マクヴェイン没後百周年記念シンポジウム
趣旨
・マクヴェインは、幕府灯明台掛技師としてイギリスから来日し、工部省発足とともに測量師長に就任し、日本の科学技術発展に大きな貢献をしたことは断片的には知られていた。しかし、幕末から明治10年頃まで政情不安定であり、この間の科学技術の状況を知る記録は大変限られていた。
・2008年にサルティア協会副会長のケリー・ロジャー氏と出会い、マクヴェインの子孫に多くの著名人がおり、彼らがマクヴェイン記録を保管していることを知った。子孫の三家族に会い、その一部を見せてもらったところ、マクヴェインの業績だけではなく、明治初期日本の科学技術の状況を解明できることを確信した。ケリー氏とともに、2011年がマクヴェイン没後100周年に当たることから、マクヴェイン研究に弾みをつけるためにマクヴェイン没後百周年記念シンポジウムを企画した。
・2012年2月に盛大にシンポジウムを開催する予定だったが、前年年3月に発生した東日本大震災により、規模を縮小して実施することにした。本来は、最も多くの機関及び個人から協賛を得て盛大に開催する予定であった。
開 催日時:2012年2月18日(土)、午後1時より
会 場:東京大学生産技術研究所、An棟401・402中セミナー室 東京都目黒区駒場東京大学構内
主 催:マクヴェイン没後百周年記念シンポジウム開催実行委員会
代表豊橋技術科学大学泉田英雄
後 援:犬吠埼ブラントン会、日本スコットランド協会、国際交流 基金、日本工学会
事務局:主)豊橋技術科学大学建築史研究室泉田英雄:副)東京大学生産技術研究所谷川竜一
プログラム
1) マクヴェインの生涯と家系--コリン・ヒューストン、マクヴェインの曾曾孫
2) スコットランドと日本の交流-------------------------北 政巳,創価大学教授、同大比較文化研究所所長
3) ペニキュのコーワン家とマクヴェイン-------------ケリー・ロジェー、サルティア協会副会長、元スコットランド都市計画学会会長
4) マクヴェインとお雇い外国人技術者----------------堀 勇良、元文化庁主任調査官、元横浜開港資料館主任研究員
5) お雇い外国人と郵便-------------------------------------松本純一、日本郵趣協会会長
6) マクヴィンと明治の近代測量事業-------------------箱岩英一、日本地図センター地図研究所第二部長
7) 工部大学校とマクヴェイン----------------------------角田真弓、東京大学技術専門職員
8) 燈台建設と東アジア地政学---------------------------谷川竜一、東京大学生産技術研究所助教
9) ジャーデン&マセソン社と日本の近代化---------水田 丞、広島大学工学部助教
10)マクヴェイン資料と近代日本------------------------泉田英雄、豊橋技術科学大学准教授
マクヴェインの貢献
(1)工部省最初の土木技術者として、山尾庸三のもとで工学寮、測量司、(営繕掛)を立ち上げ。
(2)工部省建築営繕技師として、官庁及び閣僚公邸の設計、工学校校舎の設計と施工監理、銀座煉瓦街の計画など
(3)工部省測量司と内務省地理寮において日本最初の近代測量事業を指揮。皇居周辺及び関八州大三角測量。
(4)1873年ウィーン万国博覧会日本館の展示を協力
(5) 日本に最初の公式気象観測所と地震観測器を設置。
(6)日本滞在中の記録を膨大に残した。
今後の予定
(1) 記録の解読により、マクヴェインの明治初期日本の科学技術に対する貢献を具体的に明らかにしていく。
(2) 東京を中心にした御雇外国人の生活とマクヴェインが見た日本を整理する。
(3) 以上の新知見を学術論文及び一般向け図書として出版する。
※McVeanはマクウイーン、マクヴィン、マクビンなどと邦訳されていますが、複数の遺族から発音を確認したところ、マクヴェインに統一することにしました。また、彼の子孫に文筆家がおり、その邦訳名もマクヴェインとなっています。ジェームス・ マクヴェイン『血の臭跡』。