【11回目】ヴェネト州とフリウリ州
◆ヴェネト州とフリウリ州・・・アルプス山脈に面し、比較的冷涼な地域。中でも質、量ともに優良なことで有名なのがヴェネト州。特にプロセッコは“最も売れているスパークリング”と言われています。ヴェネトに隣接し、“白ワインの聖地”と呼ばれるフリウリ・ヴェネツィア・ジューリア州は、クリアで洗練された白ワイン産地として古くから定評があります。
ラ・トルデーラ "セライ"エクストラドライ
La Tordera "Serrai" Extra Dry
Conegliano Valdobbiadne Prosecco Superiore DOCG
ワイン名:"Serrai" Extra Dry "セライ"エクストラドライ
ワインの種類:スパークリングワイン
ブドウの種類:グレーラ100%
生産地:北イタリア ヴェネト州トレヴィーゾ県 バルドッビアーデネ自治体
ワイナリー名:La Tordera ラ・トルデーラ
ワイナリーの特徴:La Torderaはヴェネツィアとドロミーティの間に位置するプロセッコの名産地バルドッビアーデネの中央に位置する。自らの土地と伝統のつながりを忘れずに自然との調和と過去と未来のつながりを常に意識している。バルドッビアーデネの中のカルティッツェ地域の丘では毎秋ツグミが餌を探しにおりてきていた。現在はもう使われないがそのツグミのためのトルデーラという罠の名前がカンティーナの由来である。1918年に現オーナーの曾祖父が初めてブドウを植樹し、畑を始め、2018年には100周年を迎えた。四世代に渡って"ナチュラルバランス”掲げている。その一環の一つであるパッケージングにおいてはCO₂排出量の削減を試み、エチケットと包装紙には再生紙、キャップは100%リサイクル可能な環境適応素材を採択している。ボトルは700gほどしかなく、80%はリサイクルガラスで作られている。外装に使われる松の木も乾燥以外の工程は行われない。このような努力から、ワイナリーは必要なエネルギーのうちの70%を持続可能エネルギーで賄い、2018年にヴェネト州唯一のカーザ クリマ ワインの認定を受けるに至った。
ワインの特徴:視覚: 輝く麦わら色に明るい緑の淵、嗅覚: 洋梨とブルーベリーと桃の花の香り、味覚: 持続し甘さと酸とミネラルの調和が取れた味。フルートの後味、泡: 繊細で持続する。SO₂ 90-95㎎/L、残糖分: 14.5g/L
畑の特徴:標高: 200m、畑面積: 3.6ha、樹齢: 60年、仕立て: グイヨー,ドッピオ・カポヴォルト、南畑の向き、平均収量: 13500kg/ha、様々な大きさの脆い小石が多い地質
醸造:九月の終わりに収穫したブドウをソフトプレスして得られたモストを慎重な温度管理の下で発酵することで、グレーラ特有のアロマを保つ。二次発酵期間は4週間
相性の良い食事:魚介のリゾット、帆立の刺身やオーブン焼き、煮込んだ豚バラ肉、ドライプルーン、(提供温度: 8℃、大きめの白ワイングラスでサーブ)
中川原まゆみのコメント:イタリアを代表する発泡性ワイン。果実のフレッシュ感を楽しむことができ、心地いい、細やかな気泡が躍る。プロセッコは広い範囲で造られているが、ヴァルドッビアーデネは、適度な勾配のある伝統的な丘陵地帯。DOCのプロセッコとは違い、豊かな香りと複雑性がある。
カステルヴェッキオ "ヴィトフスカ"
Castelvecchio "Vitovska"
Carso DOC
ワイン名:Vitovska ヴィトフスカ
ワインの種類:ビオ白ワイン
ブドウの種類:ヴィトフスカ 100%
生産地:北イタリア フリウリ ヴェネツィア ジュリア州 ゴリツィア県 サグラード自治体
ワイナリー名:Castelvecchio カステルヴェッキオ
ワイナリーの特徴:歴史の記述によるとすでに1578年には、ブドウの木とオリーブが繁茂し、1700年以降に、現在のテッラーネオ家が所有するカステルヴェッキオ社の前身のテヌータ ヴィッラヴェネタが建てられた。カルソ・ディ・サグラードのカステルヌオーヴォ地区はゴツゴツとした岩が多いのと、非常に細かい赤土の地質が特徴である。南に海、北に山脈、西に平野、そして東にはスロヴェニアに続く広大な荒野が広がっている。この東の荒野にはアドリア海岸北部特有のボラと言われる季節風が夏と冬に吹いている。1970年代に1578年の記録に残るブドウ品種であるテッラーノ、レフォスコ、マルヴァジーア、ヴェルディーゾ、そしてヴィトフスカを再植樹した。