おもしろがり大人
筑波大学 生物学類 昭和63年(1988年)卒業 樫山誠司
内藤豊先生を表現するに、おもしろがり力に満ち溢れることでは並ぶものがいない「おもしろがり大人(たい じん)」はいかがでしょうか。
なんに対しても好奇心を示して真剣に考え、何も考えずに口にしてしまった私の日常の疑問に、研究に全 然関係がなくても真剣に考えて先生の考えを述べられ、私はいつも恐縮しておりました。
卒業研究では私が就職するという事情もあってか自由にさせていただいた方だと思いますが、それでもいつも 勉強していないことを見透かされ、勉強しなさいと繰り返し仰り、本質に導いてくださる会話などで鍛えられ たことは今も大切な財産となっています。
おもしろがり力は、研究はもちろんのことあらゆることに如何なく発揮され、時に茶目っ気たっぷりに、周りを 惹きつける力になっていました。セミナー室に蝶の標本を並べお酒付きの蝶のご供養、まだ赤ん坊の私の息 子に授けてくださった人生訓、ミドルネームなど、思い出すことがいっぱいあります。
学類別に分かれての卒業証書授与式に、内藤先生が担任する学生のひとりが前夜の痛飲がたたり欠 席。何度か名前を呼ばれた時点で不在を見てとった内藤先生がさっと前に進み出て、学類長の前で気を 付け。二日酔い学生に代って卒業証書を受け取り、両手で恭しく掲げながら先生が座る前の席に戻る姿 は実にあっぱれな卒業生でした。
これからは、Nature の表紙を掲げながら順番にやってくる弟子たちを迎えていただけることと思います。私も 内藤先生に弟子にしていただけるよう、おもしろがり力を鍛えて参ります。「おもしろがり大人」の称号をお持 ちしたいと思いますが、「良いですね。でも、猿並みですね。」と言われそうです。
2020-06-28