2005年5月、某社の中国工場における生産管理システムの調査と技術支援のために、中国・江蘇省の鎮江(Zhen-jiang)に業務出張した。
鎮江は江蘇省西南部、長江(揚子江)下流南岸に位置し、長江と大運河と交差する地点にある。かっては京口、丹徒などと呼ばれ、三国時代には呉の孫権が一時、都を置いた。
鎮江は日本でも人気のある香酢(こうず)の生産地としても有名である。
私たちは上海空港から、会社からの迎えの車で高速道路を突っ走り、4時間位で鎮江に入った。
高速道路は非常に広く、スピードが出せる。しかし北京オリンピックの影響なのか至るところで工事をしていた。バスはみんな、後部にあるエンジンルールの扉を開けて走っている。オーバーヒート防止だそうだ。そういえば、オーバーヒートして白い煙を吐いて路肩に止まっているバスを何回か見掛けた。
車は途中々々でドライブインに立ち寄りながら延々と続く広々とした田園地帯、工場地帯の中を進む。鎮江に近づくと小高い丘や森林などがあって少し起伏が出てきた。市内を走ってやっとホテルに着いた。ホテルは鎮江市中心部にある「鎮江国際飯店」で、グレードの高いホテルだそうだ。
鎮江は経済特区のようになっており、世界中の企業が集まっている。
私たちは毎日、朝は会社の車、帰りはタクシーで、市内のホテルと郊外の工業団地の一角にある工場を往復した。
朝の市内は通勤の自動車と自転車で混雑している。市内の通りは広く、中央分離帯には枝を一杯に張った大きな樹木がずうっと植えられている。工業団地に入ると突然、建物と道路だけの殺伐とした風景に代わる。道路は真っ直ぐで広く飛行機が降りられそうだ。
工場はゆったりとした敷地に建っている。まだ新しいので、建屋も設備もぴかぴかである。日本の古い工場を見ることの多い筆者にとっては清清しく感じられる。生産はなんとか軌道に乗ったが、生産管理と経理の仕組みがまだ定着しておらず、今、懸命に立ち上げを図っている。
滞在数日して少しホテル生活に慣れてきたので、スーパーに買出しにいったりしてホテルの周りを歩いてみた。道路には中国らしく「解放路」という名前がついていた。市内の道路は自動車と自転車で込み合っており活気がある。市内は古い建物と新しいビルが渾然としている。水路が縦横に走っており、水の都とも呼ばれているらしい。
ホテルの窓から下を見ると、道路を挟んで目の前に広場がある。早朝にはこの広場に大勢の人が集まって太極拳をしている。
この広場右横のビル2階に「新島珈琲」というレストランがある。店名に何か郷愁を感じる。私たちは日本食も置いてあるこのレストランでよく夕食をした。私はせっかく中国に来たので中国料理を中心に食べたが、同僚の中には、日本食が忘れられずに、”かつ丼”などを食べる人もいる。私はこのレストランで”香酢”の味を憶えた。テーブルには必ず”香酢”が置いてあり、日本人が何にでも醤油を使うのと同じように”香酢”を使うのである。
ある日、食事が終わって外に出ると人だかりがしていた。家族であろう、小学生位の子供を含む数人の大道の曲技団が曲芸を披露していた。
現地に不案内で、ホテル生活をしている私たちは、日々、こんな生活の繰り返しであった。仕事も大変で、遠くまで観光に行く余裕は無かった。今度は仕事抜きでゆっくりと行ってみたいものだ。
さらに遠望すると、遠くに長江(揚子江)が見える。この町をゆっくりと見学してみたいと思ったが、今回の短い出張では無理であった。また機会があったら訪れてみたいものである。
中国への初めての業務出張であったが、中国の広大さと活気を感じて、日本に帰国した。