日本では、忙しいライフスタイルの定着や保存食への需要増加を背景として、缶詰食品市場が安定的に成長しています。家庭向けのみならず、業務用、アウトドア用途、非常食としての需要も高まっており、市場拡大の重要な要因となっています。
また、世界的な食品トレンドに合わせて、日本企業は品質・安全性・利便性を高めた高付加価値の缶詰製品を多く展開しており、競争力向上につながっています。
・2019年の世界の缶詰食品市場規模は約 919億米ドル
・2032年には約 1,111.3億米ドル に到達する見込み
・予測期間の CAGR は約1.57%
日本市場も同様に、保存性・利便性・品質を求める消費者の増加により、安定的な成長が見込まれています。
・最も大きなシェアを持つのは「缶詰シーフード」
栄養価が高く、保存性に優れ、調理が簡単なことから、家庭料理やサラダ、サンドイッチなど幅広い用途で消費されています。
・そのほか、果物・野菜の缶詰、肉類の缶詰、調理済み食品の缶詰 も一定の需要があります。果物や野菜の缶詰は、ビタミンやミネラル補給ができ、手軽な保存食や間食として人気です。
缶詰食品市場の主な成長ドライバーは以下の通りです。
長期保存ができ、手間なく調理できる利便性
厳格な品質管理による安全性の向上
共働き世帯の増加による調理済み・即食食品の需要拡大
自然食品・オーガニック食品への関心の高まりに伴う、添加物の少ない缶詰の人気上昇
一方で、以下の課題も存在します。
錫缶やアルミ缶は生分解性がなく、廃棄後の環境負荷が高い点
使い捨て包装に対する消費者の意識変化により、従来型包装への購入抵抗が高まっている点
これらの環境問題は、今後の市場成長に影響する可能性があります。
ライフスタイルの変化
時間をかけずに食事を準備したいというニーズが増加。
災害対策としての需要
長期保存可能な缶詰は、非常食・備蓄食として価値が高い。
高付加価値商品の増加
プレミアム食品、オーガニック缶詰、プロテイン強化缶詰など、差別化された商品が増えている。
オンライン販売の拡大
食品通販が一般化し、缶詰の購入機会が増加している。
メーカーは「保存食」から「健康志向・高品質・便利」といった新たな付加価値を打ち出すことで市場拡大を図ることができる。
リサイクル可能なパッケージ、サステナブル容器を採用することが、環境配慮型商品として評価される。
非常食やアウトドア需要、ギフトセットなど、新たな用途市場を開拓することでさらなる成長が期待される。
日本の缶詰食品市場は、利便性・保存性・安全性の高さから、現代の生活様式に非常に適した食品として位置づけられています。今後は、健康志向・高品質化・環境配慮型パッケージといった付加価値を加えることで、市場のさらなる発展が見込まれます。
2020年5月、缶詰ホットドッグ・肉製品ブランド「Ye Olde Oak Foods Ltd.」は、デジタルマーケティング会社Fablr Ltd.の支援を受け、新たなオンラインウェブサイトを立ち上げました。これにより、活気あるウェブ上の存在感を確立し、自社製品をオンラインプラットフォームで展示しています。
2020年4月、イタリア料理ブランド「ナポリーナ」は、新コンビニエンスフードシリーズの一環として、水切り済みキヌア缶詰を発売した。同シリーズの他製品には、ひよこ豆、赤インゲン豆、カネリーニ豆が含まれる。