2022ブログのようなもの

2022年6月14日 【ムジカーザ演目解説6】村の踊りジャティラン
公演のフィナーレは勇壮な村の踊りです。ジャティラン(Jathian)と呼ばれる馬の踊り、獅子の踊りは、結婚式や子どもの誕生日などの余興としても人気があり、一座を招いて賑やかに楽しみます。

このところムジカーザでは、ローフィットさんが馬の乗り手になり、獅子になり、文字通り獅子奮迅の活躍をしていました。広い舞台がある会場では、ローフィットさんとスミヤントさんのコンビで馬にまたがり、一緒に踊ってくれたこともあります。今回は、フィナーレの場を全員で盛り上げたいと、演出を大幅に変えてくるようで、当日フタを開けてみるまで、私にもどうなるのかわかりません。ともかくも、拍手と手拍子で応援してあげてください。

 

ジャティランといえば、大昔、パサル・マラムと呼ばれるジャワの夜市の広場に、大道芸のジャティラン一座が出ていたのを見かけたことがあります。馬の踊りをする傍らで、縄でぐるぐる巻きにされた男が縄を解いて抜け出たり、籠から抜け出た少女の衣装が変わるというような奇術を見せる。座長の男がピシリと鞭を鳴らし、観客がそれに気を取られたスキに縄抜けをしたり籠脱けをするので、肝心なところはなかなか見せてくれません。しかも芸の合間にお婆さんがザルを持って客席をまわり、そのたびに小銭を取られる。この巧妙な演出の餌食になり、気が付いたら大枚をはたいていたことがありました。

恐らくそういうえげつない芸は、もはやジャワからも姿を消しているのでしょう。少女が入れ替わり立ち代わり出てきて踊るダンドゥット小屋(もちろん脱ぎません)もありましたが、もはやそれもありません。今の夜市の売り物は、大きな樽の中でオートバイの曲乗りを見せる「トンスタンド(Tongstand)」や、大勢の人を乗せてぐるぐる回る人力の絶叫マシーン「オンバック・バニュ(Ombak Banyu 新しい波)」あたり。でもこの話題、ジャティランとはあまり関係ありませんね。

ローフィットさんの馬の踊り

獅子の踊り。ちなみに今回の獅子の後ろ脚はナナンさんが担当します

スミヤントさんとローフィットさんがコンビを組んだのは2015年せんがわ劇場のこと

近頃のジャワの夜市の風景。右が人力絶叫マシーン「オンバック・バニュ」

2022年6月10日 【ムジカーザ演目解説5】王宮舞踊「ゴレ・ランバンサリ」
ムジカーザでガムラン2022は、ジョグジャカルタの王宮舞踊「ゴレ・ランバンサリ」から、優雅にスタートします。

ゴレは「探し求める」こと、ランバンサリは「調和」を意味する言葉。踊り手の動きと魂との調和、さらには楽曲の調べと動きとを調和させ、人生の意味を探し求めながら成長することが、この舞踊のテーマです。髪をなでる、髪飾りを整える、指輪を見つめる、鏡を見つめるなど、身だしなみを整える仕草がよく出てきますが、それは恋する心、より良き自分に近づこうとする心の表現でもあります。

ジャワの踊りの中での「ゴレ」は、女性舞踊のジャンル名のひとつにもなっていて、大人へと成長する時期の女性の美しさを描いたものだとされています。前回(2019年)のムジカーザで披露した「ゴレ・アユンアユン」もそのうちの一つ。今回も西岡美緒さん、根津亜矢子さんの2人が、ジョグジャカルタの様式で踊ります。ゆったりとした曲の調べと優雅な舞踊を眺め、日頃の喧騒をしばし忘れてください。

 

