日本法史

古事類苑全文データベース/検索システム : 明治政府の一大プロジェクトとして明治12年(1879)に編纂がはじまり、明治29年(1896)から大正3年(1914)にかけて出版された、本文1,000巻、和装本で350冊、洋装本で51冊、総ページ数は67,000ページ以上、見出し数は40,354項目におよぶ大百科事典。ここには、前近代の文化概念について、明治以前のあらゆる文献からの引用が掲載されており、日本文化を理解するうえでたいへん有用な事典である。このデータベースでは、現在約3,200ページ分の全文テキストデータを公開している。

 

 

[古代]

 

十七条憲法(聖徳太子) : 604年に制定された十七条憲法を原文・訳文ともに読むことができます。

日本古代史料本文データ : 律、令、延喜式、古事記、続日本紀、六国史全文、万葉集、風土記、東大寺要録のテキストをダウンロード公開。

六国史(日本書紀,続日本紀,日本後紀,続日本後紀,日本文徳天皇実録,日本三代実録)星野聰氏および水野柳太郎氏により作成・公開された電子データをXML化して表示・検索を可能にしたもの。たいへん便利です。なお、元データにおいて、巻によって新旧漢字を併用しているので、検索において注意が必要です。また、文字の欠落がありますので、引用に際しては原典との比較対象が不可欠です。

東京大学史料編纂所データベース SHIPS for インターネット検索ページ : 古記録フルテキストDB、古文書フルテキストDB、奈良時代古文書フルテキストDB、平安遺文フルテキストDB、鎌倉遺文フルテキストDBが利用できます。たとえば、 鎌倉遺文フルテキストDBで「御成敗式目」のキーワードで検索をかけてみると、式目、式目追加などの記事が11件ヒット。

 

1005年の閣議録左大臣藤原道長が議長をつとめた1005年陣定の議事録について吉川真司先生(京都大学総合博物館)が解説(画像もあり)。

 

[中世]

 

日本中世史アーカイブズ御成敗式目はいうまでもなく、式目追加(鎌倉幕府追加法)、建武式目二条河原落書など多くの中世文書を読むことができます。

御成敗式目 貞永式目 現代語訳全文 : 御成敗式目の現代語訳(玉川学園・多賀譲治先生訳)。なお、御成敗式目の国制史的意味については、佐藤進一『日本の中世国家』(岩波書店、1983年、2007年岩波現代文庫として復刊)を参照して下さい。

 

貴重書・コレクション画像データ(國學院大學図書館デジタルライブラリー) : 日本書紀、吾妻鏡、神皇正統記などが画像で読めます。 

 

今川仮名目録(現代語訳) : 「今川時代再発見」というHPの一部。

 

 

[近世]

 

細川家資料に見る近代法への歩み(PDF) : 1754年に熊本藩が編纂した「刑法草書」は、清律の強い影響を受け、いちはやく追放刑に代えて自由刑を採用したことで知られています(幕府法は幕末まで追放刑を存続)。こうした熊本藩の法典編纂について、熊本大学・山本至先生が展覧会用にわかりやすく解説しています。

 

大坂町触全文テキストデータベース : 大阪市立大学学術情報総合センターの提供。徳川幕府時代、寛永14年(1637年)から明治元年(1868年)の約230年間に大坂町奉行所から発布された御触及び口達10,708件の全文テキストデータベース。

 

近世大坂三郷・近郊古文書画像データベース  : 大阪市立大学学術情報総合センターの提供。

中国五県土地・租税資料文庫  デジタル郷土図書館(広島大学デジタルミュージアム) : 慶長から明治中期に至る間の中国五県の土地及び租税制度に関する資料のうち、広島県関係1,141冊(106,809コマ)を画像化。日本版「ドームズディ・ブック」!?

