スクリプトを書くための基礎

このページで使うサンプルファイルは以下の通りです。右上に表示されるアイコンをクリックするとGoogle Driveを開くことができます。

先ほどの例,sine100.praatの中身をもう少し詳しくみていきましょう。

  • sine100.praat

このスクリプトは,三つのコマンドから成っています。1行目は式によりSoundオブジェクトを作成するコマンド,2行目は音を再生するコマンド,3行目はSoundEditorを開くコマンドです。このスクリプトをRunすると,1行目から順に実行されていきます。

スクリプトを作成するための一つの方法は,一つ一つのコマンドを手で入力していくというものです。そのためには,様々なコマンドを知る必要があります。PraatのHelpを利用することで,コマンドを調べることができます。

historyを利用する

コマンドを手で一つ一つ入力するというのは,けっこうたいへんなことです。実は,スクリプトを作成するのには,もう一つの方法があります。それは,history(履歴)を利用するというものです。

たとえば,Praatを立ち上げて何か作業をしていたとしましょう。Praatは,起動してから行われた作業(history/履歴)を全て記憶しています。Paste historyという機能を利用することで,このhistoryをScriptEditor上に貼りつけることができます。ScriptEditorの上部メニューからEdit -> Paste historyを選んでみましょう。historyが貼りつけられるはずです。もし何も起きなかったら,historyが無いということです。Praatを起動したあと何もしていなかった場合,historyはありません。まず何か(なんでもいいので)作業をしてみた後,Paste historyを行ってみましょう。

今度は,Edit -> Clear historyを行ってみましょう。これを行うと,historyは消去されます。改めてPaste historyを行っても,新たに貼りつけられるものは何もありません。historyが空になったからです。

Clear historyとPaste historyを用いることで,効率的にスクリプトを作成することができます。何かスクリプトにしたい作業があったら,まずClear historyでhistoryをいったん空にした後,スクリプトにしたい作業を実際に行ってみます。その後でPaste historyを行うことで,たった今実行した作業だけがScriptEditor上に貼りつけられるわけです。

この手順を実際にやってみましょう。たとえば,「音響音声学の基礎」の「2.1 純音」の作業をやってみましょう。それをPaste historyした結果は,上でみたサンプルスクリプトsine100.praatと同じになるはずです。

このように,単純なスクリプトであればhistoryを利用するだけで作成することができます。もちろん,実際には,Paste historyだけでは済まないことも多いです。たとえば,前のページの例2のスクリプトは,Paste historyだけは完成できません。ただ,そのような場合でも,基本的な部分をPaste historyで作った上で,それを手で修正していくことにより,効率的にスクリプトを作ることができます。

スクリプトを保存する

出来上がったスクリプトは保存しましょう。ScriptEditorの上部メニューから,File -> Save as...により保存することができます。ファイル名を指定する際,拡張子(ドット(.)以下の部分)は.praatとするのが一般的です。