余談ですが、「ゴレ」には「木でできた人形(=木偶人形)」という別の意味もあります。影絵芝居ワヤン上演をゴレ人形の舞いで締めくくることがありますが、これは一種の掛け言葉のようなパフォーマンスで、その日の物語の中から「人生に必要なもの、よきものを探し求め、持ち帰りなさい」という意味なのだといわれています(舞踊の「ゴレ」はかつて人形のような振付だったという説もありますが、今となっては正確にはわかりません)。

ちなみに水牛の革(クリ kulit)を使った芝居を「ワヤン・クリ」、俳優が演じる芝居を「ワヤン・オラン」(オラン orang=人、オランウータンは「森hutanの人orang」のこと)と呼ぶのに対して、木偶人形芝居のことを「ワヤン・ゴレ」と呼び、地域によっては盛んに上演されています。

2019年のムジカーザで踊る西岡美緒さんと根津亜矢子さん

王宮舞踊は王や主賓への一礼に始まり、一礼に終わる

「ワヤン・ゴレ」の上演風景。これはジャワ北岸地域のスタイル

「ワヤン・オラン」の上演風景。ジャワ島ソロ(スラカルタ)の劇場にて

2022年6月7日 【ムジカーザ演目解説4】遊び歌(ドラナン)の演奏
遊び歌(ドラナン)は娯楽のために作られたガムラン曲で、ジャワの人ならばどこかで聞き覚えているような歌です。今回演奏する曲「ワルン・ポジョ」は、関西風に直訳すると「角(かど)っこの店」。コーヒーやお茶、甘味や軽食もある小さな屋台は、ジャワでは喫茶店や赤提灯の役割を担っていて、そこで人びとはくつろぎ、おしゃべりに花を咲かせます。恋が生まれることもあるのでしょう。ワヤンの上演中、夜中の余興として演奏されることもある曲。男女の掛け合いもあるこの陽気な曲の歌詞を、ローフィットさんと佐々木宏実さんに超意訳してもらいました。

 

美しい模様の入った竹編みの立派なベンチ 木の下で

ここは、角っこの屋台 ワルン・ポジョ

お茶と甘い豆腐と餅とテンペ

ハチミツの甘みも あの人のスイートな笑みには敵わない

眠っていても、名前を呼んでしまう

 

山コオロギのように 心はときめいています

一人で話しています 角っこで

ただただ、米粉のために 米粉に近づくために

象の牙といえばガディン、ガディンといえばスマンディン

かわいいあの子がスマンディンしてくれますように

 

何のことやら意味不明のところもあると思いますが、一種の言葉遊び、ドラナンあるある、そうご理解ください。歌詞では「山コオロギ」はジャンクリック・グヌン(Jangkrik=コオロギ、Gunung=山)となっていますが、山コオロギには「ガンシル」(Gangsir)の別名があり、これと「心ときめく」(グミンシル Gemingsir)とで韻を踏んでいる。同じように「象牙」のガディン(Gadhing)と「横にいる」のスマンディン(Sumanding)とで韻を踏んでいる。「ガンシル(山コオロギ)」のように「グンシル(心ときめき)」していて、米粉で作った餅がお茶や甘い豆腐のそばで「スマンディン」しているように、かわいいあの子が私のそばに「スマンディン」してくれますように、みたいなニュアンスなのでしょう。ややこしいので公演パンフレットには載せない、ここだけの話だと思ってご記憶ください。ともかくも、伝統的な曲と違って、ドラナンはどこまでもチャラいんです。

ジャワの夜の屋台。ジョグジャカルタやソロは24時間食いっぱぐれのない街

遊び歌(ドラナン)は、陽気で迫力のある演奏が聞きどころ

西田有里さんも歌います

「ワルン・ポジョ」を作ったキ・ナルトサブド。70~80年代にかけて、その存在は人間国宝級だった

2022年6月3日 【ムジカーザ演目解説3】定型詩モチョパットの朗誦
ジャワの定型詩モチョパットをローフィットさんが朗誦する、という人気の(?)出し物があります。モチョパットはジャワ語による古典的な韻律詩で、王族や貴族のあるべき姿を描いた教訓あり、韻律に合わせて作られた新作あり、内容はじつに多様。独特の節をつけて朗誦するのがふつうで、モチョパットの会や朗誦コンテストも盛んに開催されています。

