2017年6月公演

最初の「ムジカーザでガムラン」はこんな感じでした

2年ぶり3度目の東京公演。せっかくならば交通の便が良く、人が集まりやすい会場でと、代々木上原の高台にあるコンサートホール「ムジカーザ」に会場を移し、昼夜2回公演を行いました。

このホールが面白いのは、中2階や2階席もある明るく立体的な構造はもとより、上演中の飲食も認めていること。代々木上原の人気店ファイアーキングカフェの特製「あじあごはん」の仕出し頼み、夜はそれを味わいながら舞台を楽しんでもらったり、会場内にインドネシアの生菓子の販売コーナーを設けたのも、この会場だからできたこと。都内にそれを許してくれるホールはなかなかありません。

地元の商店街の方もノリがよく、5月の子供の日の商店街イベントでガムラン公演の告知をし、チラシも配らせてくれました。お客様の中には地元の方も大勢いらしたようです。


201762日(金)「ムジカーザでガムラン」

 昼の部15:30開演/夜の部18:45開演

 会場/ムジカーザ(東京都渋谷区西原3-33-1


平日でしたが昼夜2回公演。心配した昼の部も80人以上の予約があり、ほぼ満席。夜の部は1週間前に前売り予約だけで完売という盛況。昼の部のニーズが思った以上にあることに気付きました。朝日新聞(517日武蔵野版)、毎日新聞(522日首都圏版)、読売新聞(523日夕刊)と3紙が公演情報を掲載してくれたのも助けになりました。


◆出演

 ローフィット・イブラヒム

 佐々木宏実

 ナナン・アナント・ウィチャクソノ

 西田有里

 スミヤント

 根津亜矢子

 岩本象一

 西岡美緒(初参加)


◆プログラム(途中休憩あり約2時間)

開会の曲

  ウィルジュン Willjung

定型詩モチョパットの吟詠 Macapat

遊び歌メドレー

  レレ・レレ・スンバセッ Lere-Lere Sumbangsih ほか

・王宮舞踊

  昼の部 踊り/西岡美緒

   スカル・プディヤストゥティ Sekar Pudyastuti

  夜の部 踊り/根津亜矢子

   スリンピ・アングリール・ムゥンドゥン

   Srimpi Anglir Mendhung

・こども向け影絵芝居

 「しじみのさぶちゃん」

    ~休憩~

・ジャワ影絵芝居ワヤン・クリ

 「おいしそうなビモ」

・ジャティラン Jatilan

 (騎馬の舞い、虎舞い)

公演は、前半がガムラン演奏と舞踊、それに子ども向けの影絵芝居。後半が、ジャワの影絵芝居「おいしそうなビモ」の上演。フィナーレはジャティランと呼ばれる騎馬の舞いと虎舞い。昼夜ともにお子さま連れの方がいて、カーペット敷きの桟敷席に座ったり、どうかすると前に出て踊り出したりして、時にややカオスに近い状態にはなりましたが、独特の活気に包まれていました。以下は、公演直後のブログ記事からの抜粋です。

開会のガムラン曲「ウィルジュン」に続いて、ローフィットさんがジャワの定型詩「モチョパット」を吟詠。農作業を終えた夕方、田畑の見える東家で独吟するという態で、背後から牛やニワトリ、犬などの鳴き声も聞こえてきます。

次に演奏した唄つきの曲「レレ・レレ・スンバセ」は、男女の小さな口争いを題材にしたもの。曲調も軽やかな、町場の大人の歌。

続いては宮廷舞踊。昼の部の「スカル・プディヤストゥティ」(踊り手/西岡美緒)はジョグジャカルタの舞踊で、曲調も軽やかならば、所作もコケティッシュ。結婚式などのセレモニーの開会の踊りとして、この5分バージョンのものがよく披露されますが、まさにそんなイメージだったのでは。

一方、夜の部の「アングリール・ムンドゥン」(踊り手/根津亜矢子)はスラカルタ(ソロ)の舞踊で、バナナのようなクマナッという楽器と、大鍋を伏せたようなクノンという楽器、それに手拍子だけのパートが続き、どこか呪術的な色合いがあります。裾を返すたびに床に花びらが散りばめられ、たった15分の踊りの中にいくつものドラマがぎゅっと凝縮されている。

子ども向けに作られた影絵劇「しじみのさぶちゃん」は、佐々木宏実さんがおじいちゃんから寝物語に聞かせてもらった話を影絵劇に仕立てたもの。しじみ3兄弟の人形はジャワの人形作家に頼んで作ってもらったそうですが、しじみは二枚貝だとさんざん説明したのに、主人公はこうじゃなくちゃイカンと言い張られて、巻貝の形に。

