雑木林(ざつぼくりん)
・かっては用材にならない雑多な木からなる林の意味であったが、今では広葉樹などの二次林(用語1-2)で、薪炭材、農用材などに使われてきた樹木が多く育ち、里山(用語1-3)の中心的存在。シイ類、カシ類、コナラ・クヌギ・アカマツなどが主な構成種である。
二次林(にじりん)、極相(きょくそう)
・原生林(太古からあった植生)が、伐採や災害によって破壊された後、①自然に、②人為的に再生した森林の事。①の場合の多くは陽樹で、その代表がアカマツ、②の場合は繰り返し伐採できる萌芽林(伐採後の切り株から芽が出て棒状に成長する)。①の場合で長く放置されると、やがて陰性の樹木に置き換わり(遷移)、安定した森林(極相)となる。従って、遷移の途中にある森林のことをさす。
里山(さとやま)
・集落、人里に接した山、あるいはこうした地形において人間の影響を受けた生態系が存在している状態を指す言葉である。
焼畑農耕(やきはたのうこう)
・焼畑農耕は、森林を焼き払い、短期間の農地として利用した後、自然の回復力で森林に戻すことを繰り返すやり方である。
・焼畑は森林を焼き払い「環境によくない農法」というイメージがあるが、古代から世界的に行われてきた伝統的な農法で、生態系などに十分配慮すれば、持続可能な自然と調和した「環境にやさしい農法」である。
刈敷(かりしき)
・落ち葉や草木の若芽・若葉を刈り取り、それを田んぼの中に踏み込んで腐らせて肥料にすること。
製塩(せいえん) 詳細は産業-1
・塩を製造すること。
・古墳時代までは海草を天日乾燥していたが、弥生時代中期頃に製塩土器を使って海水を煮詰める方法が岡山県の児島半島付近で最初に始められたと、遺跡から推測されている。万葉時代頃からは揚浜式塩田が、さらに時代は下がって1950年代まで行われた入浜式塩田へと変化していく。
・塩田の適地
・入浜式塩田は潮の干満を利用した製法で、かつ海水が濃縮するまで天日が頼りであった。江戸時代は、藩が塩の専売(貴重)を導入することが多く、晴天の多い香川県、兵庫県、岡山県の沿岸に多く存在していた。
・塩の生産過程では、天日で濃縮した海水を煮詰めるために大量の燃料(山林の木)を必要とした。このため、製塩が乱伐による山林荒廃の一つの要因である時代もあった。
たたら製鉄(せいてつ) 詳細は産業-2
・たたら製鉄は、砂鉄などを原料にして和鉄や和銑が製造され、これを鍛錬により脱炭し、鋼(はがね)にした和鋼の製造をいう。
・日本刀は、たたら製鉄とは違う「たたら吹き」で、直接製鋼された鋼(玉鋼)を使用する。
・環境面から見ると、大量の木炭を燃料として用いる為、近世以前の中国山地はたたら製鉄の為にはげ山になる地域は珍しくなかった。また、原料となる砂鉄の採取(鉄穴流し=かんなながし)は、山腹を掘り返し山間部の渓流を利用して行われた為、流出する土砂によって下流の農業に大きな影響を与えた。
畿内(きない)
・旧国名のうち、大和国、摂津国、河内国、和泉国、山城国をいう。現在の奈良県、大阪府及び京都府の南部地域が該当する。
勅(ちょく)
・天皇の命令、又は命令が書かれている文書(勅書ともいう)。
・詔勅(しょうちょく)という言葉があるが、明治より以前の詔書とは、天皇と公卿全員の意見の一致が必要で手続きが煩雑なため、改元などの儀式的な事項に用いられていた。
天井川(てんじょうがわ)
・砂礫が堆積することにより、河床が周辺の平地よりも高くなった川をいう。
・地形の成立ちとしては、川に堤防が作られ、降雨に伴う土砂が河底に堆積すると、氾濫を防ぐためその土砂を堤防の嵩上げに使用する。これを繰り返すことで河床が高くなり、天井川が形成される。
・功罪としては、河床が高いので、田畑への水の供給は便利だが、いざ氾濫すると、水は行き場を失い長時間冠水し、農作物に悪影響をあたえる。
・全国的な分布は、各所に存在するが、近県では、大阪の寝屋川、兵庫の武庫川・芦屋川、島根の斐伊川などで、なかでも芦屋川の下にはトンネルが掘られ、東海道本線がそこを通っている。
・岡山県の分布は、赤磐市の砂川、岡山市の砂川、総社市黒尾の砂川(写真2-1)、倉敷市真備町箭田の末政川(写真2-2)などの地形が顕著である。
天井川のイメージ図
・宅地、田畑の地盤高さより、河川の川底が高い川を「天井川」と言います。
扇状地(せんじょうち)
・扇状地は、渓流(用語2-8)が平坦地に出るとその流速が弱まり、運搬されてきた粗大な砂礫が、山地からの出口をかなめにして扇の形で堆積された大規模な地形をいう。
・全国的に扇状地である箇所は、甲府盆地、富山平野、琵琶湖西岸などでみられる。地盤がよく、また伏流水があるため古くから集落が発達している。
・岡山県では、流域面積(用語2-9)の大きな渓流(用語2-8)はないので、顕著な扇状地は見当たらない。
渓流(けいりゅう)
・渓流は、山間部及び山間近くを流れる急流河川、谷、沢の総称をいう。
