2.3 システム要件(和訳)

2012年12月現在のsystem requirementsの和訳です。

要約

  • OSはGNU Linuxを推奨。Linux以外にも、Intelベースの Mac OS X およびWindows でもOK。
  • Matlab 7.4 (R2007a) 以降、もしくは Linux版の GNU Octave 3.2 以降 および Mac版のOctave 3.6。
  • MatlabもOctaveも64ビット版を推奨(特にMacユーザーは)
  • グラフィクスカードについては、OpenGL 2.1 以降が動作するもの。AMD社もしくはNVIDIA社が開発しているGPUが望ましい。最近のIntel HDシリーズでも、それほど負荷が高くないプログラムは動作するはず。OpenGL-3/4 が動作する環境では、より便利な機能も利用可能。一応OpenGL-1.2でも動くが、かなり利用が制限される。
  • サウンドカードについては、LinuxおよびMac OS X上で動いているのであれば、適切に動作するはず。Windowsについては、ASIOが利用可能なサウンドカードが必要。

OSの詳細

GNU/Linux については、完全にサポートしています。Intel互換のPC(Windows)およびMacについても、Matlab 7.4 以降(32ビットと64ビットの両方)もしくは、GNU/Octave 3.2 以降(Octaveはフリーウェア)でPTBは動作します。これらのシステムにおいては、標準のインストーラーを利用可能です。

PTBは最近のどのLinuxディストリビューションでも動作するはずです。ただしPTBの動作確認は最新のUbuntu Linux(もしくはそれから派生したもの)で行っています。Ubuntu 10.04以降で動作します。目下、Ubuntu 12.04-LTSおよび12.10で動作確認を行っております。

問題や質問が生じたときには、Ubuntuについてのみ完全にサポートできます。Ubutunは、最新のアップデートを適用してお使いください。

ただし、最新のDebian, Fedora Core, Arch Linux および Slackware などのディストリビューションでもPTBが動いているという報告を受けています。

PTBを動かすプラットフォームとしてLinuxを推奨しているため、サポートもLinuxが最優先で行われます。

NeuroDebian プロジェクトは、GNU/DebianおよびUbuntu上で動作する神経科学に関するソフトウェアを配布しているサイトです。このサイトで、32ビットまたは64ビット版GNU/Octaveと一緒にPTBが配布されています。Matlabで動かす場合は、DownloadAdditionsForNeuroDebianスクリプトを利用するとよいでしょう(訳者未確認)。NeuroDebianを使用すると、Linux上で簡単にPTBを動かせます。

PTBは、GNU/Debian LinuxおよびUbuntu 12.10 以降のオフィシャルパートでもあります。(Debian 7.0では unstable, testing 扱いです)これも簡単にPTBをインストールする方法のひとつです。

Debianではインテル製以外のプロセッサ(例えば、ARM, MIPS, S/360, Sun Ultrasparc プロセッサなど)で動作するPTBも提供しています。

LinuxをOSとして採用することにより、正確な時間制御を行うこと、色や輝度を正確に呈示すること、柔軟性のあるプログラムを組むことが可能になるため、その利用を推奨しています。

Apple Macintosh についてもPTBの動作確認ができています。Mac OS 10.4.11上で32ビット版Matlab (R2007a) に組み込まれたPTBが動作します。またMac OS 10.5.8以降で、64ビット版Matlabおよび64ビット版Octave (3.6.x) に組み込まれたPTBが動作します。ただし64ビット版のMatlab(Octave)を利用する場合は、10.6 Snow Leopard以降を推奨しています。

十分に動作確認をとっている環境は、Mac OS 10.4.11, 10.5.8, 10.6.2 上で動作する 32ビット版Matlab

(R2007a)です。10.5.8上の64ビット版Matlab(R2010a)および10.6.8, 10.7.4上の64ビット版Matlab(R2012a)でも、それなりに確認をとっています。

日常的に確認を取っているのは、10.7 Lion上の32ビット版Matlab(R2007a), 64ビット版Octave 3.6, および64ビット版Mtlab(R2012a)ですが、ユーザーからの報告によれば、ほとんどのOS X においてPTBはちゃんと動作するようです。

