iMS をもっと知る > 活動報告 > 研究系業務効率化の公開講座を岡山大学で開催!
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2025年12月8日に、iMS岡山が主催する初のイベントを開催しました。
デジタルアートや次世代研究者育成、組織運営を行う中で得られた業務効率化に関するノウハウをiMS内外に共有することを目的に、岡山大学の学生や教職員を対象として公開講座を実施しました。
【開催日】
2025年12月8日
【イベント名】
研究室の「面倒くさい」を自動化!ノーコード&AIツール活用講座
【会場】
岡山大学 共創イノベーションラボ(KIBINOVE:きびのべ) 5階
【活動内容】
研究系業務効率化を目的に、Google 系サービスを連携した活用法を紹介
AI時代の教育について、DXリーディングスクールのGoogle認定教育者が展望述べる
18:00-18:25 受付
18:30-19:30 セッション1
なぜ今、自動化なのか?
Geminiを使った議事録自動作成体験(ハンズオン1)
NotebookLMでプロトコル/議事録共有(ハンズオン2)
NotebookLMとGeminiの比較
Google App Sheet体験(ハンズオン3)
19:30-20:30 セッション2
Gemini の活用
Notebook LM の活用
AI時代の教育
情報共有ツールの活用
この記事で書くこと
公開講座でなにをしたのかは、公開講座のページに教材などすべて載せているので譲ることにしましょう。また、岡山大学 工学部のHPでも取り上げていただきました。
単調に公開講座のことを書いても面白くないと思うので、今回は裏話を中心につらつらと書いていきたいと思います。
当初の企画は違っていた
公開講座の企画が動き出したのは、9月頃のことでした。「iMSのプロジェクトで得た技術やノウハウを共有する」というコンセプトは当初から一貫していましたが、実はイベントの形式や内容は、計画段階で大きく変貌を遂げています。当初は、岡山大学にて高校生や学部生を対象としたワークショップを想定していました。iMS岡山の所属員3名が中心となり、「BlenderやUnityを用いた映像制作」「機械学習」「ガチで数学を解く会」という3本立ての同時開催プランを練ってくれており、非常に魅力的な企画でした。
しかし、学業と並行しての準備はハードで、気づけば2025年も終盤。12月に控えていた三好市での規模の大きなデジタル教育イベントとのリソース調整も課題となり、焦りと共に「本当にこの内容で良いのか」という議論が何度も繰り返されました。そんな中、挙がったアイディアが、8月の交流会で話題になった「GAS(Google Apps Script)」です。最終的にGASをテーマに選んだ理由は、主に以下の4点でした。
LLM活用との相性: プロンプトを投げるだけで、手軽に業務効率化ができる。
Google連携の強さ: スプレッドシートやGmailなどとの連携が極めて便利。
新規性: 大学内での活用事例がまだ少なく、実施する意義が大きい。
内部資産の活用: iMS内での利用が進んでおり、ノウハウが蓄積されていた。
特に2点目の「便利さ・効率化」に関しては、筆者自身、強い危機感を持っていました。 iMS徳島に所属する先生から「DXハイスクール」などの最先端の教育事情を伺う中で、数年後の入学生は「AIを当たり前に使いこなす世代」であると痛感させられたからです。また、私たち実施するデジタルイベントの参加者が将来大学に入ったことを想像してみると、大学での学習や研究においても積極的にAIやツールを活用しなければ、世界はおろか、これから入ってくる学部生とすら競えないレベルになってしまうことは明らかでした。そんな危機意識が、今回の講座開催への強い動機となりました。
公開講座の内容について
GASというテーマは決まりましたが、次は「具体的に何をするか」が課題です。企画メンバーの一人は現役の研究室所属であり、「実験機器の使用方法の指導や、日々の情報共有をもっと効率化したい」という切実な願いを持っていました。iMSではこれまでも業務効率化に向けた講座を行ったことがありますが、「組織の若手だけがスキルを身につけても、過半数の意識が変わらなければ効果は薄い」というのが現実でした。そこで今回は、学生だけでなく教職員も対象とし、全方位から意識を変えていくことを目指しました。
