M9.0の日

投稿日: Apr 20, 2011 4:44:4 AM

横澤です。

私もとりあえず、気のついたことを。

個人的な経験が主ですが、まず当日、私は理科大の旧富士見校舎に田中先生を訪問する予定で、途中のコンビニにいたところでした。

・3G網の脆弱性

揺れが落ち着きかけて、すぐに会社持ちのdocomoで職場へ連絡を試みましたが、すでに発信制限で不通。そのあと個人持ちのau携帯で自宅へかけると、相手の音声だけが聞こえますが、こちらからの声は届いていない一方通行の状態でしたがとりあえず無事は伝わったと思い、富士見校舎へ行きました。

その後、3G間の通信は翌日夜遅くまで十分回復しませんでした。

・IP網の(比較)頑健性

田中先生とひとしきりお話をした後で、UQWiMAXが普通どおり使えることに気がつきました。そこで普段はパリOECD/BIACの電話会議用に契約している、Skypeを使ってダイヤルアウトで家内のau携帯へかけてみると、すんなりつながりました。

その後、高齢者世帯である叔母のPHSへかけると、これも一発でつながりました。docomo携帯へのダイヤルは夜になって、かなり低い成功確率でかけることができました。

この間、田中先生の部屋でNHKニュースと、ニコニコ動画の中継で帰宅のための戦略を練りながら、事態の行方を見守っていました。正直最初には気楽に考えていた福島第一も、1時間ごとに事態がどんどん深刻になっていくのを見るのは、長いこと大学で原子力を学んだ身としても、はじめての経験でした。あまりにも情報が少なすぎて、不安感が水増しになっているかもしれないとは思いつつ、今までとは違う事態の進行を感じ、テレビで解説しているかつての先輩同輩後輩の、今は教授となっている方たちの話も、「こういう形でしか話すことができないのは仕方がないか」と思いつつ見ていました。

・レジリアンス(回復性)の軽視

まだ事態は進行中なわけですが、APEC杭州での防災ICTワークショップで、総務省で用意していた資料も、「事前の防災対策」や、現地被災後の先進技術を使ったネットワークサポートなどに限られていました。今問題となっているような、被災直後被害を拡大させない(とにかく津波から逃げる、原子炉の状態を正確に把握する)、また被害からいち早く回復させるといった観点でのICTは、私を含めて思いが足らなかったのではないかと思います。

今この瞬間も、河内さんのお書きになったように、以前のままのセキュリティ至上主義方針で本当にいいのか、よく考える必要があります。テレワークが進まないのも、理由のひとつはセキュリティですが、もうそんなことを言ってられないし、それを両立するためのビジネスや研究開発が経営を説得するレベルにまで早急に進化すべきです。

・ICTの広がりの軽視

ICTが役に立つ、というのと同時に、ICTが機能しないことの影響も今回浮き彫りになりました。先ほどの携帯電話網の障害もそうですが、それが東電の指揮系統に一部影響を与えたという報道もあります。東京でもこの影響は、被災地の半分くらいまでには大きく、みずほ銀行のトラブルがそのよい例です。東電の計画停電に振り回されて、鉄道網の運転に関する情報が混乱し、「動いているのを後で知った」という経験を強いられた人も多いと思います。

簡単なピアベースの情報共有、別な言葉で言うとクラウドソーシングにも近いですが、2ちゃんねるやtwitterほどごちゃ混ぜのカオスでなく、整理された形で表示でき、求心力を持ったサービスが一つあるだけでだいぶ違った気がします。これはみずほのシステムへの過大負荷をある時点で予防する機能も持ちえたのではないでしょうか?

・マスコミの限界

これもクラウド(crowd)ソーシングに近いかもしれませんが、主な情報は依然としてNHKや民放、新聞社に頼らざるを得ませんが、真実性というより、報道内容の偏向について疑念を抱くことがしばしばです。CNNやBBCなど外国メディアで先に放映される事実や映像がたびたびあるのは何故か、記者会見も本質的でない、事態を理解していないような愚問を繰り返す場面や、答える側も十分な情報がなく何のための記者会見なのかと思うこともいまだに続いています。情報の社会的共有も構造変化を求められているのではないでしょうか?

・外部性が表出した流通網と消費マインド

一時的なガソリン不足や、一部物資の買占めによる品不足のことを言っています。良い悪いという話ではなく、まだ軽率にマインドの変化というには早いかもしれませんが低資源消費社会へ向けての必要な試練ということもできるのではないかと思います。

以上、昼休みが過ぎてしまいますのでとりあえずここまでで、書きなぐりですがお送りします。

文章がおかしいところはご容赦ください。