・出水の際、水勢が強く、急激に増水し、減水するため、渓岸・渓床浸食による土砂の流出や、逆に堆積することがある。この堆積物が大雨に伴う出水で下流に被害を与える場合もある。
・上流域の河川のことも渓流と呼ばれている。渓谷という言葉があるが、これはどちらかと言えば川そのものより流れを挟んだ斜面の地形を指している。
・地理学的な用語よりは生物や環境という視点からの言語である傾向が強い。言葉としては、「沢」が渓流を意味する場合もある。
流域面積(りゅういきめんせき)
・流域面積は、ある河川(渓流)に対して降雨などが集まる範囲を流域と言い、その面積(分水界によって囲まれる区域)を流域面積という。
・「集水面積」という表現もある。
治山事業(ちさんじぎょう)、治山工事(ちさんこうじ)
・森林法(昭和26年6月26日法律第249号)を根拠に、禿山や荒廃地を復旧するため、山地や海岸などの保安林内で行う保安施設事業のこと。明治30年に制定された旧森林法(明治30年4月12日法律第46号)は現在の森林法制定時に廃止となっている。
・主に植生を導入するための基礎となる山腹工事(用語3-5)や崩壊斜面に面した渓流(用語2-8)の縦横断侵食を防止する治山ダム(谷止工)などの構造物の設置を行う。
・長期的には森林の形成に寄与しつつ、下流への過剰な土砂流出を抑制するための防災施設として位置づけられている。
治水事業(ちすいじぎょう)、治水工事(ちすいこうじ)
・洪水・高潮の水害や土石流・がけ崩れ・地すべりなどの土砂災害から住民の生命、財産、生活を防御するために行う事業の総称である。
・江戸時代の治水事業は、洪水が多発する河川の流路を安定化し、水害の危険を軽減するとともに流域における耕地開発を促進するものだった。また、河川へ土砂が流出するのを防止する目的は、土砂による災害よりこの時代の通運の要となっていた舟運(用語3-8)の運行に支障がないようにする目的の方が強かった。
砂防事業(さぼうじぎょう)、砂防工事(さぼうこうじ)
・土砂災害の防止、土砂の生産を抑制し、流送土砂を扞止・調整することによって災害を防止する治水上砂防(用語3-4)のために行う事業の総称である。
・砂防法(用語4-5)を根拠にして、土石流の捕捉と土砂の移動の防止を目的に、荒廃した渓流(用語2-8)、扇状地等で行う防災事業で、渓流(用語2-8)に砂防堰堤(用語4-9)などを設置し、その下流に渓流保全工(用語4-8)を施工するのが現在では一般的である。
・土砂の流出抑制をする点では、森林法を根拠とする治山事業(用語3-1)と類似するが、砂防事業は主に人家や道路などの保全や治水上砂防(用語3-4)を目的にしている。
・1872年(明治元年)の明治政府の樹立から、砂防行政は河川行政とともに内務省土木局で同様に所管され、山林行政も同様であった。1881年(明治14年)に農商務省が設置されたことにともない、山林部門は内務省から農商務省山林局に移り、山林局の中にあった砂防部門は内務省土木局(この一部が後の建設省)に残り、それぞれの省において所管することとなった。
治水上砂防(ちすいじょうさぼう)
・山地の斜面を降水等により、表面侵食あるいはガリー侵食(地表のくぼみに雨水が集中して細い溝を掘るようになる。さらに侵食されて幅と深さを増すとともに上方に伸びて拡大してゆくような侵食形態)によって削り取られ、また渓流(用語2-8)の渓岸や渓床は、流水により縦横断侵食を起こすことによって土砂の生産がたえず行われ、生産した土砂は不断に下流河川に流送され、あるいは台風などの異常降雨時には莫大な量の土砂を流出させる。
・このため、下流河川の状態は常に変化し、土砂の堆積で河床(川底のこと)の上昇等を生ずることとなり、水害の主要な原因を形成している。
・これを防止しようとするのが「治水上砂防」であって、この文言は砂防法(用語4-5)第1条に砂防工事(用語3-3)の目的として記載されている。
山腹工事(さんぷくこうじ)
・禿山や崩壊地に植生を導入して、表土の風化、侵食、崩壊の拡大を防止し、土砂流出の抑制(完全に遮断しないという意味)を図ることを目的とした工事で、さまざまな工法の種類がある。山脚の浸食(渓流(用語2-8)の浸食)を防止するため谷止工を合わせて設置することもある。
・明治30年に森林法、砂防法(用語4-5)が制定され国庫補助制度ができたが、当時の森林法においては森林管理や木材生産が主眼で荒廃地対策はなかった。このため、岡山県では明治44年の農商務省「荒廃地復旧補助規則」が制定されるまでは、山腹工などは砂防事業(用語3-3)として実施された経緯がある。ただし、これ以降は治山事業(用語3-1)としての工事が主体となっており、現在、岡山県では砂防事業の中で実施されることはあまりない。
諸国山川掟(しょこくさんせんおきて)
