所有から利用へ... 一つ有名な例を(Vélib')

投稿日: Apr 20, 2011 4:46:12 AM

「所有」をベースとした消費、産業構造から「利用」が主体となる経済システムへ。今ここに注目しています。

英語で"ownership"は「所有」ですがそれでは「利用」は?いろいろ候補はあります。ちょっと違和感がありますがあえて、"usership"と訳してみてはどうかと思っています。主体者はOwnerからUserへ。考え方はOwnershipからUsershipへ、o2uと変えてみましょう。では、具体的に?

私はよく、仕事でパリへ行きます。町中でよく目にするのが自転車に乗って、車の渋滞を尻目に颯爽と専用レーンを走り去る人たちですが、気がつくと、なんかみんな同じ灰色の自転車に乗っています。

実はこれは、Vélib'と呼ばれるパリ発の共同自転車利用システムです。いろんなところで事例研究されているので、知っている人も多いのではないかと思いますが、実はこれ、ICTの塊です。詳 しくは検索すれば多くの情報が得られますので、述べませんが、非接触ICカード、Kiosk端末、ネットワーク化された運用管理(自転車の地理的偏在解 消、満車空車時の利用者へのガイダンス)、料金収受(クレジットカード)など、ICTが無ければとてもこのコストでは実現できなかったサービスです。o2u という観点からこれを見ると、居住者はもとより、我々のような旅行者でも安いコストで自転車という環境に優しく自由な移動手段を手に入れることができる。 しかも市内にそれこそ「クラウド」の様に分布するステーションどこでも返却できますので、自ら自転車を「所有」するのに比べて格段の利便性向上も期待でき ます。o2u by ICTの典型的な事例だと行って差し支えないでしょう。

ちなみに日本でもこのパリのシステムをほぼそっくりそのまま輸入して、富山市でサービスが始まったそうです。

余 談ですが、当然自転車とシステムだけがあれば済むというほど甘くはなく、時には壊れた自転車を気づかずピックアップして、悲しい気分になることも多いで す。そのためこうして、定期的に「専用修繕車」(これも自転車)に乗った技術員が各ステーションを巡り、自転車を直して回っています。ノウハウとスキルが 必要な部分を集中化することで、所有から離れて利用に徹することができるという訳です。

もちろん私も毎回行くたびに利用しております。(写真:村田初穂さん)

ここまで書いた後、別の稿も書いていますが、中国杭州でもパリのシステムを使ったサービスを発見しました。

自転車自体とキオスクの形は少し違いますが、機能は同じだと思います。自転車を係留するドックの部分は、ほぼパリと同じ形をしています。残念ながら時間がなく実際に試してみる事が出来ませんでした。(下の写真左)

というか、もういちいち報告するのも大変なほど世界中各地に普及しています。

上の写真右はロンドン。グリーンパーク内のステーションです。若干自転車とドックの形がパリとは違うようです。もちろん日本でも上記の様に富山や名古屋でサービスが行われています。