無線通信
引用資料:
P-806 Flight Training Instruction, Voice Communications SNFO
F-16 COMBAT AIRCRAFT FUNDAMENTALS
参考資料:
無線通信アプリケーション
DCS World および Falcon BMS には
それぞれ実機の無線通信を再現する外部アプリケーションが存在します。
DCS Simple Radio Standalone
SRS は DCS World ゲーム内の各機体が持つ無線機をプレイヤー間での音声通信に使用できるよう拡張するサードパーティ製アプリケーションです。
SRS導入方法
GitHubから最新版のSRSをダウンロードします。
https://github.com/ciribob/DCS-SimpleRadioStandalone/releases/latest
ダウンロードしたzipを解凍したフォルダ内に存在するinstaller.exeを実行します。
インストールウィザードが起動したらDCSのインストールディレクトリと「保存したゲーム」フォルダを指定します。あとは画面の指示に従ってウィザードを実行すればインストール完了です。
SRSクライアントの接続と設定
ショートカットからSRSクライアントを起動します。
Microphoneから録音機器を、Speakersから再生機器を選択します。
Server IP に 接続するサーバーのIPアドレスを入力します。正しく入力できたことを確認したら connect ボタンを押してください(よく接続するサーバーはプリセットに保存すると良いでしょう)。
Controls タブから Radio1 Radio2 必要な場合は Radio3 Radio4 Intercom などの割り当てを行います。各項目のsetボタンをクリックした後、割り当てたいジョイスティクのボタンを押してください。複数のボタン同時押しとして割り当てたい場合は、Radio <n> Modifier に同時押しボタンを設定します(Modifierボタンを押しながらRadio <n>に割り当てたボタンを押すことで、Radio <n>を使用します)。
Settings タブに移って Radio Switch works as PTT を ON にしてください(これはお好みで構いません)。このオプションを有効化することで、各 Radio <n> に割り当てたスイッチを押している間だけ、その無線機で通信するという実機通りの仕様になります。
サーバー立ち上げ
SRSサーバー立ち上げの際は、ポート5002-5003あるいは任意の連続した二つのポートを解放しておいてください。
サーバーが5002-5003以外のポートを解放した場合、クライアントはポート番号の最初の方の番号を指定しなければいけません。
例: サーバーがポート1002-1003を解放 クライアントは<サーバーIP>:1002に接続
FalconBMS IVC
FalconBMSのIVCの使い方についてはこちらで解説します。
無線の読み上げ方
コールサイン
最初のコンタクトではステーションのフルネームを使いましょう
例:
“SHERMAN CLEARANCE"
“RANDOLPH GROUND”
“ATLANTA CENTER”
機体のコールサイン
コールサインの各番号を読み上げましょう。
例:
KATT 604 “KATT SIX ZERO FOUR”
時間
FAAはUTC(協定世界時)すなわち"Zulu"を全ての場合に使います。
無線で現地時間を使用する場合は"local"と読み上げることで現地時間を示していることをはっきりさせてください。
誤解が発生しなさそうであれば、時間は分数のみを二つの数字で読み上げます。
数字の読み上げ方
数字
9999までの数字は次のように読み上げます。
例:
500 “FIVE HUNDRED”
4500 “FOUR THOUSAND FIVE HUNDRED”
9999を超える数字は"thousand"という言葉でデジットを区切ります。
例:
10,000 “ONE ZERO THOUSAND”
13,400 “ONE THREE THOUSAND FOUR HUNDRED”
その他の数字は各デジットを読み上げます。
例:
10 “ONE ZERO”
無線周波数
無線周波数は小数点を"decimal"あるいは"point"と読み上げます。
例:
322.1 “THREE TWO TWO DECIMAL ONE”
135.27 “ONE THREE FIVE POINT TWO SEVEN”
高度計規制値
高度計規制値の設定の際は小数点を読み上げません。
例:
29.92 “TWO NINER NINER TWO”
高度とフライトレベル
最初に通信するさい、"level", "climbing to"あるいは"descending to"という言葉に続けて機体の高度をコントローラに伝えます。米国においては、標準的な高度の単位はフィートです。ですから単位まで読み上げる必要はありません。
MSL18,000フィート未満の高度においては、千の桁の数字を読み上げ、その後百の桁の数字を付け足します。つまり高度は100フィート単位で読み上げられます。
例:
12,000 “ONE TWO THOUSAND”
MSL18,000フィート以上では、"flight level"と読み上げるのに続けて、フライトレベルの数字を読み上げます。
例:
19,000 “FLIGHT LEVEL ONE NINER ZERO”
19,700 “FLIGHT LEVEL ONE NINER SEVEN”
特定の高度を明け渡す際には、そうするよう指示されない限り到達高度を読み上げる必要はありません。
例:
DEPARTURE: “BUCK 311, climb and maintain flight level two one zero.”