ワイナリーが所有する120haの土地のうち、およそブドウ畑の面積は40ヘクタールに及び、養蜂や、自然な有機肥料をもたらすロバの放牧、そしてオリーブや果樹の栽培も同時に行っている。カルソの気候はブドウとオリーブにとって理想的である。夏の厳しい暑さはワインにストラクチャーを与え、夏の夜のさわやかな東風は、ワイナリーのワイン特有のフレッシュで持続するアロマを作り上げる。ポンプによる灌漑を維持するためにワイナリーには、土地の特徴を最大限に利用するための太陽光パネルとバイオマスエネルギー設備が備わっている。灌漑チューブは地表から20㎝の深さに設置されており、それぞれの株に水が染みわたり、根がでこぼこした岩に絡まりながら深く張るのを助け、全ての必要な栄養分を吸収できるようにしている。生育が難しく感じられる地質ながら、ブドウの木はより強い生命力を発揮し、その恩恵を受けてブドウが結実する。
ワインの特徴:視覚: 濃い麦わら色、嗅覚: 蜂蜜、蜜蠟やタイムのようなアロマティックなハーブ、味覚: 繊細でエレガントで生き生きとしたミネラルと強い塩味を感じられる。
畑の特徴:地質: 乾燥した岩の多い土地。鉄分と石灰の豊富な赤土、風が常に吹いており、海の影響を受ける。
醸造:手摘みしたブドウをソフトプレスし、アルコール発酵後、ステンレスタンクで澱と共に寝かせる。
相性の良い食事:食前酒向き、そのフレッシュな酸から前菜や生魚に合う。(提供温度: 10-12℃)
中川原まゆみのコメント:アドリア海から強風が吹き込む環境にあり、石灰礫を含んだ赤色土はワインに独特の硬いミネラル感を与える。太めのどっしりとした味わいには、青魚のグリルやフライドチキンがよく合う。
ヴィーニ・グリッロ "フリウラーノ"
Vini Grillo "Friulano"
Friuli Colli Orientali DOC
ワイン名:Friulano フリウラーノ
ワインの種類:辛口白ワイン
ブドウの種類:トカイ・フリウラーノ100%
生産地:北イタリア フリウリ=ヴェネツィア・ジュリア州 ウーディネ県 プレポット自治体
ワイナリー名:Vini Grillo ヴィーニ・グリッロ
ワイナリーの特徴:コッリ・オリエンターリ・デル・フリウリ(フリウリの東の丘)の勾配の穏やかな丘の中央、アルバーナ ディ プロポットにワイナリーは位置する。カンティーナは1600年代の有力者の館の中にあり、石造りの美しい壁は2003年に修復され、魅惑的な樽の貯蔵庫のまるで額縁のようである。貯蔵庫でワインが熟成されるその時間は、畑で行われた丁寧な仕事の実りを維持するために必要となる。自然の力を取り入れた冷房の技術はブドウの特徴、とりわけ素晴らしい香りを保つことに大きく貢献している。そして、ワインの中に好ましくない残留物を残さないという明確な目標のもとに畑を管理している。美味しい一杯のワインを飲むのはただ純粋な歓びであるべきと考えているのだ。ブドウにおける主な病気に関しては、銅べ―スのより自然に近く、環境負荷の少ない薬を少なく量で使用している。肥料も、土壌を肥沃にし、状態を改善するためもっとも有効な有機堆肥を使用している。さらにはワインの複雑性を増すために様々な他のブドウ畑から集めた同じ品種のブドウの樹が畑には植わっている。これにより一つの品種の畑の中でもブドウの多様性が増し、一元化していないブドウ畑から複雑性が生まれる。ワイナリーの目標は飲んだ人が夢中になり忘れられないワインを作ることだが、環境とそこに住む人の健康を損なわないことが大原則なのである。
ワインの特徴:視覚: 麦わらの黄色、嗅覚: 柑橘の香り、味覚: アーモンドと軽やかなアロマティックな後味でフルボディ。
畑の特徴: 樹齢:51年、仕立て: グイヨードッピオカポヴォルト、灌漑・除草なし、岩が砕けてできた石灰粘土質
醸造:9月初週に手摘みしたブドウを除梗後、冷却状態で酵素の使用なしにマセレーションする。ソフトプレス後、10-11℃で澱引きし、酵母を加え15℃で発酵する。その後、4-5℃で五日ほどワインを寝かせ、澱とともに6か月ほど熟成させる。翌年4月に瓶詰し、6月にリリース。
相性の良い食事:伝統的なペアリングはサンダニエーレ産生ハム、野菜との相性も良く、特にアスパラガスや春のハーブを使用したリゾットや卵料理甲殻類を使用した料理とも相性がよい。
中川原まゆみのコメント:プレポット地区は森林に囲まれた固有の環境にある。全体に適度な湿度感があり、ワインにもしっとりとしニュアンスが残る。土着品種のフリウラーノで造るワインもここでは柔らかく落ち着いた味わい。