世界的な健康志向の高まりを背景に、ゼロ砂糖飲料(シュガーフリー飲料・無糖飲料)市場は近年急速な成長を遂げています。世界のゼロ砂糖飲料市場は2024年時点で約653億米ドル規模とされ、2032年までに年平均成長率(CAGR)11.63%で拡大し、最終的には1,553.8億米ドルへ到達すると予測されています。特にアジア太平洋地域の成長が顕著で、2024年の地域シェアは約38%を占め、市場拡大の中心地として注目されています。
日本においても健康意識の高まりが強く、ゼロ砂糖飲料への需要は年々高まっています。糖質制限食の普及や、肥満・生活習慣病への対策として砂糖を控える人が増えていることが背景にあります。若年層から中高年層まで幅広い層がゼロ砂糖飲料を選ぶようになり、炭酸飲料、スポーツドリンク、RTD(飲料準備済み)茶、ゼロシュガーコーヒーなど、多様なカテゴリでラインアップが拡大しています。
市場では、既存の飲料メーカーがゼロ糖バリエーションを増やす動きが加速しています。また、天然甘味料や植物由来成分を使った“クリーンラベル”製品の人気が高まり、無糖でありながら風味や満足感を重視した商品開発が進んでいます。特に、ハーブエキスやフルーツエッセンスを用いたプレミアム飲料や、健康機能性を訴求する製品が消費者の支持を集めています。
ゼロ砂糖飲料は「ノンアルコール飲料」と「アルコール飲料」に分類されます。
現状ではノンアルコール飲料が市場をリードしており、炭酸飲料、果汁飲料、ノンシュガー紅茶・コーヒーなどの需要が高まっています。また、健康志向の高まりを受けて、ゼロ砂糖スムージーやプロテイン飲料などの機能性飲料も成長が期待されています。
アルコール飲料においても、ゼロ糖ハードセルツァーやゼロ糖RTDカクテルが伸びており、飲酒習慣を持つ成人層の間でも糖質オフへの意識が強まっています。
ボトル(PET・ガラス)が依然として主流で、持ち運びやすさから最も高い市場シェアを占めています。一方、缶(アルミ)が予測期間中に最も高い成長率を見せるとされ、環境配慮やリサイクル性の高さが選ばれる理由となっています。
スーパーマーケットやハイパーマーケットが主要チャネルであり、消費者が多様なゼロ糖飲料を直接比較しやすい環境が整っています。また、オンライン販売の需要も急伸しており、ECサイトでのまとめ買いやサブスクリプションサービスの普及が、ゼロ砂糖飲料の浸透をさらに後押ししています。
健康意識の上昇
糖尿病予防やダイエット目的で砂糖摂取量を減らしたいニーズが増加。
製品の多様化とプレミアム化
植物由来甘味料や天然成分を配合した高付加価値製品が人気。
大手飲料メーカーの参入強化
国内外メーカーがゼロ糖ブランドを積極展開し、競争が活発化。
技術革新
天然甘味料の味質改良や、健康機能性飲料の開発による製品レベルの向上。
ゼロ砂糖飲料市場が急成長する一方で、いくつかの課題も存在します。
規制・表示要件の複雑化
甘味料や食品添加物の使用制限、表示基準が国ごとに異なり、製品開発に影響。
甘味料への安全性懸念
一部の人工甘味料に対する消費者不信があり、ブランドは透明性の高い原材料を求められる。
製品品質のバラつき
市場の拡大に伴い、低品質の模倣品が出回るリスクも指摘されている。
サプライチェーンの変動
原材料コストや物流の課題が価格に影響する可能性もある。
日本のゼロ砂糖飲料市場は、今後大きな成長が期待されています。特に以下の要素が市場拡大のポイントとなります。
天然甘味料を活用した商品開発の強化
ブランドの多角化と高付加価値戦略
オンラインチャネルの活用拡大
規制に対応した安全で信頼性の高い製品づくり
消費者の健康志向は今後も続くため、ゼロ砂糖飲料市場は日本の飲料業界における重要カテゴリーとして注目され続けるでしょう。
2025年2月:主要飲料メーカーの一つであるザ・コカ・コーラ・カンパニーは、ファンタブランドで3つの無糖製品を発売した。新製品は「ファンタ ゼロ アップル」「ファンタ ゼロ ラズベリー」、および限定フレーバー「ファンタ トゥッティフルッティ ゼロシュガー」で展開される。
2025年2月:新興飲料ブランド「モグモグ」が、2種類の無糖シリーズ「モグモグ ゼロシュガー サマーベリー」「ゼロシュガー トロピカルデライト」を発売。