とはいえ、ジャワ語で詩を朗誦するだけですから、それを東京公演の演目に入れたいと最初に聞いたときには「地味だなあ」と思い、さほど期待しませんでした。ところが、これが意外に面白かった。誰のアイデアだったのかは知りませんが、軽い芝居仕立てになっていたのです。

場所の設定は、路上でも王宮でもなく、夕暮れどきの農家の庭先。一日の仕事を終えた農家のおじさん(ローフィットさん)が、田畑を見渡すことができる東家のベンチに腰掛け、好きな詩を朗誦するという仕立て。どこからか水牛やニワトリ、犬や猫の鳴き声、小鳥のさえずりも聞こえてくる。時におじさんは、盛んに鳴く水牛や山羊に「うるさい!」と叱りつけ、またモチョパットに戻る。高尚な芸能なのに、俗世のリアルさもあるユニークな出し物だったといえるでしょう。

前回(2019年)にようやく気付いたのですが、これは観客の皆さんもそのシチュエーションを理解していたほうが味わいが増します。観客席側はジャワの田畑ですから、皆さんは風に揺れる稲や、キャッサバ芋の葉(キャッサバ芋はご存知タピオカの原料、その葉は野菜として料理に用いられます)です。気が向いたなら、風を感じて揺れていただいても構いません。カエルの鳴き声くらい出してほしいところですが、コロナ禍の今年は心の中でそんな音風景を想像して楽しんでください。

ちなみにモチョパットには、シノム、パンクル、アスモロドノ、ミジル……といった行数や韻律の異なる11種類の詩形があります。漢詩の五言絶句や七言律詩のようなスタイルが11種類あるというイメージ。興味のある方は、どうぞご自分で調べてみてください。

ジョグジャカルタの山あいにある畑。こんなシチュエーションを思い浮かべながら、おじさんの朗誦をお聞きください

モチョパットを朗誦するローフィットさん

後ろでニワトリの鳴き真似をする宏実さん

2022年6月1日 読売・毎日・朝日の3紙に紹介記事が掲載されました
5月末から6月1日にかけて、新聞各紙に公演の紹介記事が掲載されました。読売新聞5月30日夕刊「シティ・ライフ」、毎日新聞5月31日朝刊「遊ナビ」、朝日新聞6月1日朝刊「東京・多摩マリオン」です。3紙は2017年の第1回ムジカーザ公演から毎回、記事を掲載してくれています。ジャワのガムランや影絵芝居の上演が珍しい上に、会場の信用度が高いことも合わさってのことなのでしょう。
「ガムラン音楽や舞踊、疫病や災害の鎮静化をテーマにした影絵芝居など」(読売)、「人形の激しい立ち回りが見られる演目と、影で人の心の葛藤を見せる古典物語の二つを楽しめる」(毎日)、「宮廷音楽や舞踊、影絵芝居などを紹介」(朝日)など、それぞれ限られたスペースの中で書き口を工夫してくれていて、ありがたいばかり。
6月17日(金)夜の部、18日(土)昼の部、夜の部とも、まだ余裕がありますので、この機会にぜひ。

読売新聞5月30日夕刊「シティ・ライフ」記事

毎日新聞5月31日朝刊「遊ナビ」記事

朝日新聞6月1日朝刊「東京・多摩マリオン」記事

2022年5月27日 【ムジカーザ演目解説2】影絵芝居「チャキルと若武者の戦い」
影絵芝居ワヤンのもう一つの出し物、「チャキルと若武者の戦い」について紹介します。

