ファランギーナ・デル・サンニオ)
ワインの種類:白ワイン
ブドウの種類:ファランギーナ100%
生産地:南部イタリア、カンパーニア州、ベネベント県、サン タ・アガタ・ デ・ゴーティ
ワイナリー名:Società Agricola Mustilli srl(ソチエタ・アグリコラ・ムスティッリ)
ワイナリーの特徴:1960年にレオナルドが会社を設立し、サンタ・アガタ・デ・ゴーティ、標高250mの丘に15haの畑を購入した。現在はファランギーナ、グレーコ、フィアーノ、ピエディ・ロッソ、アリアニコを栽培している。 レオナルドは『ファランギーナの生みの親』と呼ばれる。それは当時は蒸留所向けの品種と思われていたファランギーナでワインを生産するために仲間たちとプロジェクトを立ち上げ、ファランギーナの特徴を引き立てるため、単一品種ワインの生産を始めたためである。現在では多くの生産者がファランギーナを使ったワインを生産しす るようになった。レオナルドのモットー『家族の価値観は世代から世代へと受け継がれていく。土地との絆、過去の遺産は、私たちの継続の原動力となるエネルギーなのだ』は娘のパオラとアンナ・キアラへ確実に受け継がれている。
ワインの特徴:1979年に世界で初めてファランギーナ(単一品種)で生産したと言われている。※以前は蒸留酒に使われていた 。色:麦わら色、縁は鮮やかな緑がかっている。香り:リンゴ、トロピカルフルーツ、アカシアの花、八角などのスパイスのニュアンス。 味わい:アタックは清涼感でドライ。すべてが完璧に調和している。
醸造:発酵は15度に管理されたステンレスタンクで約2週間。熟成はステンレスタンクにて、定期的にバトナージュを行いながら細かい澱とともに 3ヶ月間。
相性の良い食事:前菜やプリモ料理:シーフードや魚介類(カルパッチョなど、メイン料理:鶏肉を使った料理、ベーコンのアスパラ巻きなど
中川原まゆみのコメント:ファランギーナ種は主にカンパーニア州の海岸付近で栽培されています。しかし、この産地は内陸にあり、ファランギーナの味わいにも違いがあります。よりミネラル感が強く、中期熟成にも耐えられます。
ヴィッラ・ドーラ "ヴェスヴィオ・ピエディ・ロッソ"
Villa Dora "Vesuvio Piedirosso"
Vesuvio Piedirosso DOC
ワイン名:Vesuvio Piedirosso DOC(ヴェスヴィオ・ピエディ・ロッソ DOC)
ワインの種類:赤ワイン
ブドウの種類:ピエディロッソ 100%
生産地:南部イタリア、カンパーニア州、ナポリ県、テルツィーニョ
ワイナリー名:Società Agricola Villa Dora srl(ソチエタ・アグリコラ・ヴィッラ・ドーラ)
ワイナリーの特徴:私たちは世界的に有名なヴェスヴィオ火山の斜面、標高250〜300mに、12haのブドウ畑を持つ。1000年に一度と言われる火山活動によってできた火山灰と火山礫が混ざる土壌からできるワインはユニークな特徴を持つと言われている。1997年にヴィンチェンツォが祖父から受け継ぎ会社を設立。醸造家ロベルト・チプレッソの協力を得て、日々品質の向上に努めている。現在ピエディロッソ、アリアニコ、カプレトーネ、カタラネスカ、ファランギーナなどギリシャ由来のブドウ品種を栽培している。
ワインの特徴:色:ルビーレッド色、香り:ブラックベリーやサワーチェリー、ほのかなラベンダーとスパイシーな香り、さらに火山灰や火山礫の特徴的な香りも感じられる。味わい:フレッシュな口当たりと長い余韻。日常飲みに最適なワイン。
醸造:発酵とマセラシオンは12~14日間行う。熟成はステンレスタンクで6〜8ヶ月間。
相性の良い食事:ジビエ、プリモ料理、赤身肉のロースト、赤身肉の煮込み料理
中川原まゆみのコメント:火山性土壌はエトナ山だけではありません。このヴェスヴィオ山も火山の噴火によってできた産地です。火山性土壌の特徴はワインの後味に独特の塩味系のミネラルが感じられます。ワインはしっとりとした味わいです。