 

洋学(蘭学)コレクション : 早稲田大学のデータベース。日本におけるヨーロッパ法学継受を可能にした学問的基礎(の一つ)は洋学の歴史にあるといってよいでしょう。試しに、データベース中の堀達之助ほか『英和対訳袖珍辞書』(洋書調所、1862年)を見てみると、freely:自由ニ、平気ニ、惜マズニ、好ンテ、freeness:心ヲ打明ケルコト、自由ナルコト、liberal:オゴル、物惜シミセズ、心ヲ打明ケル、自由ナル、liberty:自由、掛リ合ノナキコトなどの項目に目がとまりました。

 

デジタル葵文庫(静岡県立中央図書館) : 同図書館は、江戸幕府が所蔵していた多くの貴重書を、特別コレクション「葵文庫」として収蔵しています。ここでは、慶応4年(1868年)8月、徳川氏が駿府に移封されたことによってもたらされた内外の貴重書がデジタルで紹介されています。たとえば、「辞書・辞典の系譜」などの記事は大いに参考になります。 

 

明治大学博物館刑事部門 : 昭和4年に設立された明治大学刑事博物館は、平成16年明治大学博物館刑事部門として生まれ変わった。館内では、「日本の罪と罰」、「江戸の捕者」、「牢問と裁き」、「さまざまな刑事博物」を常設展示。デジタル資料の注目は、2009年7月23日から全図像公開された『徳川幕府刑事図譜』。一見の価値有り。

 

 

[近代]

 

〔法令〕

新律綱領(明治3年12月20日) : 明治新政府が最初に公布した刑法典。その名が示すように、律的な刑法典です。

改定律例(明治6年6月13日太政官第206号(布)) : 新律綱領と並んで施行されました。

旧刑法(明治13年7月17日太政官第36号布告) : 国立国会図書館近代デジタルライブラリーで全文(法令全書PDFファイル)を読むことができます。

 

日本法令索引[明治前期編] : 慶応3年10月大政奉還から明治19年2月公文式公布に至るまでに制定された法令の索引情報が検索できます。出典となる法令全書等の資料が近代デジタルライブラリーに収載されている場合は、リンクにより本文が参照できます。なお、利用にあたっては、以下をご参照ください。

日本法令索引〔明治前期編〕データベース利用のために (PDF file 2,749KB)

・日本法令索引〔明治前期編〕データベースの使い方

・〈解説〉明治太政官期法令の世界 (岩谷十郎)

 

日本法令索引 : 明治19年公文式施行以降の法令情報(現行法令、廃止法令、制定法令)、第1回国会(昭和22年)以降の法案情報(法律案、条約承認案件)を調べることができます。ただし、ここでは法令名、沿革を調べることができるだけです。明治期の法令全文を読みたいときは、別に近代デジタルライブラリーで「法令全書」を検索してください。

 

中野文庫(儀典と法律の総合ウェブページ) : 個人で開設されているホームページですが、たいへん充実しています。

 

帝国議会会議録検索システム : 戦前の帝国議会議事録を調べることができます。

国会会議録検索システム : こちらでは、第1回国会(昭和22年5月)からの国会会議録情報を検索することができます。

 

〔法律書〕

シモン・フィッセリング著/津田真道(真一郎)訳『泰西国法論』 : 初版は慶応2(1866)年。リンクしたのは明治8(1875)年刊の文部省蔵版第一巻。同書冒頭の「凡例」は、泰西法学要領として、 古代ローマ法からユスチニアヌス法典に至る歴史、法・法学概念の意義、法と道徳の違い、法学の三分類(慣習法主義、制定法主義、学識者法主義)、法学科目の分類(列国公法、国法、刑法、私法、通信礼式、有司法論、治罪法、詞訟法など)などを簡潔に説明しています。

 

箕作麟祥訳『仏蘭西法律書』第2~17冊(民法) : かの有名な箕作麟祥訳フランス民法、1871年に文部省(大学南校)から出版されました。

国立国会図書館:近代デジタルライブラリー : 新たに大正期の資料約7,200タイトル(約15,700冊)が追加公開された結果、現在、総数で約97,000タイトル(約143,000冊)の明治・大正期の貴重図書がデジタルで公開されています(2007年7月3日現在)。お陰で、我が家にいるだけで「図書館」の気分が味わえます。

 

