f.過去編旅立
■跳ねっ返り
トム「おい……」
トム「俺はめでたくエージェントとして登録されたんだよな? 」
プリシラ「そーね」
トム「……なのに、なんで未だにお前と一緒にお勉強の日々なんだ? 」
プリシラ「平時……事件の無い時はエージェントだってこんなものよ?
それを言ったらこうやってお勉強を教えてるおねーさんだってエージェントだし」
トム「そんな事言って、事件が起きてるの隠してんじゃねーだろうな? 」
プリシラ「うーん……無いわけじゃないんだろーけど、君より適任者がいれば当然そっちを向かわせるわね。
あと、基本的に事件の解決ってチーム組んで対応するから、協調性とか欠けてる君に任務任せるのはちょっと難しいかしらー」
トム「チッ……面倒クセェな……」
ナレーション「そしてその日の夜」
プリシラ「まぁ、そんなわけでだいぶフラストレーション貯めてるみたいね。
こう、日々騙し騙しのらりくらりとかわしてるけど、いつまでもつのやら」
プルメリア「うう……うちの組織には結構そういうのいるであるが、厄介な性格であるなぁ……」
プリシラ「任務を与えるにしても、あの雑な性格で調査任務を与えてもねぇ……かと言って戦闘任務なんてあの実力で行かせるわけにもいかないし……」
プルメリア「うーむ……
【ノートPCで案件を纏めたファイルを開いている】
パーティーのウェイターとか与えたら怒るであろうなぁ……」
プリシラ「そりゃもー凄く怒るわね……確実に」
プルメリア「……
【マウスを操作する手をしばし止める】
あー……ちと荒療治なきらいはあるが、試してみるか……」
プリシラ「? 」
果たしてプルメリアさんが思いついたトム君の任務とは!?
……いえ、バレバレですが一応
■辞令
ナレーション「そんなある日トムは支部長室へと呼び出される」
トム「異世界調査任務? 」
プリシラ「うむ……本来であればお前のような新人に任せられるような任務ではないのであるがな……。
お前の意気込みを買って特別に余が手配したのである。
過酷な任務であるから、断っても構わぬぞ? お前がやらぬと言えば、他の支部から希望者が殺到して、そいつらが行く事になるであろう」
プルメリア「……
(なーんて……余所の世界の揉め事に首突っ込んでこいなんて任務誰もやらんのである……。
解決しようが失敗しようが、こっちの世界にはどーでもいいし、評価もされないから、もの好き向けの任務なのである)」
トム「おお……何かすげーやりがいありそうな任務だな!? 」
プルメリア「向こうの世界では、ちょっとした騒動があってな……その調査をお前にして欲しいというわけである。
【プリントアウトした資料を渡す】」
トム「「塔の悪魔は地上を滅ぼし、塔の天使は願いを叶える・・・」
この願いってやつ、俺が叶えてもらってもいいのか? 」
プルメリア「あのな……こっちでも異世界でもそんなお伽話はそこらにうようよしておるが、実際に叶ったケースなんてとんと耳にせん。
そんなもの目当てで行って、引き際を見誤ったら目も当てられんぞ?
欲に目が眩んで命を落としたら目も当てられぬ……」
トム「べ……別に頭っから信じてるわけじゃねーよ……」
プルメリア「なら、いいのであるがな……
で、行くであるか? 」
トム「シケた任務だが、ここでお前やプリシラのお守りをしてるよりゃぁマシだろ……行ってやるよ」
プルメリア「い……言うであるなぁ……組織の代表として……ひいては世界の代表として行くのであるから、マナーとかもちゃんと身に着けて貰うからな!?
出来なきゃこの話は無しであるぞ? 」
プルメリア(ひゃひゃひゃ……これを口実に小僧には色々叩き込んでやるのである)
トム「面倒くせぇな……」
プルメリア「まぁ、そう言うな……学んでおかねば命に関わるものも沢山あるでな……」
と、言うわけで組織から塔への派遣が決まったトム君ですが、お勉強しないといけない事が色々あるようです。
この段階ではAbadonでのお買い物の仕方もわかりませんしね
■百封の瑠璃と独白
プルメリア「……
【支部長室でホットミルクを飲みながら机の上に置かれた飾り座布団の上の珠を懐かしそうに眺めている】」
プルメリア「旅は人を成長させる……かつての余がそうであったように。
手元から離して寂しさや不安はあるのであるが、どんな成長を遂げて帰ってくるのか実に楽しみなのである」
プルメリア「小僧の場合はやっぱ不安も大きいであるがな……まぁ、久しぶりに本の世界へ行って、ティブロス・セキュアルへと旅立つ者があれば、ちょっと気にかけておいて貰えるようにお願いするであるか……」
プルメリア「懐かしいであるなぁ……是非小僧にも色々な経験をして帰ってきて欲しいものである」
果たしてトム君の旅の行く末は……