SNFO “BUCK 311, leaving flight level one eight zero for flight level two one zero.”
方位
3桁の番号で機首磁方位あるいは風向を読み上げます。
例:
(magnetic course) 005 “ZERO ZERO FIVE”
(wind directions) 360 “THREE SIX ZERO”
機速
各番号を読み上げた後に単位を読み上げます。指示されない限り、無線通信の際に使う速度は指示対気速度(IAS)をノットあるいはマッハナンバーで読み上げます。
例:
250 “TWO FIVE ZERO KNOTS”
通信の基礎
読み上げの順番
無線通信は自分のコールサイン、(誰かに呼びかけるのであれば)相手のコールサイン、言えたい情報あるいは指示・リクエストの順で読み上げます。
例:
"SENTRY 11, VIPER 21, REQUEST PICTURE"
バイパー21より、セントリー11へ、状況を教えてください
"VIPER 21, SENTRY 11, NEAREST HOSTILE BULLSEYE 320 40 MILES"
セントリー11より、バイパー21へ、敵影はブルズアイより方位320, 40マイルの距離
無線機の切り替え
現代の軍用機は大抵二つの無線レシーバ/トランスミッタを搭載しています。ですからどちらの無線機を使用するのかクルー間で認識を明確にしなければいけません。
使用する無線機はミッションの最中、例えばUHFからVHFへ、あるいはその逆に入れ替わります。このような切り替えを行うとき、必ずクルーに知らせてください。
例:
“Sir/Ma’am, Victor (or VHF) is primary.”
"Uniform (or UHF) is primary."
どちらの無線機を使用している場合でも必ずUHF/VHF両方のガードチャンネルが聞こえるようにしておいてください。
ガードチャンネル(国際緊急周波数)
VHF 121.5 MHz および UHF 243.0 MHz は国際緊急周波数として使用されます。
大抵の無線機には自分の設定した任意の周波数とガードチャンネルを同時に受信するモードが容易されていますので、そちらに設定しましょう。
編隊内での無線通信
無線の統制と目視信号
編隊飛行の統制は無線あるいは目視可能な通信方法から始まります。すべての指示がフライトメンバー全員によって理解されていなければいけません。無線は明瞭かつ簡潔であるだけではなく、無駄な通信を制限する必要もあります。無線における呼びかけはコールサインから始まらなければいけません。これはメッセージの送り先に注意を払わせ、誰に向けて通信がなされているのかを特定します。
タクティカルコールサイン・個人のコールサインの使用、声質やトーン・抑揚でだれがしゃべっているのかを判別することは容認されません。了承の返事は、フライトリーダーからの通信のすぐ後に、フライトナンバー(2,3,4など)と適切な返事によって行われます。
指示のはじめの無線や、遅れての返答の場合は、フルコールサインを述べてください。演習あるいは実際の戦闘でたくさんの機体や人々の間で通信が行われるようなとき、割り当てられたコールサインを適切に使い、MCM 3-1 Volume 1 に従ったブレビティを使用することでフライト間およびフライト内のシチュエーショナル・アウェアネス(SA)が拡張されます。適切でない無線通信はSAは下げ、悲惨な結末を必ずもたらします。
無線(UHF,VHF あるいは FM)の使用を必要なときだけに制限してください。いつでもそうすることが有効なときには AFI 11-205 に従ってビジュアルシグナル(手と体をつかった信号)を使いましょう。フライトリーダーが飛行前に特別な信号を支持していない限り、スタンダードなシグナルのみを使ってください。
例:
Leader "Viper 21, group, 210º, 25 miles, 30,000', head."
