背景
2010年作成. マイクロアレイの論文→PubMed. NCBI GEOにも登録済み。
脊索動物門の尾索動物である、カタユウレイボヤは、2002年という非常に早い段階でドラフトゲノムが発表され(Dehal et al. 2002)、研究コミュニティも活発で、リソースや技術の開発が盛んでした。これまでに何度かホヤのマイクロアレイは開発されてきましたが、2008年に新しい遺伝子モデル(注1, 下記参照) であるKyotoHoya(KH)モデル (Satou et al. 2008)が発表されたため、それに基づいたマイクロアレイを設計しました。設計に関係するデータ(プローブ配列、アノテーション情報等)は、全て、オープンソースとして論文上で公開しているため、誰でも自由に解析に用いることが出来ます。
注1) 遺伝子モデル (gene model /transcript model)とは、ゲノム中における、coding 領域のセットのこと。また、(de novo等で)遺伝子領域を予測することを、遺伝子モデル予測、などと言う。しばしば、ヒトの研究者から、遺伝子モデルって何ですか、という質問を受けます。
遺伝子モデルは、KHモデル2008を使用しました。
設計したアレイと解析に使ったデータは、NCBI Gene Expression Omnibus(GEO)にも登録してあります。GEOというのは、マイクロアレイや次世代シーケンサーを使った網羅的な発現データのデータベースで、自分が研究に用いたデータを登録することが出来、そのデータを使った論文のPubMed IDと紐付けることが可能です。
のチップに対して、ホヤの
神経複合体 (neural complex)
卵巣 (ovary)
における発現データが含まれています。GPLはアレイそのもののIDで、GSEが発現解析のデータのIDです。
神経複合体というのは、ホヤにおける中枢神経系のことです(ホヤには、脊椎動物の"脳"がありません)。また、ホヤは雌雄同体のため、卵巣の隣に精巣が接着しています。