随時加筆します (Last Update. 2022.02.07)
『文化進化論 ダーウィン進化論は文化を説明できるか』
アレックス・メスーディ(著)野中香方子(訳)、竹澤正哲(解説), 2016. NTT出版
https://www.nttpub.co.jp/search/books/detail/100002371
文化進化について網羅的に学ぼうと思った時に、紹介されている文献が豊富で教科書として使うことが可能な本。著者のAlex Mesoudiは文化進化研究の第一人者で、解説の北大・竹澤先生は心理学方面からの文化進化研究の第一人者。原著が2011なので紹介されている研究は古くなるが、文化進化で問われる基本的な課題は変わっていないので全体像を捉えるのに最適。
http://www.utp.or.jp/book/b555761.html
日本で自然人類学を学部レベルで体系的に学べるのは東大・京大しかない。その東大や京大の研究者を中心に執筆した自然人類学の日本語の新しい教科書。洋書の教科書と異なり分厚くないので、トピックス的に読んで、関心がある内容を個別に学んでいくのが良い。
https://www.nikkei-science.com/sci_book/bessatu/51242.html
タイトル通り、動物とヒトの間には言語や行動にどういう違いがあるのか、文化や言語の起源に関するトピックスをカバー。国際的に著名な研究者らが執筆している。
Mark Stoneking, 2016. Wiley-Blackwell.
https://www.wiley.com/en-nl/An+Introduction+to+Molecular+Anthropology-p-9781118061626
人類集団遺伝学の大御所であるMark Stonekigによる2016年に出版された教科書。この分野は進展が激しいので、多少内容は古くなっているものの、この本を超える人類集団遺伝学の教科書はないので、この分野を研究しようと思ったらまず読むべき教科書。平易な文章で書かれているので、この教科書で基礎概念を理解し、以降の論文を読むと、何が重要な研究テーマになっているか地続きで良くわかるだろう。文化進化に関連があるのは特に以下の章である。
16章 "Dispersal and Migration"→ヒトの移住史をどのように検出するかについて。考古学や古代DNAとの関連の他、言語の多様性も少し出てくるので、19章とセットで読んでおくと良い。
17章 "Species-Wide Selection" →ヒトと霊長類の種間での自然選択について。文化進化には直接関連しないかもしれないが、FOXP2などの話題が出てくるので、その方法論的な背景を知りたければ読んでおくとよいだろう。
18章 "Local Selection" →ヒト集団内での自然選択について。自然選択の検出法(方法論)がメインだが、実際に自然選択として検出された例として乳糖耐性などが出てくるので、関心がある人は読んでおいてもよいだろう。
19章 "Genes and Culture" →この本で文化関連はこの章がメイン。母系・父系社会と遺伝マーカー、言語と民族集団の歴史の関係、農耕との関連:farming-language dispersal hypothesis、ノミの系統とヒトの衣服文化の起源などなど。
2019年に早稲田大で行った講演会の記録(PDFあり)。手前味噌だが、文系・理系といった枠組みを超えて行ったパネルディスカッションの内容は、生物学系で文化進化の研究をしたい場合の実務的な課題が議論されていると思うので一読をお勧めする。参加者のブログの記事もよくまとまっている。
http://www.tamagawa-up.jp/book/b482023.html
タイトル通り、ことばや心に関する研究にどんなものがあるかを分かりやすく図解で示した大型本。
https://www.hituzi.co.jp/hituzibooks/ISBN978-4-8234-1108-3.htm
言語は身近にも関わらず、言語学について学ぶ機会がない。言語学オリンピックが日本でも開催されるようになった今、この本を読んで、ことばをテーマにした自由研究を行う子どもがクラスに一人でもいたら楽しそうだと思った。
エラ・フランシス・サンダース著、前田まゆみ訳、創元社
https://www.sogensha.co.jp/special/honyaku/
上記の自由研究本とセットで読んでみたい。大人から子供まで楽しめるだろう。とても素敵。