2018年度巻頭言 (第5回大会)
大会パンフレットより転載
大会パンフレットより転載
過去の大会へ戻る
2018年度第5回大会へ戻る
常葉大学長
江藤 秀一
常葉大学外国語学部グローバルコミュニケーション学科の教育目標は、複数の言語や文化を学び、グローバル社会で活躍する国際派社会人を育てる、というものです。この多言語レシテーション大会も学科の多言語を学ぶという教育目標に沿うもので、この大会の最大の特徴は、暗唱する課題が古今東西の詩歌であるという点であります。どの言語にもその言語特有のリズムがあります。日本語では五、七、五のリズムがおなじみです。次の詩はイギリスのクリスティーナ・ロセッティという詩人のWhat Are Heavy?という作品です。
What are heavy? Sea-sand and sorrow:
What are brief? To-day and tomorrow:
What are frail? Spring blossoms and youth:
What are deep? The ocean and truth.
声に出して読んでみますと、強弱のリズムを感じることができると思います。また、sorrowとtomorrow、youthとtruthのように韻を踏んでおります。詩歌にはこのような音楽性がありますので、母語とは違ったリズムを持つ外国語の学習には最適な教材と言えます。この詩は語彙の面でも構文の面でも決して難しくはないのですが、散文では言い表すことのできない深い意味を持つ詩となっております。それぞれの「重いもの」「短いもの」「もろいもの」「深いもの」への対になった回答は、読む者を「なるほど」とうならせます。そして、心に刻まれた詩は、ときの経過とともに、さらに深い感動を呼び起こすことになります。このレシテーション大会の意義もそこにあります。
常葉大学外国語学部長
一言哲也
外国語学部には、秋の恒例行事として3つの「コンテスト」があります。
まず、高校生を対象とした「高校生英語対話弁論大会」。これは今年で第35回を数える伝統的な大会です。高校生がペアで参加して英語の対話を発表するコンテストで、毎年15~20組が日々の練習成果を披露してくれます。今年も去る11月10日(土)に無事終了することが出来ました。高校生の皆さん、今回も素晴らしい熱演でした。
この大会の特徴は、通常の英語スピーチコンテストとは趣が異なり、2人が英語で対話をするものです。単に個人の考えを主張するのではなく、日常生活の中から高校生らしい感性で捉えたテーマに基づき、2人で思いを表現するのです。「対話で主張する」という観点からも、他のスピーチコンテストとは一線を画すユニークな大会です。
次に、英米語学科で行う「キャサリン ササキ メモリアル スピーチ コンテスト」。今年で第34回になるという、これも歴史の長いコンテストです。名称には、かつて外国語学部で教鞭をとられ、ご病気で他界されたキャサリン・ササキ先生を偲んで、彼女のお名前が冠に付けられています。先日12月4日(火)に行われました。
英米語学科を中心に、毎年20名ほどの学生が、実体験から感じた自分の思い・夢・目標・決意などを英語でスピーチします。この大会の形式は、いわゆる典型的なスピーチですが、参加者の気持ちが強く伝わる熱弁が毎年聴かれ、感動をよびます。
そして、この大会、つまり「多言語レシテーション大会」。タイトル通り「レシテーション(暗唱)」が主となるコンテストで、朗読する内容は詩歌等の文学作品からの出典が中心になります。詩を「読む」というよりも、まさに「詠う」と言った趣のコンテストです。早いもので、今回で第5回。GC学科の伝統になりつつある行事です。GC学科では、高校時代に学習しない4言語を「初修」するため、まずは日頃の学習成果をレシテーションで披露しようという趣旨で、1984年以来開催されていた「スペイン語弁論大会」を発展的に変えて始まったものです。
毎年多くの学生が参加しますが、中には複数の言語で挑戦する人も見られます。さらに第3回からは、高校生の皆さんにも参加していただくようになり、ますます充実したGC学科の看板行事に育ってきました。4言語の独特な響きが、英語とは異なる不思議な「音楽」として、聴衆を魅了します。
言葉を修め、その背景にある人・文化・社会・歴史などを専攻し、世界に目を向ける外国語学部の学生にとっては、そして、さらに外国語に興味のある高校生にとっても、これらの行事は、大いなる挑戦と発表の機会です。参加する皆さんの努力と勇気にエールを送ります。結果よりも、参加までの過程と大会当日の緊張感にこそ、大きな意味と将来に繋がる貴重な収穫があるはずです。今年、客席で観ている皆さん、来年は演壇に立ってみませんか?外国語で自分の思いを表現することは大変ですが、素晴らしい世界がその向こうに広がっています。外国語学部の秋の3イベントが、その出発点になります。皆さんが学んでいる外国語が持つ「魅力的な力」を発表してみませんか?