出生

出生届けは出生の日から14日以内に届けなければならない。届書に記載すべき要件は戸籍法第69条に規定される。その届出は出生地においてすることができる。汽車または船舶において出生した時は到着地で届出することができる。

出生届けの届出義務者は、

  1. 嫡出子については第1に父親を届出義務者とする。父が届出できない場合、または離縁、離婚により家を去った場合は母が届出義務者となる。父は子が嫡出であることを否認する場合においても一応嫡出子として届け出なければならない。父が故意に届出しないときは父が届出できない場合を準用して、母が嫡出子出生届けをすることができる。
  2. 妻が婚姻中懐胎した子は夫の子と推定し婚姻成立の日から200日後または婚姻解消の日から300日以内に生まれた子は婚姻中に懐胎したものと推定される民法の規定によるから、父が出生届けで義務者であるか否かはこの規定を標準として判断する。
  3. 庶子については父が届出人となる。庶子出生届けは私生児認知の効力をもつため、父が胎児認知届をした場合以外は、父以外がこの届出をすることができない。
  4. 私生児については母が届出人となる。

以上の場合おいて届出をすべきものが届出することができない場合は、下記の順位に従って届け出義務者が決まる。

  1. 第1 戸主
  2. 第2 同居者
  3. 第3 分娩に立ち会った医師又は産婆
  4. 第4 分娩を介抱した者

航海中に出生した時は船長は航海日誌の謄本を到着港の地の市町村長に発送し市町村長はこれを受理し非本籍人の出生の手続きを行う。また病院、刑務所その他公設所において出生した場合において父母ともに届出をすることができないときは公設所の長または管理人が届出をする。

子が出生届け前に死亡した時は、死亡届義務者が出生届もともしなければならない。

棄児発見の届出については戸籍法第78条から80条により、棄児の指名が不明な場合は市町村長が氏名をつける。この命名についてはいかなる制限もないが新戸籍法が棄児の戸籍に棄児なる文字の記載を省いた趣旨にかんがみ、「門脇捨三」、「薮中棄子」など一見して棄児であることを推知しうる名前をつけることは慎まなければならない。

子は父の家に入り、父が不明の時は母の家に入る。父母ともに不明な子は一家を創立する。父の家、母の家とは子の出生当時の父の家、母の家であり届出当時の家ではない。ただし、父が庶子出生届けをし、または婚姻前の出生児および婚姻後200日未満の出生児を嫡出子として出生届けをした場合においては認知の効力を有する届け出であるから届出当時の父の家に入るものとする。

しかし、嫡出子出生の場合においては、その父母が家族であるといえども当然父母の属する家に入るべきをもって丹生家につき戸主の同意を要しないが、婚姻前または婚姻後200日以内の出生子および庶子、私生児であるときは戸主がその子の入籍を拒否する権利を有する。父家の戸主が入家の同意をしないときは婚姻前の出生子は出生当時の母の家に入る。母家の戸主も同意しない場合は、一家を創立し、婚姻後200日以内の出生子は母家に入らずただちに一家を創立する。庶子は母家の戸主が同意しないときは庶子は一家を創立する。私生児は母家の戸主が同意をしないときはただちに一家を創立する。

父母婚姻前の出生子および婚姻後200日以内の出生子は妻の私生児にほかならざるも父母より嫡出子として届け出をすることができる。また、母が分かったときは父一人から嫡出子として出生届けをすることができるが、元来私生児であるものを認知して嫡出子とするに他ならないので入家については戸主の同意を要するが戸主が父母の婚姻に同意をしている以上は婚姻当時懐胎していた子についても入家につき不同意するべきでない。故にこの場合に限に入家につき戸主の同意を省略しても差し支えない。これとは逆に父母の婚姻に戸主が同意しなかった場合および婚姻前出生した子の入家については戸主の同意を必要とする。よって右の場合、子が出生届前に死亡したときは父において認知をすることができないため(死亡した子に直系卑属がいる場合は除く)やむをえず妻の私生児として死亡届を行うものとする。ただし、父が生前胎児認知の届出をしたばあいは嫡出子としてほかの者より届出をすることができる。