日本で初めて本格的な戸籍制度が開始されたのは、明治5年のことである。
この年の干支が、壬申であったことから、このとき整備された戸籍を「壬申戸籍」とも呼ぶ。
このセクションでは、第2次世界大戦後の新しい戸籍法(昭和22年12月22日法律第224号)が施行される前の戸籍法について取り扱う。
当時の戸籍事務に関係する法令は次のものがある。
民法(親族、相続)、民法施行規則
戸籍法、戸籍法施行規則
戸籍および寄留事務取扱準則
司法省の通達
戸籍事務は市町村長が管掌し、管轄裁判所が監督する。 戸籍事務を助役に分掌させることはできない。
市町村長が欠けている場合は、助役が代理して職務執行する。
助役も欠けているときは、上席書記官が対応する。この順序は市町村制の規定に基づく。このとき、収入役は代理事務に当たれない。
職務代理者が、戸籍の記載をするときは、文末にその旨を記載して認証印をする。
市町村長は、自己および親族の戸籍に関しては戸籍事務を行えない。助役・書記官も同様。
戸籍は、市町村内に本籍を定めたものにつき戸主を主軸にその家族を一戸籍ごとに編成して、地番の順序の従って編綴し帳簿にする。このとき、正本・副本の二つを造って、正本は市役所・町村役場に備え、副本は監督裁判所に保存される。
家督相続、廃絶家、転籍、その他の事由により戸籍の全部を抹消するときは、これを抜き取り除籍簿へ移す。
相続、分家、転籍、一家創立、廃絶家再興などによって新戸籍を編製したときは、相当する場所(地番順)へ編綴する。
戸籍簿または除籍簿は、災害などの事変を避けるため意外には、役場内から持ち出してはならない。災害などの事変を避けるために持ち出したときは、監督裁判所に報告しなければならない。 緊急避難以外には役場外に持ち出せないことから、官公庁からその原本を提出するよう指示されても、これに応じてはならない。
戸籍は公示すべきものであるから、閲覧・謄本・抄本の交付を拒むことはできない。