森のならず者チャキルと若武者が戦うという、ただそれだけの場面で、そこに物語はありません。ジャワ語の語りがわからない、登場人物のキャラクターや物語を知らない外国人でも、見ているだけで楽しめるエンターテインメントですが、ワヤンの物語との関連性が薄いため、日本国内で上映する際には、時間の関係で真っ先にカットされてしまうシーンなので、ある意味、貴重なプログラムです。

見どころは、忙しなく動き回り、猛烈な早口で喋る粗野なチャキルと、落ち着いて優雅に動く若武者(アルジュナの人形を用います)という対照的な2人を、人形師(ダラン)がそれぞれ片手で操って同時に動かすところ。ダランはナナンさんがつとめます。

人形操作や立ち回りの面白さを味わってもらうため、スクリーンを通した影絵ではなく、ダランやガムラン奏者がと呼ばれる人形師がいる側から見てもらいます。ちなみにジャワのワヤンでは、こちら側をオモテと呼びます。

仲間や家臣に見送られて屋敷を出たアルジュナは、すぐに深い森に分け入り、そこで、ならず者のチャキルにからまれ、戦いが始まります。

チャキル「この森を通ることは許さん。通ろうとすれば、この俺に倒されよう」

アルジュナ「なにを小癪な。名を名乗れ。名乗らぬ前に死んではならぬ」

交わされるセリフはこんな調子の単純なもの。この場面でしか演奏されない曲に乗って戦いが始まり、チャキルが倒されると、すかさず兄貴分らが助けに現れ、再び戦いになり、兄貴分らも倒される。そこまで。 


「プラン・チャキル(Perang Cakil チャキルの戦い)」とか「プラン・クンバン(Perang Kembang 花の武将の戦い)」と呼ばれる、せいぜい20分ほどのこの場面は、ワヤンのほぼすべての演目に必ず挿入されています。始まるのは夜中の2時過ぎ。物語の粗筋との関連性が薄いにもかかわらず、なぜこの場面が大切にされているのか。その理由は、当日のパンフレットに詳しくまとめてあります。理屈はともかく、ワーッと始まり、パッと終わる15分ほどの立ち回りの魅力を、ぜひこの機会にご堪能ください。

人形師(ダラン)をつとめるナナンさん。2012年に神戸で撮影された写真なので、ちょっと若い。

左が森のならず者チャキル、左が若武者アルジュナ。粗野なチャキルと優雅なアルジュナとの立ち回りが見どころ。

「バンバン・チャキル Bangbang Cakil」などの演題で舞踊として演じられることも。

2022年5月24日 【ムジカーザ演目解説1】影絵芝居「ウィジャヤクスマの花の行方」

上演予定の演目について、少しずつ紹介していきます。まずは今年の公演の目玉となりそうな、影絵芝居ワヤン「ウィジャヤクスマの花の行方」について。いつものようにローフィットさんが人形師(ダラン)をつとめます。
物語は次のようです。


疫病が流行り、村人たちが苦難にあえいでいます。この災いを切り抜けるためにはウィジャヤクスマの花の霊力にすがるしかないと、村の代表であるペトルは、クレスナ王が住むドラワティ王国の宮殿を訪ねます。クレスナとは、インド神話でいうクリシュナのこと。神の化身であるクレスナ王の宝の一つが、ウィジャヤクスマの花なのです。

善意の人クレスナ王は、さすがに「花を村に持ち帰りたい。貸してほしい」というペトルの願いをかんたんに聞き届けるわけにいかず、これを拒絶します。花を一時的にでも手放せば、王国の秩序が壊れてしまうかもしれないのです。村人を助けたいペトルと、花を決して手放そうとしないクレスナ王。2人の口論を見ていた側近たちは次第に苛立ち、ペトルを王宮から追い出し、痛めつける。そこに奇跡が起こります……。


