ここでは、言語学・応用言語学的な音声研究のために役に立つツールを紹介します。
Praat (Paul Boersma and David Weenink, University of Amsterdam)
... 音響分析の定番ソフト。スクリプト機能を使うことで作業を半自動化することもできる。なお,Praatの日本語解説としては,私(宇都木)が作成したものがある。(Praat入門 / 最近は新サイト 「Praatで音声学」に移転中)
WASP (Mark Huckvale, University College London)
... ウェブ上で音響分析を行うことができる。
VoiceSauce (UCLA)
... 声質に関する音響特徴量(H1-H2, HNR, SHRなど)を計測できる。MATLAB上で動作する。
openSMILE (audEERING)
... 感情音声にかかわる音響特徴量を抽出できる。
Praat
... 音響分析のところで挙げたPraatには、音声知覚実験を行うために ExperimentMFC という機能があり、基本的な同定課題、弁別課題を行うことができる。
Gorilla
... コーディング・プログラミングなしでオンライン実験を組むことができる。
PsychoPy
... Pythonベースの実験アプリケーション。Pavloviaを利用すればオンライン実験も可能。
jsPsych
... JavaScriptベースの実験アプリケーション。オンライン実験を行うにはCognitionというプラットフォームを利用するなどの方法がある。
[参考]オンライン実験に関する参考ページ
「オンライン実験の信頼性に関するまとめ(心理学・音声学・言語学)」(川原繁人氏)
※音声知覚実験において、刺激の作成のために音声の合成・再合成を行うことがあります。
Praat
... 再びPraat。ピッチやフォルマントを操作して再合成するなどのことができる。
STRAIGHT (Hideki Kawahara, Wakayama University)
... ピッチ・声質などの属性を操作するためのツール。
WORLD (Masanori Morise, Meiji University)
※音声コーパスを構築する際など、文字起こしをまず行ったほうが、その後の作業を効率的に進められることがあります。
Whisper (OpenAI)
... 使用方法に関する参考ページ:「無料でOpenAIの「Whisper」を使って録音ファイルから音声認識で文字おこしする方法まとめ」(Gigazine)
統計の手法は,様々な学問分野の研究において利用されています。音声研究においても,統計の技術はもはや不可欠なものとなっています。統計的検定を行うことのできるソフトはいろいろあります。
R
... フリーソフト。様々な応用が利く。ただし,スクリプトを書かなければいけないので,人によっては敷居が高いかもしれない。
SPSS
... Rは難解・・・という人にはこちらがオススメ。ただし個人で買うには高価。
JASP (University of Amsterdam)
... SPSSは買えない・・・という人にはこちらのフリーソフトも。
HAD (Hiroshi Shimizu, Kwansei Gakuin University)
... Excel上で動くフリーの統計分析ソフト
Language Variation Suite
... 言語変異研究のための統計分析をウェブ上で行うことができる。
「ツール」ではないですが、実験協力者をどう募集するかも重要です。
実験・調査等の参加情報|心理学など被験者募集
... 対面実験,オンライン実験のいずれについても,被験者募集の告知ができる。ただし,対面実験については関東の募集が多い。
ランサーズ
... 日本国内のクラウドソーシングサービス。実験・調査参加者募集に特化しているわけではないが,オンライン実験の参加者募集のために利用されるケースもある。
クラウドワークス
... 上と同様のクラウドソーシングサービス。
[参考]
Peer et al. (2022): Amazon Mechanical Turk,Prolificなどの調査協力者募集プラットフォームの質の比較。Amazon Mechanical Turkが最も質が低かったという結果が出ている。