・江戸時代に下流域の治水を図るため、上流域の森林資源の回復促進と厳格な樹木の伐採を規制、木材の流通規制を敷いた掟である。
・内容としては、①草木根の乱掘の停止、②植林の奨励、③川筋の焼畑や新田開発を禁ずる。これらの掟により、山林から下流河川への土砂の流失防止に繋げようとした。
村掟(むらおきて)
・里山(用語1-3)(入会地)の植生破壊を防止するために作った規則で、その内容は極めて詳細かつ厳密で、罰則を設定していることが多かった。
舟運(しゅううん) 詳細は産業-4
・船を使って物を運ぶ河川交通のことをいう。鉄道や自動車の陸上交通が発達する明治後期まで河川の舟運は栄えていた。
・高梁川の舟運の歴史は、鎌倉時代の末期に「鉄」を輸送するために始まったとされ、開削したことを示す史跡がある。
・港としては、新見、松山(現在の高梁市中心)、成羽が特に栄えた。旭川の勝山、吉井川の津山も同様である。
・江戸時代に河川交通は飛躍的に発展をとげ、様々な物資は「高瀬舟」に積載されて、瀬戸内海沿岸の港まで往復し、そこから積み換えられて、江戸や大坂に輸送された。
治水建言書(ちすいけんげんしょ)
・岡山県の治山治水の先覚者である宇野圓三郎(人物3-4)が、1882年(明治15年)に県令(当時の県知事)高崎五六に提出した砂防工事(用語3-3)の必要性を説いた「治水建言書」のことである。
・この「治水建言書」を受け取った県令も深く圓三郎の熱意に動かされ、同年9月には県議会に「砂防工事施工規則(用語4-3)」を提出し、満場一致で可決され、翌年度から県費支出の砂防工事が開始されることとなる。
・治水建言書の内容
・治水の要は土砂を扞止(かんし)することである。
・私が提案する工法は、経済的で、その効果は大きく、施工もしやすい。
・土砂を扞止すると、堤防の破壊を抑制し、河川の浚渫量を減らせる。
・明治13年の洪水による氾濫は県下一円に及んだが、特に高梁川は堤防の決壊の規模が大きく、集落は流され、田畑は荒廃し、住民の生命財産に激烈な被害を与えた。
・もし、この時以前に土砂扞止の工事をして、河川の埋塞を防いでいたら、非常時の洪水といえども今回のような悲惨な状態にはなっていないと思う。
・今を去ること20余年前、私の地元(備前市福田)で土砂扞止として山巻(用語4-2)の工事等を施工したが、わずか5年にして顕著な効果が出た。
・今日に至るまで、春先に、いささかの浚渫をするだけで、部落中の河川は以前の様な氾濫が発生していない。
・県令(知事)閣下、このことを察してもらいたい。
・災害対策として、河川に埋塞している土砂を毎年浚渫しても、埋塞する土砂の方が勝るであろう。
・治水の要は土砂を扞止することである。私の建言を受け入れてくれれば、堤防決壊や田畑の荒廃などの禍はなくなり、農民が安心して農業に従事できる。
・また、河川の水深が安定すれば運送(この時代、舟運(用語3-8)が流通の中心であった)の利便にも寄与する。
・これらの効果は、県民の幸福を増進させるのみならず、国家の富強にも繋がるのである。
山巻(やままき)
・山腹に筋目を入れて芝草を植え付ける工法。
・江戸時代、池田藩では藁(わら)を敷いて、その下に鳥が好む雑穀を播き(鳥に簡単に餌を取らせないため)、草木の種子を含む鳥の糞(ふん)が落ちるように仕向け、森林の復旧につなげたと文献に残っている。
砂防工施行規則(さぼうこうせこうきそく)
・宇野圓三郎の治水建言書の提出を受け、岡山県が1883年(明治16年)1月27日に公布した「砂防工施行規則」(明治16年制定、明治26年廃止)のこと。この当時に規則を設けて県費を支出した砂防工事(用語3-3)を実施しているのは、全国的にも珍しい。
・この規則に基づき、県費を支出した砂防工事が明治16年度から開始されることとなり、1893年(明治26年)の土砂扞止施工規則(明治26年制定、大正7年廃止)に受け継がれ、1897年(明治30年)に制定された砂防法(用語4-5)に基づき、国庫補助による砂防事業が開始されることとなった。
・砂防工施行規則の内容
・砂防工事は、地方税(県費)で行うものと町村の協議費で行うものの二種類とする。
・砂防工事でも規模が大きく困難を極めるものは県の工事として行う。
・各工事は、実施に向けての予算、発注方法の手続きを定めてから実行すること。
・砂防工事の種類は別記(詳細4-2)(別記に記載している石積堰堤工、連束藁網工など)のとおりとし、実地の景況に応じて工法を決めるが、その地域の慣行工法があって、効果があると判断できればそれで施行すること。
【別記に記載されている砂防工の種類】
・山腹に施行するもの:連束藁網工、笧留連束藁工、柵留連束芝工、土俵留工、積苗木など
・渓流に施行するもの:土堰堤工、柵留堰堤工、柴工堰堤、柴工沈床、柴工床固、割石堰堤工など
・砂防取締りの方法
①「保護林」を設けて伐木を禁じ、また芝草刈払い、樹根掘り取り、落ち葉掻き取りを禁じる。