〔公文書〕

国立公文書館デジタルアーカイブ : 国立公文書館が所蔵する公文書、内閣文庫(和書・漢書・洋書)の目録データベースの検索、デジタル画像の閲覧ができます。

アジア歴史資料センター : 国の機関が保管するアジア歴史資料を、データベース化して公開しています。

外務省外交史料館

国際日本文化研究センター・データベース : 私にとっては、とくに「民事判決原本データベース」が有用です(なお、事前の利用手続が必要)。

図録 米欧回覧実記 : 1878(明治11)年刊行の久米邦武編『特命全権大使米欧回覧実記』に掲載された図版ならびに図版に関連する本文記事を収録。こちらも国際日本文化研究セーターのホームページ上で閲覧できる。

 

 

 

〔国立国会図書館〕

・「日本国憲法の誕生 : 日本国憲法の制定過程に関する概説と貴重な資料を展示・解説。

・「史料にみる日本の近代 開国から講和まで100年の軌跡」 : 憲政資料室所管の代表的な史料を中心に紹介(画像、テキストとも)。史料や各史料の時代背景に関連する写真・図版等もあわせて展示しています。たいへん充実した内容で、これだけでも授業ができます。

・「憲政資料」 : 国立国会図書館憲政資料室所蔵の憲政資料から、代表的なもの(井上馨関係文書、桂太郎関係文書、憲政史編纂会収集文書、三条家文書、牧野伸顕関係文書(書翰の部)、陸奥宗光関係文書)を目録などを見ることができます。

・「近代日本の肖像;法律家: 小疇伝、児島惟謙、鈴木喜三郎、寺島直、名村泰蔵、原田真義、星亨、穂積八束、曲木如長という9人の法律家の肖像・経歴・著作等を見ることができます。ただ、人物の選択に若干の「?」がつきますが。

・国立国会図書館調査資料「新編 靖国神社問題資料集」(平成19年) : 国立国会図書館の調査及び立法考査局は、昭和51年、『靖国神社問題資料集』を刊行した。本書は、その後の経緯を踏まえ、その内容を一新し、刊行したものである。その特色の第一は、明治維新以降の近現代にわたる、靖国神社問題に関するいわば「一次史料」を多数収録したことである。これには、靖国神社所蔵資料、占領期の米国側資料、国の関係機関所蔵資料等が含まれている。第二は、国会における靖国神社関係の会議録を網羅的に検索し、その主要な議事の該当部分を相当数採録したことである。また、質問主意書・答弁書及び政府見解のすべて、関係裁判の主要判決等も収録した。そして第三に、「紙版」と「電子版」の併用を考慮し、利用の便宜のための編集上の工夫を加えたことである。(「はしがき」より引用)

 

 

Okuma Shigenobu Collection(早稲田大学図書館所蔵大隈重信関係資料)[3337] : 早稲田大学が所蔵する大隈重信関係資料3337点がデジタル画像で読めます。法制関係資料も多く含まれており、なかなか貴重なものです。

 

森戸辰男関係史料(広島大学デジタルミュージアム) : 広島大学初代学長・元文部大臣森戸辰男氏の個人の履歴にともない収集・所蔵された書籍・公文書・私文書ほか膨大な歴史資料群のうち、とくに教育刷新委員会、中央教育審議会関係資料や書籍目録が公開されています。 

 

青年団報デジタルアーカイブズ(敦賀短期大学) : 作成者・多仁照廣氏(同大学教授)。戦前、(財)日本青年館・調査研究室が収集した地方青年団の機関誌類をウェブ上で画像公開しています。直接法制史に関係するわけではありませんが(もちろん無関係というわけでもありません)、たいへん貴重なものなので、紹介しておきます。

 

 中京大学社会科学研究所台湾史研究センター : 同センターは、①台湾史の研究とその成果の公開、②台湾総督府文書の史料学的研究、③台湾総督府文書目録の編纂と刊行、④台湾総督府文書目録検索データベースの構築と提供、⑤台湾史に関する共同研究の推進、台湾史に関する研究者の育成と研究支援を活動の軸とする。宇井隆氏(台湾総督府文献目録編纂員)の作成になる「台湾史関係文献目録(編年)」など有用な情報を閲覧することができる。