しかし、学部生から教職員まで対象を広げると、ニーズや知識レベルのばらつきが懸念されます。正直なところ、セッション1を担当した学生にとっては、「教職員に対して学生が“教える”なんて、一歩間違えれば大学生活が終わるのでは…?」という恐怖すらあったそうです(笑)。それでもあえて教職員の方を対象にしたのには、別の理由もあります。それは「iMSの学生の頼もしさを知ってほしい」という点です。 自発的に技術を学び、人柄も素晴らしい子たちと直接話していただくことで、「今の学生はなかなかやるな」「いい子たちだな」と感じてもらいたい——そんな密かな「企み」も、実はこの企画に含まれていました。
それはさておき、大学におけるこの手のワークショップを見渡したときに、「取り入れるには手間がかかるし無料枠でできること少ないじゃん」という印象がありました。「詳しい原理とかはどうでもよくて、とにかく手軽かつ無料で業務を効率化したい」「一人じゃなくて、研究室の全員ができるようにしたい」という企画者の願いを実現するため、最終的に以下のような企画にしました。
目的
本業の傍らで研究活動を効率化する
研究室の全員の意識を変え、効率化を組織的に進められるようにする
「無料かつ手軽」にこだわった方法を伝える
対象
岡山大学の学部生、院生、教職員
内容
実際の事例を中心に、網羅的にツールの連携を紹介する
いよいよ当日
企画から開催に至るまで、会場がないとか日程が合わないとかいろいろありましたが、なんとか当日を迎えられました。実は、12月5、6、7日は徳島でイベントをしており、本講座の実施日である12月8日は4日目だったんですよね。4日連続で会っている人もいて、ほくろの場所まで記憶してしまうほど濃密な時間を過ごしました。
そんななか、徳島からは2人のスタッフが応援に駆けつけてくれましたが、実はこの日がハネムーン1日目でした。新婚旅行の初日をワークショップの運営に捧げさせて良いものか…と恐縮でしたが、ある意味で唯一無二の忘れられない思い出になったのではないでしょうか笑。また、香川からも撮影担当のスタッフが来てくれ、お昼過ぎには岡山の学生がキャンパスを案内するなど、和やかな交流の時間も持てました。
ちなみに徳島からお越しになったセッション2を担当した方ですが、Google だけでなく、Microsoft や Apple の認定教育者の先生です。また、リーディングDXスクールという、全国の小中高等学校を合わせて200校のみが認定されている学校の先生でもあり、教育×AIについて最前線の現場から話をしていただきました。リーディングDXスクールとは、「GIGA端末の標準仕様に含まれている汎用的なソフトウェアとクラウド環境を十全に活用し、児童生徒の情報活用能力の育成を図りつつ、個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実や校務DXを行い、全国に好事例を展開するための事業です。」とのことです。
また、事前にKIBINOVEの職員さんに会場の下見と機材の扱いを教えていただきました。機材や環境の充実度合いに興奮したし、職員さんの親切さに感動しました。ただ、本番ではオンライン配信がうまくできなくて焦っていました笑。また、講座で使用する資料については事前に確認し合いました。「工学系の学術向けにはこの書き方は嫌われる」とか、「もう少しキャッチーにしたほうがいい」とか、いろいろ話しました。
講座がスタートして。。。
講座の直前まで、内容を詰めていた人もいます。iMSの紹介を冒頭でお願い!と頼み、慌てながら作ってもらいました。うまくまとめてくれてありがとう。
さて、講座がスタートして3分ぐらいで、セッション1を担当した人曰く、「ああ、これかなり厳しい」と思っていたようです。空気感が固く、セッション1がスタートして5分ぐらいで心が折れかけていたようです笑。あと、内容を詰め込みすぎて時間がかかりすぎた。。とずっと反省していました。。。笑
