演奏されたのは、モーツァルト「シンフォニアコンチェルタンテニ長調K.448」、テレマン「ターフェルムジークニ長調」、モシェコフスキー「二つのヴァイオリンとピアノのための組曲」、プーランク「フルートソナタ」、サラサーテ「ナヴァラ作品33」で、雅子先生、淑子先生姉妹の美しいヴァイオリン、晴之先生の素晴らしいフルート、そして寺島千紘さんの素敵なピアノ伴奏でした。
「シンフォニアコンチェルタンテニ長調K.448」は、のだめカンタービレでも有名になったピアノ2台のためのソナタですね。モーツァルトが、アウエルハンマーというすぐれた弟子と二人で演奏するために作曲したもので、ピアノが対話をしたり寄り添ったりしているかのような軽快な音楽となっています。のだめカンタービレのなかで、千秋が音楽の喜びに目覚めるきっかけととなり、のだめが音楽に向き合うことを決断する、とても重要な場面で演奏されていましたね。
「ターフェルムジークニ長調」は、16世紀中頃に祝宴や饗宴で演奏されることを目的として書かれた音楽形式の曲です。この作品は三つの独奏楽器と通奏低音のための曲で、緩急の4楽章からなり、壮大な作品となっています。 テレマンという人は、当時ヨーロッパ中で人気のあった作曲家です。親しみやすく、素敵な演奏でしたね。
「二つのヴァイオリンとピアノのための組曲」は、ポーランド出身のユダヤ系ピアニスト、作曲家で、指揮者としても活躍し、ピアノのための小品やエチュードで有名なモシェコフスキーの最後の作品です組曲から3曲演奏されましたが、第1楽章は重厚で華麗、第3楽章は悲しみを帯びた旋律が繰り返され、第4楽章では軽快なリズムの二つのヴァイオリンの掛け合いが繰り広げられました。
「フルートソナタ」は、フランス近代作曲家6人組の一人プーランク晩年の作品です。20世紀最高のフルートソナタといわれます。フランスの超有名なフルート奏者ランパルと本人とで初演されたそうです。曲は三つの楽章からなり、フルートの表現の可能性を最大に引き出した印象的な作品です。
「ナヴァラ作品33」は、スペインのナヴァラに生まれ、幼い時からヴァイオリンの名手として知られたサラサーテによる作品です。ほかにツィゴイネルワイゼンやカルメン幻想曲などの超有名な曲があります。この作品はサラサーテが故郷に思いをはせて作曲したもので、二つのヴァイオリンによる民族的で華麗なメロディーが魅力となっています。
アンコールではフィオリロのコンチェルタンテ・デュオからの2楽章とバッハの管弦楽組曲第2番から「ポロネーズとバディネリ」が演奏されました。フィオリオはエチュードの作曲家として知られていますが、きれいなデュオがあるんですね。バッハはフルートの旋律が印象的です。ボロネーズは舞曲のひとつですが、バディネリというのは「冗談」という意味らしいです。
雅子先生がとてもリラックスして、楽しそうに演奏されていたのが印象的でした。双子の姉妹演奏家の演奏を聴くのは初めてでしたが、譜面をめくるタイミングまで一致するのは驚きでした。しかし、大人になって別々の人生を過ごした時間と、それ以前の時間とが同じ長さになったと話されていたように、それぞれのヴァイオリンの音色と表現は異なり、舞台の立ち姿からそれぞれの人生が伝わってくるようでした。それでも、淑子先生お手製の色違いのドレスを着たお二人を見ると、二人一緒がとっても素敵でした。(M.O.B.&M.O.G.)