現在のPTBのリリースでは、OS 10.3 以前のものはサポートしていません。10.3上で動作する最終バージョンのPTBは、DownloadLegacyPsychtoolboxと呼ばれるスクリプトを使って、'Psychtoolbox-3.0.8-PreTiger' パラメーターを指定することでダウンロードすることができます。

プラットフォームとしてのPowerPCは、PTB 3.0.10ではもう対応していません。もしもPowerPCを使用する必要がある場合は、PTB 3.0.9を利用してください。

OS 10.4 (Tiger) および 10.6 (Snow Leopard) においてはPTBはだいたい問題なく動作します(私たちが確認したOSのバグのほとんどについては対処がとられています)

10.5 (Leopard) はバグの多いOSで、特に複数のディスプレイを使っている環境下、両眼立体視の環境下では問題が生じます。

10.7 (Lion) においては、OSに存在する種々のバグのせいで、視覚刺激のタイムスタンプ(訳注:呈示した時間など)の精度に、制約があります。この不具合を解消するには、PTBのカーネルドライバーをインストールしてください。(help PsychtoolboxKernelDriver を参照のこと)

32ビット版MatlabおよびOS 10.4, 10.5のサポートはもうすぐ終了します。2013年中にはシステムを新しくする必要があるでしょう。

Windows については、Windows XP, Vista, 7のいずれにおいてもPTB3が動作します。今後もWindows上でPTBは動作する予定ですが、いくつかの機能は限定されており、LinuxやMacと比べると優先順位が劣ります。

2009年12月1日現在、Windows Vistaおよび7における動作確認を行っています。

音刺激の精度については、確認環境が整っていないために、完全にはできていません。

視覚刺激の精度については、複雑な結果になっています。特にデュアルディスプレイ環境下では、呈示時間に関して問題があります。

WIndows Vistaや7での利用者も多いですが、特に大きな問題などは報告されていません。しかしながら、デュアルディスプレイを用いた両眼立体視の研究や、視覚刺激に対して非情に高精度な時間制御を行う研究での利用は推奨していません。

Vistaやその後継種に関わる問題点については、FAQをご覧ください。All in all you are off worse with Vista or Windows-7 instead of XP with Psychtoolbox, so there is no reason to switch to it. VistaはXPと比べて、より性能のよいハードウェアを必要としながら、パフォーマンスは劣っているように見えます。

Runtime environment:

推奨しているのは、最新のMatlabまたはGNU/Octaveです。すべてのシステム上で、32ビット版および64ビット版のMatlabをサポートしています。それに加えて、LinuxとMac OS X 上では64ビット版のOctaveを、Linux上では32ビット版のOctaveをサポートしています。

PTB3はMatlab 7.4 (R2007a)以降で開発とテストされています。7.4以前のバージョンについては、PTB 3.0.10 は対応していません。もし7.4以前のものを現在利用している場合、インストーラーは古い(サポートが切れた)PTB 3.0.9 をインストールするはずです。しかしトラブルやバグがあったとしても、それは自己責任のもとでご利用ください。

  • Linux:32ビットまたは64ビット版のMatlab 7.4以降。Octaveを使う場合は、ダウンローダーを使う方法とNeuroDebianを利用する方法(OctaveはPTBと一緒にインストールされます)の2つがあります。ダウンローダーを使う場合は、32ビット版または64ビット版のOctave 3.2.xが対応しています。
  • Mac OS X:32ビットまたは64ビット版のMatlab 7.4以降。64ビット版のOctave 3.6
  • Windows:32ビットまたは64ビット版のMatlab 7.4以降。Microsoft Visual C のランタイムライブラリやvcredist_x86.exe (vcredist_x64.exe)が必要になることがあります。その場合は、インストール中に追加パッケージをインストールするよう指示がでます。

Additional software:

Mac OS X上で、動画の再生、動画の作成、ビデオキャプチャと録画を行うためには、Quicktime 7 が必要です。オプションでGStreamerが必要になることもあります。Quicktimeは、OS Xにはデフォルトでインストールされています。

Windowsでは、必ずGstreamer(マルチメディア フレームワーク)をインストールする必要があります。

LinuxでもGstreamerをインストールする必要がありますが、たいていのLinuxではデフォルトでインストールされています。

64ビット版のOS Xでは、Gstreamerが必須で、Quicktimeは今後サポートされなくなるでしょう。

32ビット版のWindows上でビデオキャプチャを行う場合には、Gstreamer ビデオキャプチャエンジンを使う必要があります。Linux上でも同様に必要です。

