インクが空になったから交換したのに、取り外したタンクにインクが残っている!
という経験があるかもしれません。
実は、これは異常ではありません。
メーカーやプリンタの機種、インクの型番、メーカー純正品/互換メーカー品などでいろいろな理由があるのですが、以下はその一般的な「なぜ空じゃない?」ことの理由です。
なお、プリンタメーカーはこの点については原則非公表、無回答です。
1)前提として 「プリンタヘッドは空気に弱い」
印刷時に極小の穴からインクを吹き出すヘッドは、その内側に気泡が付くと動作不良を起こします。
そうしないためにメーカーは様々な工夫をしています。
2)プリンタメーカー ブラザーの公式回答
「インクを空になるまで使い切ろうとすると、プリントヘッド内に空気や泡が入る原因となります。
万一、プリントヘッド内に空気や泡が入ると、印字品質を低下させるだけではなく、白スジや印刷ムラを取り除くために手動によるヘッドクリーニングを行なうことで、かえって多くのインクが消費される場合があります。
また、プリントヘッド保護のためにも空気や泡が入らないようにすることが必要です。
そのため、ブラザーでは、インクカートリッジにインクを残した状態でインク交換をお願いしています。
なお、インクのランニングコストは、インクカートリッジ内に残るインク量を除いて計算しています。」
参照元 DCP-J957N「インクカートリッジ内のインクを空になるまで使えないのは、なぜですか?」2014/02/19
DCP-J957Nという一機種についての「よくあるご質問」での回答です。
ヘッドに空気が入らないようにわざと残している事、残る量は印刷可能な量に含まない事を判りやすくはっきりと書いてくれています。
3)インクの正しい残量をわからないプリンタが多い。
インクタンクの中をチェックする機能がないので、どれくらい残っているのかを測る事ができません。
じゃあどうやってプリンタは「インクがなくなりました」と判断しているのかというと、計算しています。印刷枚数、印刷内容、クリーニング回数などのプリンタの稼働実績を統計的に計算し、もうそろそろ空になるはずだとして「なくなりました」と言っています。この場合、早めに警告を出す方が安全なので、一定量以上のインクを残すようになっています。インクが多く残るのはこのタイプです。
4)インクタンクの残量をチェックするプリンタもある。
光センサ(タンクの外から光を当てて残量をチェックする)で残量をチェックするプリンタもあります。
この場合にはインクを必要以上にタンク内に残さず印刷できます。ただし、だからといって空になるまで使い切るというわけではありません。空気が入らないように一定量を残して交換するのは上記3)と同じです。
5)互換インクは無駄が多い!・・・は本当?
交換時に半分くらいインクが残っていると、互換インクだからが不良品と思いがちですが、実は・・・・
・互換インクのタンクが透明プラスチックだから残量が見えるので目立つが、純正インクのタンクは中が見えないのでインクが残っている事に気付かなかっただけ。互換も純正も安全のためにわざとインクを残して交換させています。
・純正インクよりも多くインクが入っている互換インクがあります。でも「得した!」と思う事はありません。インク残量はプリンタの稼働実績から算出されるので、タンクに多めにインクが入っていてもそれが使われる事はないのです。ただインク切れというトラブルを避けるために多めに入れているという解釈が正しいのでしょう。
6)残ったインクは購入代金に含まれない
もともとインクを残す前提で設計しているので、メーカーが公表している「一枚あたりの印刷コスト」には残るインクは含まれていません。
また、インクタンク1個で印刷できる枚数を公表されているプリンタはほとんどありません。
だから、交換済みインクタンクにインクが残っていても、それを不当とする根拠になる数字がどこにもありません。
7)インクの残っているタンクを再び取り付けても使えない!
今のインクタンクにはICチップが取り付けられていて、使用履歴等を管理されています。取り外したインクタンクを再び取り付けても、プリンタにはそれがバレて使えません。
8)早めの交換には意味がない
プリンタが「空になった!」というまで使っても、交換のサインが出る前に交換してもインクを残したままの交換なので違いはありません。残るインクができるだけ少ない方が、取り外し時にインクをこぼすリスクが少なくなるので、「空になった!」とプリンタがいうまで使い切りましょう。