休憩はさんだ後半は、影絵芝居ワヤン「おいしそうなビモ」の上演。3分ほどの前奏曲(タル)の後、正味30分の超駆け足上演でしたが、人形が激しく動き、音楽もまた激しく、なかなか迫力のある舞台でした。本気でやれば2時間くらいかかる物語を30分でまとめたのですが、鬼たちを退治して、めでたしめでたしというのも、実は今のジャワのワヤンらしいかもしれません。

そのまま「ジャティラン(Jatilan)」と呼ばれる騎馬舞い、虎舞いになり、公演は賑やかに終演しました。

この年から参加し、昼の部の舞踊を担当した西岡美緒さん。演目は「スカル・ブディヤストゥティ」

夜の部の舞踊を担当した根津亜矢子さん。演目は「アングリール・ムンドゥン」

ハナジョスの2人だけで演じた影絵「しじみのさぶちゃん」

影絵芝居「おいしそうなビモ」の一場面

昼の部の終演時のあいさつ風景。この時間帯、亜矢子さんは楽屋で育児中

2階の売店で楽器、CD、インドネシアの生菓子などを販売してくれたスタッフの皆さん

【その他の会場での公演について】

201763日(土) 15:00開演

 「神代団地でガムラン」

 神代団地集会室

  (東京都調布市西つつじが丘)

主催者(中村)の近所の団地で、1時間ほどの投げ銭コンサート。たまに遊びに行っていた団地自治会主催のカレーランチの日に、「ここでガムランコンサートやりませんか」と持ちかけたら、「投げ銭でいいの?」と心配しながらノリノリで準備をしてくださいました。当日、会場に来てくださった方、外の木陰で聞いて下さった方を合わせれば、けっこうな人数が集まり、主催してくれた方々も大喜び。ガムラン演奏、宮廷舞踊を見ていただき、最後にジャティラン(騎馬の舞い)を子どもたちと一緒に。あえて額は申しませんが、十分すぎるほどの投げ銭もいただきましたよ。

団地の集会室はほぼ満席。投げ銭ざるには紙幣も

大阪組6人で演奏

美緒さんの踊りを、ドアの外で見守る子どもたち

最後は馬の踊りの体験教室に

201764日(日) 14:00開演

 「おいしそうなビモ」

 古民家ギャラリーかぐや

  (埼玉県比企郡滑川町福田1560

2014年、2015年に続いて3回目の公演。内容はムジカーザと同じで、会場内で食べ物や飲み物の販売があるところも同じ。この会場に楽器を置いたり、影絵芝居のスクリーンを張ると、なんだかジャワにいるような気分になります。終演後には打ち上げまで開いてくださり、片付け終えたメンバーもすっかり寛いでいました。

亜矢子さんが動くと、バラの花びらが床に広がっていく

一段高い特等席で「しじみのさぶちゃん」を食い入るように見つめる子どもたち

フィナーレはおなじみの馬の踊り

終演後に、心づくしの料理を並べて茶話会を開いてくれた

出演者、古民家ギャラリーかぐやの関係者、公演スタッフで記念の1枚。結局、これが「かぐや」での最後の公演になってしまいましたが、「かぐや」は今も元気で活動中です

ムジカーザでの公演を見た方の感想

●いろいろ盛りだくさん(楽器、歌、踊り、ワヤン、遊び)で楽しかったです。(女性)

●昔のホッコリした雰囲気がよかった。(不明)

●心地よい音色にいやされました。(不明)

●皆さん芸達者ですね! 心が熱くなりました! 益々のご活躍を! (女性)

●詩の朗読が良かったです。もっと長く聞きたかった。(不明)

●皆さんの創りだす世界に深く引き込まれ、存分に楽しむことができました。踊っておられたお子さんもとても楽しんでおられたようですが、それも魅力の一つと思います。(男性)

●「しじみのさぶちゃん」のような新作もできるなんて、まだいろいろ広がりそう。(女性)

●ガムランの音色がステキでした。フィナーレは迫力があり圧倒されました。いい会場ですね。(不明)

●ガムランもプシンデン(歌い手)もとてもレベルが高く、感動しました。ダラン(人形師)の方もスペースなどの制約が多い中、素晴らしいパフォーマンスでした。(男性)

●笑いがたくさんあって、たのしかったです。(不明)

●初めてナマで見てインドネシアに行ってみたくなりました。(不明)

●ジャワの芸能に詳しい友人の影響で興味を持ちました。各ジャンルのポイントが見られてよかった。また見たい、また聞きたいです。(女性)

●影絵芝居がとてもきれいで楽しかったです。お弁当もおいしかったです。(不明)

●とにかく楽しかったです。子どもたちの笑い声。「しじみのさぶちゃん」はウサキとカメの物語を思い出しました。一日、昼夜公演だけではもったいないです。(女性)


ムジカーザでガムランのフライヤー (レイアウト/折原カズヒロ)