養子縁組

養子縁組は血縁関係の無い者の間に親子関係を生じさせるものであり、人事関係上重大な事項である。

民法は届出によってのみ効力を生ずるものとして、その届出については成年の証人2人以上を要し、届け書に代署を許さない。ゆえに無筆のため自署不能の者は口頭届出をする以外の方法がない。

15歳未満の子が養子となる場合にはその家にいる父母が変わって縁組みの承諾および届出をする。

養子縁組の要件はおおむね次の通りである。

  1. 成年に達した者でなければ養子を迎えることができない。
  2. 尊属または年長者を養子とすることはできない。
  3. 法定推定家督相続人である男子がいる者は男子を養子とすることができない。ただし、女婿(むすめむこ)とする場合はこの限りでない。
  4. 後見人は被後見人を養子とすることができない。ただし遺言による縁組みの場合はこの限りでない。
  5. 配偶者がいる者は配偶者とともに縁組みしなければらない。ただし夫婦の一方が他方の子を養子とする場合は一方の同意で足りる。また夫が妻の実父母の養子となるには、同籍内の場合は妻とともに縁組みしなくてよい。他家にあるばあいは妻とともに縁組みをしなければならない。
  6. 夫婦の一方がその意思を表示することができないときは、他方は双方の名義をもって縁組みすることができる。
  7. 15歳未満の子が養子となるには、父母が代わりに縁組みの承諾をし、継父母、嫡母が代諾するには親族会の同意を要する。また父母がいないときは後見人および親族会において代諾する。
  8. 成年の子が養子となり15歳以上の子が養子となるにはその家にいる父母の同意を要する。
  9. 婚家または養家からさらに縁組みによって他家に入ろうとするには実家にいる父母の同意を要する。
  10. 縁組みをするには戸主の同意を必要とする。婚家または養家からさらに縁組みによって他家に入るには実家戸主の同意を必要とする。もし戸主の同意を得ないで縁組みをしたときは離籍または復籍拒絶される。
  11. 縁組みは遺言によってすることができる。この場合縁組届出人は遺言執行者となる。

養子縁組届での手続きは戸籍法第88条から92条による。

取り消しの届出は同法第93条に規定される。注意を要するのは養子縁組届をいったん受理した以後は無効の原因がある時を除いて、許可、同意の欠缺のほか、不受理の原因があっても取り消しの裁判があるまではその効力が認められる。その受理が本籍地であると非本籍地であるとは問わない。ゆえに市町村長が受理した縁組届の送付を受けた場合、無効の原因が無い限りは不受理の原因があってもそのまま受理し戸籍記載をしなければならない。

市町村長においては届け書の受理に会っては細心の注意と調査を必要とする。