2015年11月公演

「海にもぐった大男の巻」はこんな感じでした

前年、入りきれない人が大勢いらしたので、大きな会場で開催。影絵芝居ワヤン・クリの物語に親しんでもらおうと、あらすじを元に「海にもぐった大男の巻(原題は「デウォ・ルチ」)」というサブタイトルをつけ、それを公演名にもしました。

会場のせんがわ劇場は、ひな壇型の客席と、平土間にできる舞台のあるユニークな劇場。どこからでもよく見えるし、影絵芝居の時にはスクリーンの裏側までまわって、人形の動きや影絵の面白さを楽しむこともできます。

平日の夜にもかかわらず80人を越す観客が詰め掛け、その中には地元の親子連れの姿も目立ちました。


●2015年11月12日(木)19:00開演

 せんがわ劇場(東京都調布市仙川町1-21-5)


◆出演

 ローフィット・イブラヒム

 佐々木宏実

 ナナン・アナント・ウィチャクソノ

 西田有里

 スミヤント

 根津亜矢子

 岩本象一(初参加)


◆プログラム

・開演前のガムラン演奏

 「プスポワルノ」「アユンアユン」

 [第一部]

・ガムラン演奏

 「ウィルジュン」

・ジャワ詩モチョパット吟詠

 「ダンダングロ・パンジェッ」

 (動物や虫や鶏の鳴き声入り)

・ショラワタン(イスラム系音楽)

 「トンボアティ」「イリルイリル」

・古典舞踊「グヌンサリ」

  踊り手/根津亜矢子

・ワヤン・カンチル

 (豆鹿を主人公にした動物の人形芝居)

  (休憩)

 [第二部]

・影絵芝居前奏曲

 「パタロン」

・ジャワ影絵芝居ワヤン・クリ

 「デウォ・ルチ=海にもぐった大男」

・ジャティラン

 (ジャワの村々に伝わる騎馬舞と獅子舞)

モチョパット(ジャワの定型詩の吟詠)の場面では、まじめに詩を読むローフィットさんの後ろで、他のメンバーが鳥や虫、家畜の鳴き声をアドリブで入れるのですが、この鳴き真似が上手。ハナジョスが2人だけで演じたワヤン・カンチル(スクリーンを使わない動物人形芝居)は、ふだんは子ども向けの上演会だけで演じていたものですが、大人にも大好評で、思わぬ人気を博していました。

根津亜矢子さんによる仮面をつけた舞踊「グヌンサリ」も魅せました。なにしろそれまで大騒ぎしていた子どもたちが、踊り手の姿を見ただけで何かを感じ取り、すっと静かになったのですから。

休憩はさんで後半は影絵芝居。冒頭はジャワ語だけの語りで、途中からは日本語の語りに変えて上演。不死の霊力を持つという「命の水」を探すために闇雲に駆け回る豪傑ビモは、深海にもぐって死に瀕してしまう。そこに自分自身の内なる神デウォ・ルチが現われ(この姿が小さいながらもビモそっくり)、人はなぜ生きるのかの教えを授けるという、ワヤンの世界でもっとも大切にされている物語。これを30分のコンパクト版で上演。難しい内容を含む演目なので、果たしてどこまで魅力が伝わったか。

最後はもちろん、ローフィットさんとスミヤントさんによる舞踊「ジャティラン」。大騒ぎのうちに終演。

平土間の舞台を、ひな壇型の客席から眺める形に

スクリーンの向こう側の客席は、子どもたちに大人気

仮面舞踊「グヌンサリ」を踊る根津亜矢子さん

フィナーレは馬の踊り

この日の集合場所は劇場近くの日帰り温泉の食堂。出演者、スタッフが勢揃いした記念写真はこれしかないのがマヌケです。この年から岩本象一さんが参加

【他会場での公演の様子】

20151114日(土) 13:00開演

 古民家ギャラリーかぐや

 (埼玉県比企郡滑川町福田1560


前年に続いて2度目の開催。滑川町教育委員会の後援もあり、小学生だけで30人以上が詰め掛けるカオスに。見慣れない聞き慣れない音楽に最初は大騒ぎしていた子どもたちが、根津亜矢子さんの仮面舞踊を見て静かになったのには、ぼくらも驚きました。

ワヤン・カンチルのときにハナジョスが機転を利かせて子ども特別席を作ったら、すっかり物語の世界に引き込まれてしまう。子どもを味方にするハナジョスの底力に、大人もびっくり。

