【個人のメモ】ロボットを海外に輸送するのに必要なこと(作成中)

作成:2012年8月20日

最終更新日:2019年10月21日(まだまだ作成中、PDFファイルだけ追加)

海外にロボットを持ち出すということ

研究用のロボットを海外で開催される、競技会やデモンストレーション、展示会のために国外に持ち出す場合の注意事項を忘備録的にまとめたものです。

安全保障貿易管理制度について

海外にロボットを運ぶ場合には機器(ロボットや計算機や計測装置などなど)に対して、「該非判定書」(パラメータシート)という書類を機器の製造メーカーに用意してもらったり、自ら開発したロボットであれば自分のところで作成が必要になります。

この手続きの目的は下記の経産省のWebにある通り、輸出入の管理をすることで、武器の製造や原料などをテロ組織などに渡さないという制度で、いわゆる非共産圏側から旧共産圏に対してのCOCOM制度(1994年廃止)が元のようですが、最近はテロ組織に行かないことを目的としているようです。

基本的には、研究開発用ロボットの場合、海外に運んだら持って帰ってくることが通常だと思うので本来であれば関係ないのですが、ロボットは軍事兵器に直結の技術なので、海外へ持ち出しの際には確認が必須です。

制度は分かりづらいので、担当する部局や部署があればその担当者に確認するのが一番です。

担当者がいなければ経産省に電話するのが一番早いです。(年度末とか繁忙期じゃなければ丁寧に対応してくれるハズ!)

  • 以下、経産省のWebより
  • 「我が国をはじめとする主要国では、武器や軍事転用可能な貨物・技術が、我が国及び国際社会の安全性を脅かす国家やテロリスト等、懸念活動を行うおそれのある者に渡ることを防ぐため、先進国を中心とした国際的な枠組み(国際輸出管理レジーム)を作り、国際社会と協調して輸出等の管理を行っています。 我が国においては、この安全保障の観点に立った貿易管理の取組を、外国為替及び外国貿易法に基づき実施しています。」
  • 経済産業省 安全保障貿易審査課
  • ロボットで該当しそうな機器
    • 該非判定書は、機器の製造メーカーが作成、発行してくれます。
      • 輸入品の場合には代理店経由での依頼になるのですが、へんなところから買った機器だと担当者が、該非判定を理解してなくて時間がかかることがあります。
    • 該非判定書で「該当(非該当じゃない)」の項目がある場合には、経産省にあらかじめ申請や相談が必要です。
      • メーカーに作成依頼をしたら遅くとも1週間以内には発行してくれると思います。
      • 経産省への「相談」は早ければ早いほど良いです。
    • ロボット本体は、「該非判定書」の作成・発行がほぼ必要です。
      • 基本的には「ロボット一式」で該当の有無を確認すればいいのですが、非該当であることをデバイスごとに確認が必要です。
      • 研究室で開発・組立したロボットなら、研究室で該非判定書の作成が必要です(これがけっこう面倒)。
    • ロボット用の高性能センサ類は該当が多いです
      • 熱赤外線センサ: 確実に該当
      • ジャイロセンサ : 一定の条件で該当
      • 自律走行技術 : 一定の条件で該当
      • 安定化電源 : ロボット用であれば該当はしないと思いますが、メーカーに書類発行してもらった方がいいです
  • 最近は該当しないもの
    • パソコン(計算機):以前はWindowsに標準で搭載された「暗号化技術」が該当していたため該当してましたが、周知の技術になったので最近は該当しないはずです。
  • 該非判定書を自ら発行する場合(大学で自作したロボットなど)
    • 参考のテンプレート(エクセル)
      • 上記のテンプレートはいくつかのロボットのデータ(シート)を合わせているので、不要なシートもあるかもしれません。
        • また、不足のデータもあると思うので、必ず作成に慣れた人か経産省に確認をしてください。
        • さらに、テンプレート内に記載された項目情報が更新されるので、作成の際には経産省のWebページを確認してください。

バッテリを輸送する

  • バッテリの輸送はいろいろ規制などがあったりするので注意が必要です。
  • 正しく手順を踏まないと、機内持ち込みの際に「没収」されたり、「バッテリだけ空輸されない」なんてことも有りえます。
  • 業者に輸送委託するなら、正しく伝えれば適切に処理してくれるハズです。
    • (たまに海外輸送に不慣れな担当に当たることもあるので、注意は必要ですが・・・)
  • リチウムイオンバッテリの機内持ち込みの容量制限