32ビット版のMac OS Xでは、Quicktimeが使われていますが、将来的にはGstreamerに取って代わられるでしょう。64ビット版のOS Xでは、すでにGstreamerが使われています。

GStreamerのインストールについては、

Screen('PlayMovie') 動画ファイルの再生

をご覧ください。

Basic hardware requirements:

  • 32ビットまたは64ビット版のWindows XP, Vista, 7が動作するIntel PC。
  • 32ビットまたは64ビット版のGNU/Linuxが動作するIntel PC。
  • Mac OS 10.4 (Tiger) 以降が動作するIntelベースのMac。
  • 32ビットまたは64ビット版のGNU/Linuxが動作するIntelベースのMac。
  • GNU/Debianプロジェクトが配布しているPTBであれば、PowerPC, ARM, MIPS, Sun UltraSparc, IBM S/360などのアーキテクチャでも動作します。ARMについては、アップル製でないタブレット、embedded PC、スマートフォンなどでOctaveに組み込まれたPTBが動作します(お望みであれば)。

Graphics hardware requirements:

PTBの基本的な関数は、OpenGL 1.2 が動作する、少なくとも16MBのビデオメモリ(VRAM)をもったグラフィクスカード上で動作するはずです。

さらに高速に刺激を描画したい場合や、最新の特徴を利用する場合には、もう少し性能のよいグラフィクスカードが必要になります。

刺激スクリプトのパフォーマンス、および簡単に作ることができる刺激タイプはCPUよりもグラフィクスカードの性能に左右されるため、一般的には、グラフィクスカードにはそれなりの費用をかけるべきです。

PTBのすべての特徴を高機能で高精度な環境で利用したい場合には、NVidiaもしくはAMD/ATIから発売されている、最近のDirect3D-10/11互換(OpenGL-3/4、ShaderModel 4/5 としても知られています)のものを準備してください。

NVidiaのGeForce 8シリーズ(例えば8600, 8800, 9600, 9800, GTX 280 など)、AMD/ATI Radeon HDシリーズ(例えば、2400, 2600, 3000 シリーズ, 4000 シリーズなど)、NVidia Quadro シリーズ、ATI FireGL / FirePro line of cardsは、最先端の製品であり、PTBのすべての機能が十分に動作します。

Intel製のグラフィクスカード(Intel HD 2000やHD3000など)も、複雑なプログラムでなければ、そこそこ使えます。これらのグラフィクスカードはOpenGL-3/Direct3D-10 に準拠しています。OS 10.7.4(Lion)上でIntel HD-3000のテストをしたところ、数値的な精度としてはNVidiaやAMDのグラフィクスカードと大体同等の値を示しました。

もちろん、絶対的なグラフィクス機能としては、NVidiaやAMDのカードに比べれば劣りますが、それほど要求が厳しくないプログラムに対しては、そこそこ問題なく機能するはずです。

(原文では、Intel、Matrox、Via、S3などの製品についての言及がありますが、ここでは割愛します)

グラフィクスハードウェアの詳細についてはこちらのページ(英語)をご覧ください。

両眼立体視のように、2台の(デュアル)ディスプレイを使う場合には、複数の異なるアダプター(グラフィクスカード)を使うのではなく、デュアルヘッドまたはマルチヘッドタイプのグラフィクスカード(ひとつのカードに、2つ以上の出力コネクターが付属しているもの)をお勧めします。そのほうが性能がよく、バグも少ないはずです。

異なる複数のグラフィクスカードでも動作するはずですが、保証はできません。トラブルが生じたときのサポートもできません。

デュアルヘッドのグラフィクスカードを使うと、画面の同期の問題も解消されるでしょう。

また、Mac OS X でデュアルディスプレイ・リアルタイムの刺激呈示をすることも避けることをお勧めします(アップルは、デュアルディスプレイのサポートにあまり力を入れていないようです)ただし、静的な刺激を呈示する場合、モニターを制御する場合などは、OS Xは必要十分な機能を持っています。