②砂鉄の採取並びに開墾のため土砂を崩壊するものは、あらかじめその場所に掘留等を設置し、濁水の滞留を義務づける。
③河川への土砂瓦礫の投棄をすることを禁ずる。
④その他、取締りについてはその方法をあらかじめ定めておくこと。
・砂防工の年限は10年とし、農閑期に工事をすること。
・砂防工は三大河川の支流のみならず、禿山のように土砂が流出する箇所をもれなく施行すること。
・上記の箇所の調査方法や選定、県への手続きを定めること。
・郡区砂防委員各三名は、砂防工を巡視し、町村の砂防委員を監督し、工事の得失費用を調査すること。
・町村砂防委員各三名は、砂防工事をした人夫を指揮し、費用を計算して、砂防に属する取締りの任にあたること。
・官有林、民有林の持ち主に対して協議のうえ、工事に着手すること。
・民有林の持ち主に、砂防工で植栽した草木を保護培養させる。工事中はもちろん、完了後の保護期間について協定を結ぶこと。
・砂防取締りの結果、持ち主に年々の利益を妨げるときは、協議のうえ相応の手当てをする。
・土砂の流出が甚だしく、永遠に砂防の管理が必要な個所は、買収することがある。
・砂防費に寄付がある場合は、県は許可し砂防費に充当し、あるいは工事に労力の無償提供がある場合は、 同様に許可し、近傍の場所に便宜を図り、工事に使用する。
・上記の場合で、場所を指定したり、工法を具申してきた場合は、検査の上、許可すること。
砂防工大概(さぼうこうたいがい)
・1883年(明治16年)1月に「砂防工施行規則(用語4-3)」制定され、同年5月に郡役所、町村役場に対して、砂防の材料、器械、工法等を指示したもので、当時の岡山県砂防工事の根幹となる基準であり、当時の「達(たっし)」としては異彩を放つものであった。
・記載されている内容(詳細はこちら)
1.需要品の部:粗朶(そだ)、杭木(くいぎ)、藁(わら)、竹串(たけぐし)、空俵(からだわら)、藤蔓(ふじつる)、笧竹(しがらちく)、連束藁(れんそくわら)、連束柴(れんそくしば)
2.器械の部:鍬(くわ)、鋤(すき)、腹叩板(はらたたきばん)[図1]、連束締金(れんそくしめがね)[図2]、錐(すい)[図3]、両頭(りょうとう)[図4]、連束藁勾配検板(れんそくわらこうばいしらべばん)[図5]、木槌(きづち)[図6]、土突(どつき)[図7]、連束藁締台(れんそくわらしめだい)[図8]、連束柴締台(れんそくしばしめだい)[図9]、間竿(けんざお)[図10]、秤量(しょうりょう)[図10]
3.工事の部:石堰堤(いしえんてい)[図1、図2]、土堰堤(どえんてい)[図3、図4、図5]、笧留連束藁(しがらどめれんそくわら)[図6、図7]、連束藁網(れんそくわらあみ)[図8、図9、図10、図11、図12]、苗木植付(なえぎうえつけ)[図13]、柴工堰堤(しばこうえんてい)[図14、図15、図16]、柴工沈床(しばこうちんしょう)[図17]、積苗木(つみなえぎ)[図18、図19、図20、図21]、土俵留(どひょうどめ)[図22]、柵留堰堤(さくどめえんてい)[図23、図24]、土俵留根固(どひょうどめねがため)[図25]、水路石垣工堰堤(すいろいしがきこうえんてい)[図26]、水路芝工堰堤(すいろしばこうえんてい)[図27]、根石垣(ねいしがき)[図28]
砂防法(さぼうほう)
・砂防法(明治30年3月30日法律第29号)は、明治30年に制定された法律である。
・砂防は、有害な土砂の生産を抑制し、流送土砂を扞止(かん2し)調節することによって、災害を防止することである。
・禿山からの崩落土砂や豪雨等による山崩れや河床の侵食等に伴い発生する不安定な土砂の流出を防止、調整することで、下流河川の治水機能の保全を目的としている。これを治水上砂防(用語3-4)という。
・この目的を達成するため、砂防法が適用される区域を砂防指定地として指定し、治水上砂防(用語3-4)のため砂防設備の設置、一定の行為を禁止したり制限することが規定されている。
・明治20年代に頻発した大水害に対処するため、明治政府は統一的な治水対策を明確にする治水三法として、旧河川法(明治29年制定、昭和39年現在の河川法制定時に廃止)、旧森林法(明治30年制定、昭和26年現在の森林法制定時に廃止)、砂防法(明治30年)を制定している。河川法、森林法は、戦後の昭和年代に全面的に改正されたが、砂防法は部分的な改正はあったが、制定当時の原型を維持しているため、文語体となっている。
・旧河川法は、舟運(用語3-8)、大規模河川対策にその主眼があり、中山間地帯、小規模河川に対する配慮が少なく、旧森林法においては、民有林の山林管理、木材生産がその主眼であり、荒廃地対策(後に明治44年、荒廃地復旧補助規則が制定される)はなかった。
・このため、砂防法は、旧河川法、旧森林法だけでは治水対策は不十分であり、砂防工事等の必要性から制定されたと言える。
