年 代
1967年
1969年
1982年頃
1985年頃~
1999年
2000年
2005年
2007年
2012年
和 暦
昭和42年
昭和44年
昭和57年頃
昭和60年頃~
平成11年
平成12年
平成17年
平成19年
平成24年
事 項
詳 細
【災害】
・全国で災害が多発し、そのうち土砂災害で亡くなった人は455名を数えました。なかでも六甲(兵庫県)で92名、呉市周辺(広島県)で88名の犠牲者が出ており、その多くががけ崩れによるものでした。がけ崩れで大きな被害があったことから、建設省は、同年に崩壊の恐れがある斜面の緊急調査を行いました。
【土砂災害の顕在化】
①長崎大水害
・100ミリを超える時間雨量が連続したため、長崎市を中心に死者・行方不明者299人も発生し、特にその74%は土砂災害によるものでした。
・これ以降の自然災害の内容を見ると、特に死者がでた個々の災害の多くが土砂災害であり(地震関係による災害は除く)、土砂災害は直接人命に深刻な影響を与えることが理解されてきました。
②土砂災害の顕在化
・戦後、全国で土砂災害に起因して発生した災害(災害5-3)を別途に表示します。
・また、長崎大水害は、住民に土砂災害の正しい知識と早めの避難の大切さなど「ソフト対策(用語5-9)」の重要性を示唆するもので、これ以降、行政が災害復旧や防災事業などによるハード対策(用語5-8)(施設整備)に合わせて、ソフト対策も行うようになりました。
③岡山県内の土砂災害の実態について
・岡山県地域防災計画(資料編)に記載されている昭和30年から平成21年まで(55年間)の自然災害による死者数は160名となっています。(詳細5-2)、(詳細5-3)
・上記のうち、土砂災害が原因と思われるのは、64名で、その多くはがけ崩れが原因です。小学校就学前の乳幼児と70歳以上の高齢者(災害弱者)の死亡者は22名で、その割合は3分の1に及んでいます。
・戦後、県内で複数の死亡者が出た規模の大きい土砂災害は以下の通りです。詳細は(災害5-4)
※戦後県内で複数の死亡者が出た土砂災害
【国の動き】
・土砂災害のうち、地すべり、がけ崩れについては新しい法律でその時代に即した対応ができるようになりましたが、土石流については、明治期に成立した砂防法(用語4-5)で対応することになり、今までの治水上砂防(用語3-4)にあわせて、土石流に対応できる対策計画が確立されました。
・今までは、自然の脅威から住民の生命・財産を守ることを優先にした事業を推進してきましたが、人間活動の規模が大きくなり、また、自然環境保護などの意識の高まりから、事業実施に伴う環境への影響が課題となり、環境に配慮した事業実施が求められ、砂防事業についても環境に配慮した事業を実施するようになりました。砂防環境整備事業(事例5-2)
【岡山県の対応】
・砂防堰堤(用語4-9)は、今まで石積やコンクリートで施工されていましたが、土石流の対応とあわせて、土石流と同時に発生する流木の対応も考慮するなど、渓流(用語2-8)の状況にあわて、透過型堰堤も設置するようになりました。(写真5-2)
透過型堰堤(鏡野町)呑水奥谷川
透過型堰堤(新見市)正念寺谷川
砂川砂防公園(総社市)
【1999年(平成11年)、広島市・呉市の土砂災害】
・6月に発生した広島市・呉市の豪雨災害により、土砂災害が同時多発し、土石流139箇所、がけ崩れ186箇所、死者・行方不明者32名となる大きな被害が発生しました。
・この災害及び近年の土砂災害では、土砂災害に対する施設整備に併せて、防災に対する備えの重要性が浮彫りにされました。それは、市街地の拡大や危険箇所における新興住宅開発など、施設整備を必要とする箇所が増加し、そのような箇所が被災する場合が増えていました。また、住民の生命・身体を守るための警戒避難体制の充実や建築物の安全性の強化、開発行為の制限等のソフト対策の必要性が強く認識され、土砂災害防止法(用語5-10)制定のきっかけとなりました。
【国の対応】
・このため、警戒避難体制の整備等のソフト対策により土砂災害から住民の生命を守る法律「土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律(平成12年5月8日法律第57号)」(土砂災害防止法(用語5-10))が制定されました。
【岡山県の対応】
・土砂災害の発生のおそれのある箇所を地形図(2万5千分の1)から選定し、土石流危険渓流(平成15年)、急傾斜地崩壊危険箇所(平成15年)、地すべり危険箇所(平成10年)を公表し、地域防災計画への記載、市町村のハザードマップへの記載を進め、土砂災害危険箇所(用語5-4)の周知を図っています。
・土砂災害防止法(用語5-10)に基づく土砂災害警戒区域等(用語5-11)の指定を進めるため、基礎調査(用語5-14)の実施を行っています。
・平成17年度から、土砂災害防止法(用語5-10)に基づく土砂災害警戒区域等(用語5-11)の指定及び公表を行っています。警戒区域の指定により、市町村による警戒避難体制の整備が図られています。(事例5-5)
【ソフト対策】
・平成19年4月から、大雨による土砂災害発生の危険度が高まったとき、市町村長が避難勧告等を発令する際の判断や住民の自主避難の参考となるよう、県と岡山地方気象台が共同で発表する防災情報として、「土砂災害警戒情報(用語5-15)」の運用を開始しました。
・同時に、土砂災害警戒情報を補完する情報として、「土砂災害危険度情報(用語5-16)」を「岡山県総合防災情報システム」を通じての提供を開始しました。
・岡山県の土砂災害警戒情報の発表状況(気象庁)
・岡山県の土砂災害危険度情報の提供(岡山県)
【土砂災害防止対策の現状】
・県内の土砂災害危険箇所は19,999箇所で、このうち施設整備(ハード対策(用語5-8))を前提とした人家5戸以上等の箇所は5,360箇所あり、整備率は26.3%(平成23年度末)となっています。しかし、施設整備には多額な費用と長期間を要することから、土砂災害警戒区域等(用語5-11)の指定、土砂災害警戒情報(用語5-15)の発表、土砂災害危険度情報(用語5-16)の提供等、ソフト対策(用語5-4)の充実により、土砂災害防止対策の推進を図っています。