極論か?メルトダウンするに任せた方が、放出量は少なかったのでは?

投稿日: Apr 20, 2011 4:42:58 AM

(元々softwareの方に4月13日に掲載した投稿です。)

今の放射能の拡散は、水をふんだんにかけて必死に冷却しようとしている事が裏目に出ている可能性もあります。大学で都合7年間原子力工学を学んだ「元専門家」として、少し疑問を投げかける資格はあるかと思い、以下を書き起こしました。

爆発させないことが条件ですが、逆の発想としてむしろ静かなメルトダウンに持っていければ、地中に大部分の炉心構成材を一回溶けた形にしても保持できる可能性があります。

崩壊熱はいずれ(数ヶ月〜1年で)収まりますので、その時点で格納容器下部が溶けずに残っていれば、そこで止まります。水を使わなければ、液体による放出はかなり抑えられるはずです。

実はこういう炉心溶融は原子炉設計での最悪のケースとして想定されています。つまり設計上は、代償は大きいですが、これでもある程度持ちこたえられるようにできています。

むしろ今の状態の方が事態が複雑で人間の対処能力を超えており、更にこの先再度誤った処置や、対応が間に合わない急速な変化が起こる可能性も否定できず、想定外の要素が大きいのではないでしょうか?想定外を想定内に戻すべきです。

今回は最外側の建屋が失われているところもあり、その点苦しいですが、今すでに相当量の放射能が外部へ流出し、歯止めをかけるめども立たないとすれば、思い切ってこうした逆転の発想も検討すべきです。

問題は気体放射性物質の放出です。今でもかなりの気体が圧力容器からリークして漏れて居るのではないかと思いますので、それよりもマシな放出量を目標とするならば、いくつか方法も考えられるのではないかと思います。

まず放水を止めて壊れた建屋の修復をします。班目先生が、「圧力容器は爆発しない」と菅総理に言ったのは、その通りだと思います。ビニールシートでもナノテク素材でもなんでもとにかく総動員して、とにかく外気に直接圧力容器がさらされるのを応急処置で止めましょう。東京ドーム程度の気密性ならば、なんとか今の技術でなると思います。耐熱性の高い素材を用意してもらいます。また、一部破れてもその上から同じ素材を覆って修復できる

構造が良いでしょう。最大限に気密を保ち、大きな循環器でフィルターを通して、放出を最低限にとどめます。

水をかけるのをやめ、むしろ逆に水を抜くことにすれば、中はガラス状に溶けた構成材が下に落ちていくだけです。要は爆発を起こさず静かな変化にしておけば、最悪でも溶けたものが原子炉の建屋が立っている地盤上にガラス状になってたまるだけで収まる可能性があります。

地震により基礎工事部分の健全性が損なわれており、地層に浸透するものが無いとは言いませんが、溶融した燃料は水ほど浸透性はよくないはずで、かなりの部分が地中に保持されるのではないでしょうか?同時に炉心周辺の地盤を水平方向に密閉する工事を緊急で行います。地下水脈はある程度考慮して立地していると思いますが、これを完全に遮断し周囲の地下100m程度まで非透水性の壁を地中に埋め込む事は、それほど困難な土木工事ではないと思います。安全な作業に必要な距離をはかりその距離で、大量の建機を投入すればいいでしょう。詳しくデータが無いのですが、海岸ですから、もしかすると海側への流出を抑制するように考えるだけで良いかもしれません。(短期間に全部を囲う必要は無い?)

こうすると、単に放射性物質の放出を食い止められるばかりではなく、東芝は10年、日立は30年と言っている廃炉と、更にもっとかかる地中処分までを同時に数年で行えると思います。

事後のコストも最低限で済むので、今の対応にもっともっと資材を投入する事が出来ます。溶融した構造物の最終的な地中の深さが足らなければ、地上部分に盛り土をします。いずれにしても福島第一事業所は今後何百年も立ち入り禁止区域でしょうから同じ事です。