ウィジャヤクスマの花とは「月下美人」のこと。夜に花開き、明け方にはしおれてしまう艶やかでどこか神秘的な花です。ウィジャヤ(Wijaya)は勝利、クスマ(Kusuma)は花を表わします。ジャワのワヤンの世界ではこの花の霊力は絶大で、死者を甦らせ、病や怪我を癒すことができます。また、ジャワの神話によれば、王位に就く者はこの花を所持していなければならないとされています。霊力のあるこの花は、いったい誰のためにあるべきものなのか。そこを描いた物語が「ウィジャヤクスマの花の行方」です。
なお、この演目はスクリーンを通した影絵芝居として上演します。古風なスタイルが好きなローフィットさんらしく、最後はゴレ人形(木でできた人形)の舞いで締めくくるかもしれません。ちなみにゴレ(golek)には「木でできた人形」の意味と、「探し求めなさい、追求しなさい」の意味があり、この2つの意味を掛けて、かつてのダラン(人形師)たちはワヤンの最後にゴレ人形を登場させ、「今日見た物語の中から、大事だと思うことを探し、人生に生かしなさい」と訴えた。古風なワヤンが好きなローフィットさんは、この型をとても大事にしています。舞うといっても、ほんのちょっとだけのことなのですが……。

ジャワの民家の庭先に咲いたウィジャヤクスマ(月下美人)の花。

クレスナ王(左)と村の代表ペトル(右)。間にあるのがウィジャヤクスマの花。

影絵芝居の終わりにゴレ人形(木でできた人形)の舞いをみせるローフィットさん。「にわのあかり」(神戸・相楽園、2012年)にて。

2022年5月20日 2012年秋、神戸オールナイト影絵芝居の思い出
6月17日(金)の公演まで残すところ28日。
2012年の夏、神戸港桟橋にある施設でオールナイトで影絵芝居を上演する会がありました。メンバーの何人かは昔から知っていたので、余興で落語をやらせてくれるなら見に行くと返事したところ、夜中の3時頃の枠をいただいた。他の余興メンバーが関西では名うての大道芸パフォーマーばかりで場違いだっかとは思いましたが、お客さんの半分くらいは幸せそうに熟睡していたので、まあいいでしょう。
ナナンさんは恐らくこの年が初来日(ちょっと前にジャワで会っています)。演目はたしか「デウォ・ルチ」という古典の名作。ローフィットさん、スミヤントさん、ナナンさんがリレーで演じ、物語場面は字幕を出しジャワ語で語るスタイルでした。そんな中で、主に余興の場面を受け持つスミヤントさんだけは、どこで覚えてきたのか、日本語で下ネタギャグを連発。悔しいことにちゃんとウケていました。京都のインドネシア料理店「バリバリ・インドネシア」さんが用意したメニューが、宵の口、夜中、朝方で変化する本気ぶりを見て、驚いた記憶もあります。
その時の集合写真を見返してみると、ムジカーザに出演する8人全員が顔を揃えている。翌日、ハナジョス邸で開かれた打ち上げに遊びに行くと、ナナンさんのウォシュレット初体験記やら、スミヤントさんの東京のジャワ人のモノマネ芸で盛り上がり、これはこれで「酔ったジャワ人の騒ぎ」という一つの見世物になりそうな面白さでした。
彼らが揃うと面白いことが起こりそうだと実感したのは、この時が始まり。彼らは毎年9月、神戸・相楽園という庭園で開かれる「にわのあかり」というイベントにもワヤンで出演していて、字幕も出さずにジャワ語で演じているにもかかわらず、大勢のお客さんを集めていました。当然、翌日の「酔ったジャワ人の騒ぎ」もセットで開催されました。
東京で「ハナジョスと仲間たち」の公演が始まったのは、そんな彼らの仲の良さを何度か確かめた後の2014年からです。

