【オンライン】第1回 本とのホントの対話「羅生門」

開催報告

20221119、早稲田哲学カフェの新企画「本とのホントの対話」の第一回を開催しました!

この企画は、事前に参加者に読んでもらった課題図書をもとに哲学対話を行うというものです。

対話は本を出発点としているため、普段と違った膨らみ方をして、とても新鮮で楽しい体験になりました。哲学対話の経験はなくても本は好き!という人にも必見です。

初回の課題図書は芥川龍之介の「羅生門」。

対話中には以下のような話題挙がりました。

参加者の感想

 冒頭部分で烏が登場しており、老婆の声も烏に例えていることから、この物語は烏特有のずる賢さや薄気味悪さを比喩しているという視点に気づけました。

 初めて「羅生門」を読んだ時は老婆が死体から髪を引き抜くことを悪だと思っていたけれど、対話を通して死体に対する捉え方が人それぞれであり、必ずしも悪と断定することはできないように感じました。具体的には、そもそも死体をただの「物質」として捉えることもできるから、そこから何かを盗る事に悪意を感じないという意見がありました。物事の判断基準として生死は大きな軸であるという風に感じました。

 人は悪事を働く際、罰という見返りに対して恐怖心があり、そのために自分より悪事をしていた人を言い訳にして自身を正当化するということを改めて感じました。その点で老婆も死人も共通していると思いました。

 死に関して、現代では「臓器移植」に対する論争があるけれど、死体を個人のモノと捉えるのか、あるいは彼らと関わりのある今生きている人に帰属性があるのか、様々な考えがあり難しさを感じました。