ガス絶縁開閉装置(GIS:Gas-Insulated Switchgear)は、高電圧変電所や送配電ネットワークで使用される重要な機器であり、回路ブレーカーやアイソレータ、アーススイッチ、バスバーなどを硫黄ヘキサフルオライド(SF6)ガスで満たした密閉モジュール内に格納した装置です。GIS は空気絶縁開閉装置と比較して必要スペースが非常に小さく、変電所の設置面積を大幅に削減できることが特徴です。都市部や地下施設、限られたスペースでの設置に最適であり、近年、世界中で採用が拡大しています。
世界のガス絶縁開閉装置市場は、2018年に 211.3 億米ドル と評価されました。市場は今後も安定的に拡大し、2032年には 568.6 億米ドル に達すると予測されています。予測期間中の年平均成長率(CAGR)は 7.38% と見込まれています。
別の調査によると、市場は 2022 年から 2030 年の間に CAGR 6.7% で成長し、2030 年には約 391.6 億米ドル に達する可能性が示されています。
この強い成長の背景には、都市化の進展、再生可能エネルギーの導入増加、送配電網の拡張、スマートグリッドの進化が挙げられます。
日本市場では、都市部の限られたスペースで高信頼性の変電設備が求められることから、GIS の採用が拡大しています。都市部・地下・屋内設備での変電所需要が増加しており、コンパクトでメンテナンス性が高い GIS は非常に適しています。
また、再生可能エネルギーの導入が加速しており、電力系統の安定化や効率化が大きな課題です。GIS は再生可能エネルギーの連系においても高い信頼性と安全性を提供できるため、日本市場での需要は今後も拡大すると見込まれています。
GIS は空間効率が高いため、都市部や地下などの狭いスペースでの変電所設置に最適です。従来の空気絶縁設備と比べ、必要な敷地面積を大幅に削減できます。
老朽化した送電インフラの更新やスマートグリッドの導入、再生可能エネルギーの接続増加により、GIS の需要が増えています。
大規模送電や高電圧用途では、安全性・信頼性の高い機器が必須であり、GIS の採用が進んでいます。
風力・太陽光の急増に伴い、変動電源を安定的に制御するための高度電力設備の需要が高まっています。
GIS は密閉構造を採用しており、材料や製造コストが高く、初期投資が大きい点が課題です。
SF6 は非常に強力な温室効果ガスであり、環境規制の強化や代替ガスの採用が求められています。今後は環境配慮型 GIS の開発が重要になります。
日本はスペース制約が厳しい都市環境、高度な電力インフラ、再生可能エネルギー拡大という背景を持つため、GIS の導入が最適な市場環境と言えます。コンパクトで高性能な特性は今後の電力インフラ整備と完全に一致しており、需要は継続して増加すると見られます。
一方、コスト削減や SF6 ガス削減など課題もありますが、技術革新により市場拡大は続く見通しです。
2021年4月、シーメンスは、フィンランドの送電システムオペレーターであるFingridに、ヘキサフルオリド硫黄(SF6)の無料ガス挿入スイッチギアを10匹のベイを配達する契約を獲得しました。この契約には、SF6に取って代わるフィンランドで最初のGISがあり、ヨーロッパでのSF6フリーGISのシーメンスの最大の注文を代表しています。
2020年5月、ヒュンダイエレクトリックは、サウジアラビアで2860万米ドル相当の2つの契約を授与されました。この契約には、電力変圧器とガス断熱のスイッチギアが州のユーティリティ会社サウジ電気会社(SEC)と石油会社サウジアラムコに供給されます。