2012年9月、神戸のポートターミナルで土曜日の夜20時頃から、翌日曜日の朝までオールナイトで開催された影絵芝居出演者の記念写真。よく見ると知っている顔が。

開演前のナナンさん(左)と、兄貴分のローフィットさん。初来日のナナンさんはこの年、真夏なのに革ジャンを着て関空に降り立ったと記憶しています。

2022年5月16日 「ムジカーザでガムラン2019」を映像で少しだけ
いよいよ公演まで約1か月。予告編のかわりに、前回の「ムジカーザでガムラン」(2019年)の映像を、ほんのちょっとだけですが切り取ってみました。これで雰囲気くらいはわかると思います。演奏者は最大で7人ですから、ジャワのガムラン楽団として決して多くはないのですが、実際に現場で見ると、それを忘れるほどイキイキとしています。

ジャワ島ジョグジャカルタ様式の王宮舞踊「ゴレ・アユンアユン」。踊り手は根津亜矢子さんと西岡美緒さん。お2人は今回も一緒に踊ります

ジャワ影絵芝居「鬼王アリムボの涙」の一場面。子どもらが床に寝転がって前のめりになっているあたりが、何でもありのこの時期らしい。人形操作と語りはローフィットさん

フィナーレのジャティランより騎馬の舞い。ローフィットさんが腰に差している鞭を振るうと「パチン」と音が出るのですが、これがなかなかの迫力

獅子舞いは2人遣い。来てくださって、誠にありがとうございます。(中略)また、どこかで元気でお会いしましょう」

そう言い残して、獅子は去って行きました

2022年5月4日~ 首都圏のインドネシア料理店カフェのこと(逐次更新中)
都内のインドネシア料理屋さんの様子が、ここ数年でだいぶ変わりました。老舗のいくつかが店を閉じる一方、新しい店もでき、郊外へも広がっている様子。チラシを置かせてください、とお願いしながら、そのいくつかを訪ねてきました。主にランチタイムが多いのですが、そこで食べた料理などを中心に紹介します。5月4日に公開した後、訪ねた店の情報もここに追加しています。

インドネシア料理レストラン「チャベ目黒店」のナシ・チャンプル。老舗の「セデルハナ」が閉店し、その場所に居抜きで開店。調度品などがなんだか懐かしいのは、そのため。「チャベ武蔵小山店」もある。

バリ料理レストラン「ワルン・ジャティ」(成城学園前)のナシ・チャンプル。ゆったりした店内は南国風。たまに調布・深大寺参道にある古民家で出張カフェも開いている。

インドネシア料理レストラン「カフェ・エナック」(海老名)のナシ・パダン。海老名ららぽーと近くにある店で、味は本格的。ナンカ(ジャックフルーツ)やシンコン(キャッサバ芋の葉)を使った料理など、よそではなかなか見かけません。

インドネシア料理レストラン「クタ・バリ・カフェ」(八王子)のナシ・チャンプル。味はバリ風でやや辛め。コロナ流行直前にオープンし、苦境を乗り越え、今年、3周年を迎えるらしい。めでたしめでたし。

インドネシア料理レストラン「チンタ・ジャワ・カフェ渋谷店」のブブル・アヤム(鶏粥)。平塚に本店があり、旨いという噂はジャワ出身の知人たちから聞いていた。やがて秋葉原、渋谷にも支店を出すほどに。今、渋谷でインドネシア料理といえば、ここだけ。

「カフェ・フランボヤン」(千駄木)のミー・ゴレン(手前)とルンダン(牛煮込み)。パスタやサンドイッチも旨いカフェだが、インドネシア料理も充実している。お好きなのだそうだ。ピサン・ゴレン(揚げバナナ)などもある。大名時計博物館近くの宅地に。

「カリふぉるにあ」(調布・柴崎駅近く)は平日昼間だけ自家製カレーを出す店で、たまにインドネシアのカレーを出す日がある。写真は南インドのゴアあたりで好まれる豚肉のカレーと海老カレーを合いがけにしたもの。

