2014年9月公演

「爪哇(じゃわ)の夜遊び」はこんな感じでした

大阪在住者を中心にした特別編成のユニットによる初の関東での公演。ジャワ繁華街の路上や広場で見ることができる芸能を、飲み食いしながら気楽に楽しんでもらおうと、公演名を「爪哇(ジャワ)の夜遊びのココロだ!」に(故・小沢昭一さんのラジオ「小沢昭一の 小沢正一的こころ」にあやかったものです)。


2014919日(金) 19:00開演

 馬喰町ART+EAT

 (千代田区東神田1-2-11 アガタ竹澤ビル2階)


◆出演

 ローフィット・イブラヒム

 佐々木宏実

 ナナン・アナント・ウィチャクソノ

 西田有里

 スミヤント

 根津亜矢子(埼玉公演のみ出演)


◆プログラム(約2時間)

ガムラン古典曲「ウィルジュン」

・影絵芝居前奏曲(タル)

・影絵芝居ワヤン・クリ「ビモの羊膜」

   (休憩)

・ジャワ古典舞踊

 (踊り/根津亜矢子 埼玉公演のみ)

・モチョパット(定型詩の吟詠)

・ガムランと歌

  (ジャワのガムラン歌謡)

・ショラワタン

  (ジャワのイスラーム風音楽)

・ジャティラン

  (男性による舞踊・獅子舞)


定員50人のディナー+ドリンク付きの公演が2か月前には予約完売。店のスタッフが用意してくれたディナーは、なんとジャワの名物料理「ラウォン」でした。ワヤンを題材にした絵本「スマントリとスコスロノ」(文/乾千恵、画/早川純子)の原画展も同時開催しています。

公演は影絵芝居ワヤン・クリのほかに、男性・女性の舞踊、さらには「路上音楽コーナー」という括りで、広場や村の集会所などで聞くことができるジャワの身近な音楽の数々を演奏。語り芸、お座敷音楽、舞踊の要素をすべて見てもらえるジャワ伝統芸能バラエティーショー、それを寄席で演芸を楽しむような雰囲気で気楽に接してもらおうというのが、この公演のコンセプトでした。

せっかくなので、語り芸でもあるワヤンの冒頭は、人形師ローフィットさんにジャワ語で語ってもらい、独特の抑揚やリズム感を楽しんでもらいました(もちろん、途中から語りは日本語に)。初めての方は呆気にとられたかもしれませんが、語りが突然日本語に変わり意味がわかるようになると、とたんに笑いが起きたり、見ている子どもたちがオウム返しに口マネしているのを、周りの大人たちも一緒に楽しんだり、なかなかジャワらしい雰囲気になったような気がします。大詰めの「ジャティラン」や「バロンガン」という男性舞踊では、詰め掛けたお客さん全員が手拍子で盛り上げ、文字通りの大団円を迎えました。

公演は3か所。ほぼ同じ内容で、東京都千代田区・馬喰横山の「馬喰町ART+EAT」を手はじめに、埼玉県比企郡・森林公園の「古民家ギャラリーかぐや」、同じく比企郡滑川町の「海族鮮山忠・滑川店」を巡回。公演時間は夜だったり夕方だったり昼間だったりまちまちでしたが、どなたにも「夜遊び」気分を味わってもらえたようです。

影絵芝居ワヤン。主人公が地獄に迷い込む展開に、落語みたいだった、の感想あり

演者と観客席とがいやに近いライブでした

チケットは食事付き(ナシ・ラウォン)。ほかにサテや空揚げなども販売してくれた

出演メンバー。明け方に大阪を発ち、夜に公演するという、なかなかブラックなスケジュールでした

出演者、スタッフ、馬喰町ART+EATのスタッフでの記念写真。カフェ&ギャラリーでライブイベントも開催する素晴らしい店でしたが、残念ながら数年前に閉じてしまい、今はありません

【他の公演会場の様子】

2014920日(土) 18:00開演

 古民家ギャラリーかぐや

 (埼玉県比企郡滑川町福田1560


初めての公演に80人を越す観客で古民家の中は満員。馬喰町ではできなかった女性の王宮舞踊もプログラムに加わり、さらに充実。月の美しい9月の夜、森の中にある古民家での秘密パーティーのような雰囲気に。