(参考)第十国会(明治30年3月15日砂防法案第一読会)での提案理由の説明要旨
・砂防法案の理由は極めて簡単なことで、今日各地に水害が多くなりました。その原因のひとつとして認められるのは、山林の荒廃、山地の荒廃ということは間違いない事であるから、一方では森林法が制定になり、この林という形をしているものの取り締まりは、その方で付ける。一方砂防法では、いわゆる禿山、森林になっていない土地に、そこからの土砂の流出を防御する砂防工事をします。 この森林法と砂防法が相まって、水源の涵養(かんよう)並びに洪水の防御という目的を達成されるということで、この法律を提案しました。
・この法律は、他の二法と違って、現在でも立法当時の原形を維持しつつ、砂防行政上の新たな課題(土石流対策など)については、その解釈運用によって、所期の目的を達成している事例が多い。
指定地砂防工事(していちさぼうこうじ)
・砂防法(用語4-5)に基づく砂防指定地において行う砂防工事のこと。明治30年の法律制定時から昭和初期頃までは、荒廃した山林について面的に砂防指定地を指定し、山林からの土砂流出防止を主体に工事を行った。指定地での砂防工事であることから「指定地砂防工事」と言われるようになったと思われる。
・禿山における風化土砂の扞止(かんし)に草木の植栽による山腹工などの砂防工事をする。
・貝殻状崩壊や薬研(やげん)状崩壊には渓間渓口の適当なところに堰堤を設置する。
・山腹山頂など、豪雨等で各所に発生する地表崩壊地は自然に草木が育成繁茂し、元に復する場合も多いので、全てに砂防工事をする必要はない。しかし、なかには放置しておくと崩壊面積が拡大する恐れがある箇所もあるので、これに対しては草木の育成を目的とした山腹工事(用語3-5)をする。
渓流砂防工事(けいりゅうさぼうこうじ)
・水源山地から流出する土砂を貯砂、調整し、又は渓床、渓岸侵食による土砂の生産を直接防止するために設置される砂防堰堤(用語4-9)(写真5-1、写真5-2)、床固工(用語4-10)(写真4-1)、護岸工(写真4-2)等の砂防設備を設置する工事のことをいう。
・工事が行われる渓流(用語2-8)とは、通常の降雨出水では上流からの土砂の補給(土石流・土砂流等)が少ないため、河床が侵食される急流河川区間のことをいう。
・渓流(用語2-8)の浸食という問題が昭和初期の時代に出たのは、指定地砂防工事(用語4-6)で実施していた山腹工事(用語3-5)などの成果が表れたことから、通年では、渓流への土砂の供給が下流渓流河川の侵食量より減少し始めたことによると思われる。
渓流保全工(けいりゅうほぜんこう) あるいは 流路工(りゅうろこう)
・渓流保全工は、山間部の平地や扇状地(用語2-7)を流下する渓流(用語2-8)などにおいて、乱流・偏流から渓流・渓岸の侵食・崩壊などを防止する目的で設置する施設である。横侵食を防止する護岸工(写真4-2)や縦侵食(河床洗掘)を防止して渓床を安定させる床固工(写真4-1)、帯工などの組み合わせからなる。
・渓流保全工の施工場所は、一般的に両岸が山であれば山脚が削れ山腹崩壊の原因となり、田畑(この多くが棚田地形)であれば、渓床洗掘により既設護岸等の根が掘られ崩壊するような現象が発生する勾配を持った小河川(渓流)である。
・宅地、耕地間の渓流(用語2-8)で荒廃している箇所を、一定の流線に基づいて護岸工(写真4-2)を設ける。また、渓流は急勾配な地形が多いため、床固工(用語4-10)(写真4-1)を設置して緩勾配にすることで縦侵食(渓床洗掘)を防止し渓床の安定を図る。
・また、施行区域は山地からの出口であることが多いので、渓流の上流部には砂防堰堤(用語4-9)(写真5-1、写真5-2)を設置して土砂を貯留し、下流への土砂流出を抑制する。(土砂を完全に遮断すると、下流に土砂の供給が無くなり浸食の現象が発生する。)
・砂防堰堤は、上流の山などから流出する土砂礫、大雨で一気に流れ出る土石流などを貯留、調節することにより、下流の人家や道路、耕地などを保全する砂防設備である。
・この施設は、下流に渓流保全工(用語4-8)の有無にかかわらず、渓流(用語2-8)の出口あたりに設置することが通常である。
・渓流保全工の直接保護(機能の保持)につながるが、砂防堰堤工を設置することにより、河床勾配が緩くなるため、上流部の溪岸浸侵の防止、土石流(昭和40年代頃までは、山津波と称していた)の勢いを止め、あるいは緩和するなど、下流での土砂災害の被害を軽減する効果がある。
・山地で生産される土砂は海に流れる一部を除き、大部分が下流河床に堆積する。そのため、明治時代では、河川の再改修や浚渫する工費を考えた場合に、砂防堰堤を設置することが割安であることも考慮されていた。