「バリニーズカフェ わるんじゃてぃー」は調布・深大寺参道にある古民家に、成城のジャティがたまに開いている出張カフェ。そこでナシ・チャンプルとミー・ゴレンをテイクアウトしてみたらこんな感じに。水生植物園で食べたら、ちょっとバリっぽい。

新大久保から新宿に移った「モンゴ・モロ」は、恐らく日本国内で唯一のジャワ料理店。鶏、アヒル、ナマズ、海の魚をメインに、砂肝や牛の皮の煮込み、野菜の煮込みなど本格的なジャワ料理をそろえ、目で見て好きな料理を選び、定食にするスタイル。飲み物はお茶と生フルーツジュースくらい。ゆっくり、どっしりメシを食う店。

バリ料理「ブリ・マデ」(外苑前)のランチタイムの活気は凄まじく、13時過ぎてもどんどん来客があり、その多くが女性。写真のナシ・チャンプルの味は柔らかく、鶏手羽のココナツソース煮込みはジューシーで、ごはんが進む。ランチタイムの回転は早いので、待っていればわりとすぐに席に着くことができる。いちどお試しを。


バリ料理「カフェ・バリ・チャンプル」(新高円寺)も小さいながら、ファンが多い店。ランチのナシ・チャンプルは鶏肉と野菜料理がバランスよく並び、ライスを大盛りにもできる。例年、この地域の夏の風物詩でもある阿佐ヶ谷バリ舞踊祭でも料理を提供し、事情が許せば今年の夏も出店する予定。

カフェ「高円寺サブストア」(高円寺)は珈琲と酒と本と音楽の店。音楽イベントも開催しています。SUBstoreはスモール・ユニーク・ブックストアの略で、ジャカルタ、バンドゥン、バリ、ジョグジャにも店があるらしい。店主はジャカルタの出身で、彼と彼の奥様がつくるインドネシア料理のメニューも豊富。写真は「ナシ・クチン(直訳すると猫まんま)」。

カフェ「コピカリアン」(原宿)は、ジャカルタに数店を展開するカフェの東京店。インドネシア各地の豆を揃え、ドリップ、エスプレッソなど、さまざまな淹れ方で出してくれます。店内はゆったり。インドネシア人のファンも多いようで、イスラームのお祈り部屋もある。

喫茶「カフェ・アラミ」(北区志茂/赤羽)は、珈琲やパスタのほかに、インドネシア系の料理や飲み物もあります。昼間の調理を担当する女性店主はジョグジャカルタに滞在したことがある方。炭酸水+練乳をベースにした「ハッピー・ソーダ」(右)のような現地ならではのジャンクなメニューもある町の喫茶店。

「アジアンミール」(府中・大東京綜合卸売センター内)は、スパイスとアジア食材の店。オーナーご夫妻はスパイスの専門知識も豊富で、ここでカレーの魅力に目覚めた人は多いらしい。インドネシアの調味料もある。アジア関連の書籍や雑誌、催し物のチラシを置いたコーナーも充実。

「cocorotus/府中卸売珈琲店」(府中・大東京綜合卸売センター内)は、府中市場内でアジア料理ランチと珈琲を出す店。イートインコーナーも広い。各地に出店するキッチンカーの運営も行っていて活気がある。ランチ弁当はごはんかサラダの大盛り無料。

「キッチン やみぃよろず」(下北沢)はアジア料理のテイクアウト専門店。今年3月にオープンし、朝食にジップロック入り280円のナシ・レマ、ランチはピーナツソースをからめ手食べるサテ・ヌードル(写真)などを出す。その場で食べるスペースあり。

「ファイヤーキング・カフェ」(代々木上原)は、創業22年目を迎えるカフェ。甘味、アルコールまで何でもある店だが、アジア系料理にも力を入れ、ナシ・ゴレン(焼きめし)やミー・ゴレン(焼きそば)などもある。写真の冷やしヌードルもアジア風。