「古民家ギャラリーかぐや」の春先の様子

影絵芝居はオモテにもウラにも観客席あり

この日は根津亜矢子さんがジャワ舞踊で参加

最後はジャティランで賑やかに。スミヤントさんの爺さん役が笑わせる

出演者、古民家ギャラリーかぐやの井上夫妻、公演にかかわったスタッフの皆さんとともに

2014921日(日) 13:00開演

 海族鮮山忠・滑川店

 (埼玉県比企郡滑川町福田3463-1


「かぐや」からひと山越えた、やはり森の中にある海鮮料理の店でのランチ・コンサート。ここも古民家を改装した店で、ジャワのガムランは日本の古民家によく似合う。ジャワでは昼間に影絵芝居ワヤンを上演することもあるので、プログラムは前日とほぼ同じ。ガムラン曲と女性の舞踊だけは別の演目に。

「海賊鮮山忠」は新鮮な刺身もあれば石釜ピザもあるユニークな古民家レストラン

真昼間から影絵芝居。それでも迫力は変りません

亜矢子さんは踊りでお客さんを魅了

寝ている獅子を子どもがからかう、お約束のシーン

馬喰町ART+EATでの公演を見た方の感想

●楽しかった。特に影絵は、語りだけにすると短い内容を、ああいう形で上演すると、1時間も十分に楽しめるものになるとは思いませんでした。歌も、中には日本人になじみやすい旋律で(詩の朗読などは相撲甚句のようにも聞こえました)面白かったです。(女性)

●初めての影絵芝居だったので、すべてが興味しんしんで、なめまわすように観ちゃいました…楽しかった♪ なんか、東京から、いっきに、ジャワの楽園に入り込んだみたいで、心もからだも躍り出しちゃたような感じ♪ (女性)

●居心地よくて、心から楽しみました。比喩を沢山使っての解説で納得感一杯。(女性)

●ワヤンは歌舞伎や上方落語の世界に近いような気がする……まさに同じことを思っていたのです。「ワヤンに出てきたピクニックのくだりは、落語の「地獄八景」みたいだねー」なんて知人とお喋りしながら楽しませていただきました。(女性)

●ガムランて癒しのイメージ(すいません貧困な発想で)だったのですが、お客をこんな全力で楽しませるんかー!と思って驚きでした! 金属製の楽器なのにあんな優しい音がすることも初めて知ったのでした。感激。 (女性)

●ワヤンの語りを聴いていて落語に近いなぁと思いました。それにジャワの詩を詠むところは「講」みたいだし、川柳にも近いなぁって。(女性)

●ジャワの影絵芝居ワヤンは結婚式などで上演されるという話から、「新婚さんですか」と名指しされた、お役に立てて何よりです・笑。学生時代、レポートは論文で何度も「結婚式や割礼の場などで上演され……」と書いてきましたが、まさか自分の結婚に紐づいたワヤンが見られるとは思ってもみませんでした・笑。久しぶりにジャワへ行ったような気持ちになれて、とっても楽しかったです。(女性)

●先日は、愉しい時間をありがとうございました。ガムランやケチャの郷であるインドネシアには、以前からとても興味があったこともあり、心躍る体験をさせていただきました。特に影絵は素晴らしかったです。壮大なスケールのストーリーと、ローフィットさんの達者な語り口に、目も耳も、心もすっかり奪われてしまいました。影絵が7時間、踊りは10時間以上と、とかく長丁場のものが多いようですが、彼の地の文化の基本には「トランス」があるのですね。日本の阿波踊りなどにも通じることだと思いますが、聖と俗とがいりまじった感覚に、改めて人間世界の愉快さを思いました。(女性)

●楽しい夜でしたー♪ 影絵、美術としても、物語のワイルドかつパワフルな展開も、酔ってしまうような音楽も……素敵でした♪ 詩のうたいや、イスラムのかおりのするストリートミュージック、虎舞(♪)も、新鮮でした! (女性)

2014年公演のフライヤー