セッション2は、さすが中学校の先生だなと思いましたね。スタッフも受講しているとき、どこか懐かしさを感じました。ちなみに、セッション2のときは同時並行で少しずつ片付けもしていました。講座終了から撤収完了までの時間が30分未満だったのでけっこう焦っていたんですね。
打ち上げ → 反省会
片付けまで終わった後、4日間の打ち上げをしました。地域も年齢も分野も異なる人ですが、毎日会っていたら仲良くなりますね。所謂打ち上げをしようと言って集まりましたが、最後は反省会になっていました。特に、公開講座はこれでいいのか、我々がする意義があるのか、など、それぞれの立場から意見を言い合いました。結論はまとまり切らなかったですが、技術力を高める必要があるし、教育的な要素も大切にしないといけないと思いました。
アンケート結果に基づく事後評価
以下はGeminiにアンケート結果を入れて、「アンケート結果について、簡潔かつ忖度のなくまとめてください」と投げました。ただし、Geminiとの過去のチャット履歴なども影響するので、再現性の保証はできません。
ご提示いただいたアンケートデータを基に、感情的な表現を排し、客観的な事実と分析のみで構成した学術的報告書形式の文章を作成しました。
本講座終了後、参加者(教員、大学院生、学部生、URA、技術職員等)を対象に無記名アンケートを実施した。以下に、得られた回答データの集計結果および、記述内容に基づく分析結果を報告する。
1.定量的評価:満足度および学習効果
総合的な満足度については、全回答者が5段階評価において「5: 非常に満足」または「4: 満足」と回答しており、本企画の有用性は高く評価されたと言える。 受講者が関心を持ったトピックとしては、「議事録作成の自動化」「AIによる資料読み込み」「ノーコードでのアプリ作成」が上位を占めた。職種や学年を問わず、研究・業務における事務的作業の効率化に対する需要が共通して高いことが裏付けられた。
2.受講者属性による難易度認識の分散
講義内容の難易度および進度については、受講者のバックグラウンドにより評価の乖離(かいり)が確認された。
教員・修士学生層: 難易度を「2: やや簡単だった」と評価する傾向が見られ、基礎的なリテラシーを有する層にとっては、技術的な深掘りが不足していた可能性がある。
学部生・技術職員層: 大半が「3: ちょうどよかった」と回答しており、設定されたレベルは適切であったと推測される。
URA(リサーチ・アドミニストレーター): 「4: やや難しかった」「時間が短かった」との回答があり、ハンズオン形式の実践において、想定以上の時間を要したことが示唆される。
この結果は、幅広い属性を一律のカリキュラムで扱うことの限界を示しており、次回以降は習熟度別のクラス分けや、対象層の絞り込みが検討課題となる。
3.運営体制および指導方法への評価
自由記述回答において、運営スタッフによる巡回指導(個別のフォローアップ)に対する具体的かつ肯定的な評価が得られた。 特に「講師の進行に追いつけない際の個別サポート」が学習の継続に寄与したとの記述があり、初学者を含むハンズオン形式の講義において、人的リソースによる多層的なサポート体制が有効に機能したことが確認された。
4.ガバナンスおよびセキュリティに関する課題
質的評価における重要な指摘事項として、教員より「入力データのセキュリティ管理」に関する懸念が挙げられた。 業務効率化ツールの導入において、利便性の提示に留まらず、大学組織における機密情報の取り扱いや、外部サービス利用時のデータガバナンス(入力データの学習利用の可否等)に関する説明が不足していた点は、学術機関における講義として不備があったと言える。 今後は、技術的なハウツーに加え、情報セキュリティやリスク管理を含めた包括的なプログラム構成が求められる。
5.今後の展望と要望
次回以降のテーマとして、「Pythonを用いたデータ分析(初学者向け)」や「Webサイト構築・運用」への要望が挙げられた。今回明らかになった「属性による難易度認識の差異」と「セキュリティ教育の必要性」を踏まえ、よりターゲットを明確化した企画設計を行う必要がある。