・昭和初期の時代には、岡山県に多い台地性低山地の渓流は、大きな土砂災害の周期が相当に長いと想定されていたことから、その間を溜池や洪水調節に利用できることとして、高さが高い砂防堰堤を積極的に設置している。
床固工(とこがためこう) (写真4-1)
・渓流保全工(用語4-8)は、渓流(用語2-8)の侵食を防ぐために行う工事であるが、横侵食を防止するための護岸工(写真4-2)に対して、縦浸侵渓床洗掘)を防止して渓床を安定させ、渓岸の崩壊等の防止を図る目的で、渓床勾配を緩やかにするための落差工(階段状に施工)として、床固工(写真4-1)を設置する。
玉石コンクリート(たまいしこんくりーと)
・現在、通常に使用されているコンクリートは、工場で生産された生コンクリートであるが、昭和20年代から昭和40年頃までは、セメントの価格が他の材料より高く、より経済的な施工方法として、、コンクリートに玉石(径5~10cm)を入れることで、コンクリート量を節約(セメント使用量が減少できる)した砂防堰堤工事を実施していた。
地すべり等防止法(じすべりとうぼうしほう)
・地すべり等防止法(昭和33年3月31日法律第30号)は、地すべりの崩壊による被害を除却し、又は軽減するため、地すべりの崩壊を防止し、もつて国土の保全と民生の安定に資することを目的として制定された法律である。地すべり等とあるのは、ぼた山も含まれるためである。
・この目的を達成するために必要がある場合は、地すべり防止区域として指定し、地すべり対策工事の実施、地すべりの防止に有害な行為を規制する。
・地すべり防止区域の指定と管理についての主務大臣は、森林法の規定により指定された保安林などは農林水産大臣。土地改良法に規定する土地改良事業に関係する場合は農林水産大臣、前記に該当しない場合及び砂防法の規定により指定された砂防指定地がある土地の場合は、国土交通大臣が所管することとなっている。
・地すべりの要因は、主に地下水が関係している場合が多い。地すべりの活動を抑えるための対策工事は、地下水排除を目的とした横ボーリング、集水井などの抑制工や、抑止杭、アンカー工などの抑止工などにより実施している。
急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律(きゅうけいしゃちのほうかいによるさいがいのぼうしにかんするほうりつ)
・急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律(昭和44年7月1日法律第57号)は、急傾斜地の崩壊による災害から国民の生命を保護するため、急傾斜地の崩壊を防止するために必要な措置を講じ、もつて民生の安定と国土の保全とに資することを目的として制定された法律である。
・この法律で「急傾斜地」は、傾斜度が30度以上である土地をいう。この目的を達成するために必要がある場合は、急傾斜地崩壊危険区域として指定し、急傾斜地崩壊対策工事の実施、急傾斜地の崩壊が助長、誘発される行為を規制する。
・法の要旨としては、①急傾斜地の崩壊による災害から国民の生命を保護することであって、財産は直接の保護法益ではない。②砂防や地すべりに比べ限定的であるため、県の自治事務としている。③防止工事により、著しく利益を受けるものに対して受益者負担金を徴収できること。などがある。
・対策工事としては、人家を崩壊から保全する待受擁壁工や法面を安定保護する法枠工などが多く採用されている。
土砂災害危険箇所(どしゃさいがいきけんかしょ)
・土砂災害の防止、被害の軽減を図り、もって人命の保護と国土保全を目的とした砂防関係事業の対策工事を実施するための指標となる箇所を土砂災害危険箇所と称している。また、土砂災害防止法(用語5-10)に基づく土砂災害警戒区域等の指定についても、基本的に土砂災害危険箇所がベースとなっている。
・地形的に土砂災害のおそれのある箇所と人家戸数によって、主に2万5千分の1程度の地形図を基に危険箇所の調査を昭和40年代頃から国の調査要領に基づき各都道府県で実施しており、現在、土石流危険渓流(用語5-5)は平成15年、地すべり危険箇所(用語5-6)は平成10年、急傾斜地崩壊危険箇所(用語5-7)は平成15年に公表している。
・土砂災害危険箇所の区分は、人家戸数により区分されており、区分Ⅰは人家5戸以上等の箇所、区分Ⅱは人家1~4戸の箇所、区分Ⅲは人家はないが今後新規の住宅立地が見込まれる箇所、となっている。「人家5戸以上等」は避難所、災害時要援護者関連施設、学校などの公共施設がある場合は区分Ⅰとしているためである。なお、地すべり危険箇所(用語5-6)には人家戸数による区分はない。
・市町村が作成するハザードマップにも土砂災害危険箇所を掲載し、周知を図っている。また、岡山県の「おかやま全県統合型GIS」でも危険箇所の閲覧ができる。
・岡山県では、土石流危険渓流6,441箇所、地すべり危険箇所198箇所、急傾斜地崩壊危険箇所5,360箇所、合計11,999箇所となっている。