子どもが大勢来てくれて、チケットは前売りだけで完売したらしい

豆鹿のカンチルを主人公にした人形芝居は、じつは大人にも大ウケ

フィナーレの獅子の踊り

岩本象一さんにガムランを教わる子

演者と観客の幸福、そして世界平和を祈念して、最後はお決まりの三本締めに

せんがわ劇場での公演を見た方の感想

●インドネシアの音楽の幅広さを堪能できて、幸せになりました。(SY 男性)

●一度見てみたかったので面白かったです。舞台の空間の使い方が日本と違うと思いました。(OM 女性)

●今年も熱演で楽しめました。(不明)

●面白かったですよー。次こそ誰かを引っ張ってきます。(YM 女性)

●ちょろちょろと始まって、わーっと盛り上がって、ぴたっと終わるのが面白かったです!(KA 女性)

●楽しかった、また来ます。(YS 女性)

●別世界へトリップして楽しめました。音楽も影絵もすばらしい!(AY 女性)

●とても楽しかったです。豊かなものを感じました。(AM 男性)

●いや~、ひとりで全部の人形を動かすとは!!びっくり。足も使ったね。(TH 男性)

●日本語なので内容がわかって楽しいですね!(KK 男性)

●豊かな音楽世界ですねー。インドネシアの音楽は日本と違って金属楽器が多いのが不思議。豊穣!豊穣!(MY 男性)

●初めて観たのに、いつか観た事あるような音と色彩と影の、夢のような時間でした。(YA 男性)

●短いものが色々あって、とても楽しめました。日本語でわかりやすい。(IS 女性)

●色々な種類の演目があり、また一つひとつもちょうどいい長さだったため、子どもたちも飽きず、楽しく観ることができました。芝居のローフィーさんの語りが最高です! もっと子どもたちの身近で、異文化を感じさせるこのようなイベントがあると嬉しいです。(HA 女性)

●コアなガムランを「しっかりと〜」より、ハイライト的?な美味しいところを搔い摘んだような演出が飽きずに観られたんだと思います。楽しかった。あれなら子供も楽しめるので(多分うちの子連れて行ったら前で躍っていたでしょう)。次回楽しみにしています。と、観る方は勝手ですが……。(YA 男性)

●インドネシアの楽器の音には強烈に異国に連れて行かれますが、影絵芝居や紙芝居のようなものには懐かしさもあり、不思議な時間でした。個人的には音楽に興味があるので、演奏がもっと聞きたかったですが、短くたくさん演目があるほうが、飽きずに鑑賞できるのかもしれませんね。また見てみたいです。(OK 男性)

●ハナジョスのワヤンや、ワヤン・カンチルを見たのは初めてでしたが、もう本当にめちゃくちゃ楽しかったです! ローフィットさんは歌って踊れて語れる芸達者で素敵な方だと思いますが、宏美さんの1人で何役もこなしている様子にも、本当にびっくりしました。何より楽しい公演でした^o^ (SM 女性)

●本当に楽しいひとときを過ごせました! 最初からとてもいい雰囲気で、ジャワのワヤン会場にいるような気分でした。気づいたら手拍子や歌で自分も参加していました・笑。スミヤントさんがすごく自然で楽しそうに演奏していて、スミさんらしさがとても出ていました。(MK 女性)

●しかし影絵を見る時のオモテ・ウラが逆である事は驚き。あと、戦いの場面に思ったのは、日本の芸能なんかだと、すごく忠実に真面目にシーンを演出することが多いでしょうが、ワヤンは結構ザツ(←ごめんなさい!)な所が特徴的ですね。想像力にゆだねる部分が大きいところが面白かったです。子供も大人もいっしょに影絵やガムランが楽しめましたし、今後はワークショップ企画や、観客参加型の公演も成り立ちそうな感じがしました。(YA 女性)

●ゆる~く愉しみましたよ。やっぱり生ガムランは気持ちいいね。(FK 男性)

●10代のころ『ワンスアポンアタイムインアメリカ』を観た時から、影絵を見てみたいなと思っていたので、おもしろかったです。(OM 女性)

●ホントにいい会で、楽器の響きとともに2時間があっという間でした。誘った恩師も喜んでました。(YS 女性)

2015年公演のフライヤー (レイアウト/折原カズヒロ)