バイパー2-1よりバイパーフライト各機へ、方位210、距離25マイル、高度30,000フィートにグループの機影あり。
Two "Two same"
2番機は同じ反応を確認しました。
Three "Three, stand by ... Viper 23 same"
3番機です、すこしまってください……バイパー2-3は同じ反応を確認しました。
オプスチェックはフライトリーダーによって開始され、現在の燃料の状況、燃料流入量、エンジンおよび生命維持装置の状況を確認します。たとえリーダーに指示されなくてもパイロットは定期的にこれらを確認する責任があります。
例:
Leader "Viper 21, Ops Check, One is 7.2"
バイパー2-1よりバイパーフライト各機へ、オプスチェック開始、1番機は残燃料 7,200ポンド
Two "Two, 7.1"
2番機は残燃料 7,100ポンド
Three "Three, 7.0"
3番機は残燃料 7,000ポンド
戦闘時の無線通信
敵味方識別
目標を単一目標追跡:Single Target Tracking(STT)モードにてレーダーロックし、目標機のレーダー警報受信機(RWR)にレーダーロックを知らせたのち、目標のブルズアイ位置と高度を確認し、次のようにコールします。
例:
"RAYGUN RAYGUN, BULLSEYE 090 15mile 15000"
"RAYGUN"コールが敵味方識別のためSTTロック中であることを示しています。
このタイミングでSTTロックを受け、無線を確認した機体は、自機がSTTロックされたことを"BUDDY SPIKE"という読み上げで示し、自機のブルズアイ及び高度を伝えます。
例:
"VIPER32, BUDDY SPIKE, BULLSEYE 090 15mile 15000"
ドッグファイト中でブルズアイが確認できない場合は高度のみを伝えてもよいでしょう。
IFFのみによって敵味方識別を行うことはありません。IFFは主に味方が優勢な空域でのみ使用し、前線を超えて飛行する際にOFFにします。AWACS/GCIへの確認、事前の各パッケージの飛行計画、ROE、NCTR、前述したRAYGUNコール、状況など様々な要素を合わせて敵味方識別は行われます。
敵からのレーダー補足
航空脅威からのレーダー補足にはNails/Spikeコールを、地上脅威からのレーダー補足にはDirt/Mudコールを用います。Nails/Dirtは脅威にレーダー捜索モードで補足されていることを、Spike/Mudは脅威にレーダー追尾モードで補足されていることを意味します。ミサイルを地上脅威から発射された場合にはSingerとコールします。
RWRを確認し、自機のコールサイン、補足された脅威の種類と方位を編隊内に共有します。
例:
"Viper21, Dirt (あるいは Mud), SA-2, 3 o'clock"
"Enfield11, Nails (あるいは Spike), 29 (MiG29の意味), 12 o'clock"
通信を受けたフライト内のメンバーは同じ反応を自分も得ている場合は”Same”と返します。
例:
"Two, Same"
「2番機は同じ反応を確認した」
RWRに反応がない場合、"Naked"というブレビティを使います。
武装の発射を知らせる
武装の発射を知らせたい場合、武装の種類に応じてブレビティによる勧告を行います。
FOX 1 AIM-7などのセミレーダーアクティブミサイルを発射
FOX 2 AIM-9などのIRミサイルを発射
FOX 3 (Medium/Close) AIM-120などのアクティブレーダーミサイルを発射
およびその発射距離
PITBULL 発射したアクティブレーダーミサイルのシーカーが起動
GUNS GUNS GUNS 機関砲を発射
MAGNUM AGM-88などの対レーダーミサイルを発射
RIFLE AGM-65空対地ミサイルを発射
PAVEWAY PAVEWAYシリーズの爆弾を発射
WINCHESTER 機関砲以外の兵装を打ち尽くした
例:
"Mobius 1, FOX 3, Close"