・岡山県防災砂防課の土砂災害危険箇所の概要
土石流危険渓流(どせきりゅうきけんけいりゅう)
・土石流は、大量の土・石・砂などが、集中豪雨などの大量の水と混じり合って、津波のように流出するもので,流れの先端部に大きな岩があることが多い。などの特徴がある。
・危険渓流の要件は、①幅より奥行きが長い渓流、②過去に土石流、土砂流の履歴のある渓流、③地形地質上、土石流の発生すると予想される渓 流(渓流勾配が12度以上)で、被害想定区域は勾配が3度以上の範囲である。
・対策工事は、砂防事業で実施する。
地すべり危険箇所(じすべりきけんかしょ)
・地すべりは、粘土などの滑りやすい層を境に、その地面がそっくりズルズル動き出す現象で、土塊の乱れは少なく原形を保ちながら動き、規模は1~100haと大きく継続性がある。などの特徴がある
・危険箇所の要件は、①地すべり地形を呈している箇所、②過去に地すべり災害が発生した箇所、③亀裂、陥没、隆起等の地すべり兆候が見られる箇所、などである。
・対策工事は、地すべり対策事業で実施する。
急傾斜地崩壊危険箇所(きゅうけいしゃちほうかいきけんかしょ)
・急傾斜地の崩壊(がけ崩れ)は、雨で地中にしみ込んだ水分が土の抵抗力を弱め斜面が突然崩れ落ちる現象で、厚さ0.5m~2.0m程度の表層土が滑落する比較的規模の小さな崩壊で、前ぶれもなく突然起こることが多く、スピードも速く、土塊はかく乱され突発的である。などの特徴がある。
・危険箇所の要件は、斜面の傾斜度が30゜以上でかつ、高さ5m以上の急傾斜地である。
・対策工事は、急傾斜地崩壊対策事業で実施する。
ハード対策(はーどたいさく)
・土砂災害防止対策において、施設整備により土砂災害から生命、財産などを保全する対策のことをハード対策という。土石流対策では、砂防堰堤(用語4-9)や渓流保全工(用語4-8)、地すべり対策では、横ボーリング、集水井、抑止杭など、急傾斜地崩壊対策では、待受擁壁、法枠工などの工事により対策を推進している。防災工事ともいわれる。
ソフト対策(そふとたいさく)
・土砂災害防止対策において、土砂災害から生命、身体を守るために実施される警戒避難、開発行為の制限、雨量情報の提供、土砂災害警戒情報(用語5-14)の提供など、土砂災害を防御、防止する対策工事(ハード対策)以外の対策のこと。
・県が実施する主なソフト対策としては、土砂災害警戒区域等(用語5-11)の指定、土砂災害警戒情報の発表及び土砂災害危険度情報の提供、雨量情報の提供、防災知識・意識向上の普及啓発活動などがある。市町村が実施するソフト対策として、避難勧告等の発令など警戒避難体制の整備、土砂災害に関する情報伝達、ハザードマップの作成・周知などがある。
土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律(どしゃさいがいけいかいくいきとうにおける どしゃさいがいぼうしたいさくのすいしんに かんするほうりつ)
・土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律(平成12年5月8日法律第57号)(土砂災害防止法=土砂法)は、①土砂災害のおそれのある土地の区域を明らか(土砂災害警戒区域等(用語5-11)の指定)にする。②警戒避難体制の整備を図る。③著しい土砂災害のおそれのある土地の区域においては、一定の開発行為を制限、建築物の構造規制など。④重大な土砂災害の急迫した危険がある場合において避難に資する情報を提供する。これらのにより、土砂災害から国民の生命及び身体を保護することを目的としている。
・この法律において、「土砂災害」とは、急傾斜地の崩壊(傾斜度が30°以上である土地が崩壊する自然現象をいう。)、土石流(山腹が崩壊して生じた土石等又は渓流の土石等が水と一体となって流下する自然現象をいう。)、地すべり(土地の一部が地下水等に起因して滑る自然現象又はこれに伴って移動する自然現象をいう 。)の3種類となっている。
・ 土砂法は、生命及び身体の保護することを目的とし、財産保護は本法律の保護法益に含んでおらず、施設整備を前提とした法律ではなく、ソフト対策に特化した法律である。
・大規模な土砂災害が急迫している状況において、市町村が適切に住民の避難指示の判断等を行えるよう特に高度な技術を要する土砂災害(河道閉塞による天然ダム、火山噴火に伴う土石流)については国土交通省が、その他の土砂災害(地すべり)については都道府県が、緊急調査を実施し、被害の想定される区域・時期などについて、土砂災害緊急情報として市町村などへ提供することが追加された。(平成22年に改正)
・岡山県防災砂防課の土砂災害防止法の概要
土砂災害警戒区域等(どしゃさいがいけいかいくいきとう)