輸出入のスケジュール

  • 2か月ぐらい前から準備をした方が安心です。
  • 遅くとも2週間前準備をしないと間に合わないです。
  • 準備が直前になるほど「輸送コスト」に跳ね返ります。

輸出入に必要手続き・書類

  • ATAカルネ
  • 咳非判定書(パラメータシート)
    • 上記参照
  • Material Safety Data Sheet (MSDS)
    • バッテリなどの危険物を輸送する際に、内容物(原材料)を証明するメーカーが作成する書類です。
      • 見本(PDF)

輸送業者の選定

  • 日系 輸送会社
    • お金が潤沢にあるなら、日本通運の「美術品扱い」でお願いするのが一番ラクで安心です。
      • (たぶん値段が一番高い)
  • 外資系 輸送会社
    • けっこう雑な会社もある

輸送手段とコスト

  • 航空会社への預け荷物(ハンドキャリー)
    • 預け荷物の重量制限について
    • 預け荷物の超過荷物料金について
    • 機内持ち込みについて
  • 海外:空輸(Air)
  • 海外:船便(Ship)
  • トラック輸送について(国内・海外)
    1. 国内:エアーサスペンション車両(エアサス)
    2. 国内:チャーター
      • 荷物の積み替えなし便
      • 何も言わないと、通常の宅急便のようにどこかの集荷センターなどでトラックを積み替えることがあります。
        • ただ、この積み替えの際にトラブルが起きる可能性があります。
        • 「積み残し」「落下による破損」「雨にぬれる」などなど・・・
      • 一つの工程を1台のトラックで輸送した方がトラブル(リスク)を減らせます。
    3. 国内:JIT-BOX
    4. 国内:宅配便(重量物) 「ヤマト便」「アロー便」
    5. 国内:通常の宅配便
      • ヤマト運輸なら「宅急便」など
        • 何も考えなければヤマトさんの宅急便が便利です。
        • ただし、通常の破損時の
    • 国内輸送のフルコースは「日通さんなどの美術品扱いチームに、エアサス車、チャーター便」だと思います。
      • これはチョー高いと思います
      • ただ、普通のロボットはエアサス・チャーター便だけでも十分です。
        • (そもそも輸送に耐えれないロボットは使いもになりませんから)
      • でも、エアサス車(エアーサスペンションのトラック)ぐらいは有ると安心です。高額な機械は普通エアサス車で輸送します。
      • 海外はエアサス車がないことも多くて、指定してもエアサス車じゃなかったことも何度かあった

保険

輸送するロボット(「動産」という資産)に対しての保険

  • 荷物(ロボット)の盗難や、輸送中の事故による破損などの不慮の事故に対応した備えとして、保険をかけた方がいいです。
    • 個人でよく加入する海外旅行保険でも「携帯品保険」というのがありますが、通常の保険は保証金額は10~100万円程度なので金銭的な補償には不足します。
    • また、一般的な旅行保険のカバー範囲は「個人の荷物のみ」というのがほとんどみたいで、大学や会社のロボットは個人の旅行保険はカバー外なので注意が必要です。
  • 保険を依頼する会社は、大学や会社に”出入りの保険代理店”などに相談すれば手配してくれると思います。
  • 保険金額
    • 保険に加入する団体(会社や大学)、荷物や渡航先国により保険金額は変動するようです
    • 保険金額例:
      • 行く先:東南アジア 1カ国
      • 期間 :約1週間
      • 対象 : 研究用ロボットなど一式
      • 保険対象 :500万円
      • 保険掛率: 0.465% (海上危険、戦争・ストライキ危険)
      • 保険金額: 23,250円

その他

  • こうならないため努力をする
  • あると便利な書類、資料(出張する全員が携帯)
    • 英語の物品一覧(リスト)、写真を印刷したファイル(紙)
    • カルネのコピー
    • 渡航先(主催者)の招待状(Invitation)
    • 所属長の名刺の(拡大)コピーと、サイン(英語)
      • 教授、学長、部長、社長などの一筆(お守り程度ですが)
  • あると便利な書類、資料(スーツケースなどの荷物の中)
    • 英語の物品一覧(リスト)、写真
    • カルネのコピー
    • 渡航先(主催者)の招待状(Invitation)
    • 渡航先(イベントや競技会など)のWebページなど
    • スーツケースの中に何が入ってるかが分かる説明書類(英語)など