・土砂法による土砂災害のおそれのある区域のことを、土砂災害警戒区域(用語5-12)、著しい土砂災害における土地の区域を、土砂災害特別警戒区域(用語5-13)としており、この2つを総称して、土砂災害警戒区域等と表現している。
土砂災害警戒区域(どしゃさいがいけいかいくいき)
・土砂災害警戒区域は、急傾斜地の崩壊、土石流、地すべりが発生した場合に、住民等の生命又は身体に危害が生ずるおそれがあると認められる土地の区域で、土砂災害を防止するために警戒避難体制を特に整備すべき土地の区域を、土砂災害警戒区域として指定するのもである。指定は、指定の区域及び土砂災害の発生原因となる自然現象の種類を公示することとなっている。
・それぞれの指定区域の要件は次のとおり。(黄色の区域が、警戒区域。赤色の区域が、特別警戒区域)
土石流
土石流
急傾斜地の崩壊
俸給傾斜地の崩壊
地すべり
地すべり
・区域指定により、警戒避難体制の整備を図ることとなるが、土砂法第7条により警戒避難体制の整備は市町村が行うこととなっている。具体的には市町村地域防災計画において当該警戒区域ごとに、土砂災害に関する情報の収集、伝達予報又は警報の発令及び伝達、避難、救助などである。また、ハザードマップを作成し周知を図ることとなっている。
・現在の指定状況は、岡山県防災砂防課の「土砂災害警戒区域等指定箇所一覧表」で確認して下さい。また、区域指定された箇所は、「おかやま全県統合型GIS」で位置を確認できます。
土砂災害特別警戒区域(どしゃさいがいとくべつけいかいくいき)
・土砂災害特別警戒区域は、土砂災害警戒区域(用語5-13)のうち、急傾斜地の崩壊、土石流、地すべりが発生した場合に、建築物に損壊が生じ住民の生命、身体に著しい危険が生じるおそれがある区域を特別警戒区域として指定している。指定後は、特定開発行為の制限、居室を有する建築物の構造規制がある。
・特定の開発行為に対する許可は、住宅宅地分譲や災害時要援護者関連施設の建築のための開発行為に対して、基準に従ったものに限って許可されます。
・建築物の構造規制は、居室を有する建築物の建築等に着手する前に、作用すると想定される衝撃に対して建築物の構造が安全であるかどうか建築確認が必要となります。
・現在の指定状況は、岡山県防災砂防課の「土砂災害警戒区域等指定箇所一覧表」で確認して下さい。また、区域指定された箇所は、「おかやま全県統合型GIS」で位置を確認できます。
基礎調査(きそちょうさ)
・基礎調査は、急傾斜地の崩壊等、土砂災害のおそれがある土地に関する地形、地質、降水等の状況及び土砂災害の発生のおそれがある土地の利用の状況その他の事項に関する調査のこと。
・土砂災害が発生するおそれがある土地に関する調査では、土砂災害が発生するおそれがある箇所の抽出、地形、地質、降水、植生等の状況に関する調査、土砂災害防止施設等の設置状況に関する調査、過去の土砂災害に関する調査、土砂災害が発生するおそれがある土地の区域の把握を調査することとなっている。
・警戒避難体制等に関する調査では、土砂災害に対する避難勧告等に関する調査、情報の伝達に関する調査、ハザードマップに関する調査、その他の調査などである。
土砂災害警戒情報(どしゃさいがいけいかいじょうほう)
・土砂災害警戒情報は、大雨により土砂災害発生の危険度が高まったとき、市町村長が避難勧告等を発令する際の判断や住民の自主避難の参考となるよう、岡山県と岡山地方気象台が共同で市町村単位ごとに発表する防災情報である。テレビ、ラジオ、インターネットを通じて情報提供しており、岡山県防災情報メール配信サービスにより最新の情報入手ができる。
・利用上の留意点として、土砂災害警戒情報は、降雨から予測可能な土砂災害の内、避難勧告等の災害応急対応が必要な土石流や集中的に発生する急傾斜地崩壊を対象としている。技術的に予測が困難である地すべり等は、土砂災害警戒情報の発表対象とはしていない。また、個別の災害発生箇所・時間・規模等を詳細に特定するものでもない。
・早期避難をお願いします。土砂災害警戒情報等が発表されていなくても、斜面の状況には常に注意を払い、普段と異なる状況に気がついた場合には、直ちに周りの人と安全な場所に避難してください。
・気象庁の土砂災害警戒情報(岡山県)の発表状況 、岡山県防災砂防課の土砂災害警戒情報とは を参照して下さい。
土砂災害危険度情報(どしゃさいがいきけんどじょうほう)
・土砂災害警戒情報(用語5-15)を補足する情報として、岡山県総合防災情報システムを通じて提供している。これは、県内を5km四方の格子に分けて土砂災害の危険度を4段階のレベルで表示している。また、携帯webでも閲覧可能となっています。
・携帯WebのURL:http://www.bousai.pref.okayama.jp/bousai/index.jsp
・岡山県防災砂防課の土砂災害危険度情報とは を参照して下さい。