書いた時点でのプレイ時間:140時間
全実績解除、SL1クリア済
カジュアルゲーとしての感想・評価。SpeedrunやPvP等で真剣に遊ぼうとする人の事は知らん。(そうじゃなかったらグラフィックや世界観が評価基準に入ったりしない。)
ネタバレは含まないように気を付けたつもり。
【良い点】
作り込みや実質的なボリュームは他のオープンワールドと比べても圧倒的で、芸術性や世界観も洗練されている。UIや指示が最小限で没入感がある。
【個人差】
過去のフロムゲーのような死んで学ぶゲームプレイは期待できない。逆に言えば難易度がネックで遊び辛さを感じるプレイヤーも減る筈。
【悪い点】
若干の改善は見られるものの、ソウルシリーズから引き継いだゲームデザイン面の粗さが目立つ。
【ワールド】
マップが細部まで作り込まれていて飽きない。ブレワイのように「ん?」と思う場所には大抵隠し通路やアイテムが仕込まれていて、他のオープンワールドにありがちな「せっかく広い世界が広がっているのに探索のメリットがない」問題が軽減されている。クオリティも相まって探索が楽しい。巨大ダンジョンのクオリティはオープンワールドの中でも群を抜いている。
【ボリューム】
マップ・ダンジョン・モンスターの実質的な種類が豊富。巨大なゲームなので流石に使い回しも多いが、それを差し引いても他のオープンワールドと比べて圧倒的。
何気ない場所や隠し通路が巨大なマップやダンジョンに通じていることもままあってワクワク感がすごい。「こんな大規模な場所を隠しといて勿体なくない?」とまで感じる程度には贅沢。逆に言えば(特に自分のようにオフライン派のプレイヤーは)攻略を見ずに普通にプレイしていると、探索をそれなりに行っているつもりでも地域ごと丸々スルーしてしまう場合もある。
【UI】
最小限で洗練されている上、普段は隠れていて、それでいて不便さを感じさせない。この手のゲームにありがちな「ゴチャゴチャのUIが通常画面に散らかっているせいで綺麗な風景が台無し」のような現象は起きていない。
ミニマップの不在は個人的には好印象だが(あると風景よりそっちに目がいきがちなので)、それが不満なプレイヤーも一定数見かけた点は付記。設定でONにできる程度が丁度いいのかも。
【指示】
他のオープンワールドでは「進行中のクエスト一覧」があったり、進行中のクエストで次に行くべき場所がマップ上にマーカーで表示されていたりして、所謂"お使い感"が生じてしまっている事が多い。エルデンリングではクエストという概念が陽には存在せず、NPCとの会話から「多分こういう事をすれば話が進むのかな?」と自分で解釈しなければならず、行く場所も自分で考える必要があって"お使い感"が解消されている。
クエスト一覧が存在せずヒント等も少ないので、普通にプレイしていると忘れたりスルーしたりで多くのイベントを見逃す事になりがち。個人的にはそれで良いと思うし好みですらあるが、コンプ欲のある人にとっては実質攻略を見るのが必須になってしまっている点もある。
【その他】
・馬がすぐに出せて快適。馬を呼んでから多少のタイムラグがある程度ならともかく、馬を呼ぶのに場所や距離の制約を付けてしまったゲームは見習ってほしい。
・非戦闘時のダッシュがスタミナを消費しない。はっきり言って当たり前の仕様なのでこれで褒めるのもおかしな話だが、他のスタミナ制を導入しているゲームが尽くここでミスを生んでいるので一応記載。
【難易度】
初クリア後の率直な感想は「ボスが弱すぎる」。別に自慢をしたい訳ではなくて、倒したボスの行動パターンはあまり理解していなかったし、ダメージも頻繁に受けていた。悲しかったのは行動パターンを何も理解していない状態でもボスをゴリ押しで倒せてしまう点で、「死んで行動パターンを覚えて上達する」楽しみ方ができなかった。攻略記事等を見て強力な武器や技を使用していたプレイヤーの場合はもっと酷いことになっていたと思う。最初は探索のしすぎかと思ったものの、後にレベル1で挑んですら殆どのボスがゴリ押し初見で溶けたので流石に調整不足のように感じる。
遺灰(召喚獣のようなもの)はこれに拍車を掛けている。ボスが遺灰を狙って攻撃している間は殴り放題なので、ボスの攻撃の隙を見て攻撃する必要性が薄くなっている。
「ソウルシリーズの世界観は好きだけど難易度が厳しい」といった層がいた事は理解しているし、そういう層にとっては敷居が下がって遊びやすくなっているとは思う。
【自由度】
エルデンリングには崖登りやブレワイのパラセールのような要素が存在しない。「見える場所には行ける」オープンワールドの大前提自体はほぼ忠実に守られていて、高低差があったり障害物を挟んでいたりする場所には他の場所を介するなどして行く必要がある場合が多い。これだけ聞くと単に悪い点のようにも聞こえて、実際批判もされている。個人的には「そこから繋がっているのか!」みたいな驚きが好きだったし(詳細はネタバレも含みそうなので割愛)、そういったマップの接続関係の面白さもソウルシリーズから続く魅力だと思っているし、これはこれで楽しかった。
【数多くのステータスパラメータ】
個人的には嫌いなシステム。ゲームルールが無意味に肥大しているだけで汚い。
ステ振りによる成長システムも同様に好みではない。ステータスの振り直しはある程度簡単にできるので多少マシだが、自分の振ったステータスに合った装備や魔術しか使えないのはプレイの幅を狭めているだけのように思う。
…とはいえこれは結構尖った意見なのはある程度自覚していて、(例えばロールプレイングの一貫として)こういった数々のステータスパラメータの存在やステ振りを楽しむプレイヤーも多いんだろうなあとは思う。
【レベルシステム】
「そんな事言い出したらほとんどのRPGはそうじゃないの?」とツッコまれそうな気もするが、その気になれば雑魚を狩っていくらでも強くなれる単純なレベルシステムは普通に粗悪。「経験値稼ぎ」のような単純労働に走るプレイヤーが生まれるのはデザイナーの責任。上でボスの弱さについて文句を言ったが、そもそもレベルシステムを搭載してしまった時点で本質的には難易度もゲームバランスもへったくれもない。
死んだら普通にルーンも即失うべき。ルーンを取るために既にアイテムを取った場所にわざわざ訪れたり、ボス戦開始時にとりあえずルーンを拾ったりするのは地味ながらプレイ感を損ねている。
「レベルを上げると下げられない」という縛りプレイにうってつけの仕様があるので、難易度やレベルシステムが気になるプレイヤーはレベル1で縛ってプレイ出来るのは評価点。実際そういった文化がフロムの過去作から存在しているので、開発側もそういった感想を抱くゲーマーはレベル1でプレイすればいいと思って作っているのかも。実際レベル1でプレイすればこれらの問題は解消する。
【武器強化】
エルデンリングにはたくさんの武器が登場する。中にはユニークな特殊能力やモーションを持っていたり、単純にデザインが好みだったりで使ってみたいと思うものも沢山あった。
…が、このゲームでは数に限りのある貴重なアイテムを消費して武器を強化するシステムがあるので、1つの武器を使い続ける方が圧倒的に有利になってしまっていて、気軽に「お?この武器良さそうだな?試してみよう!」とはならない。とても勿体ない。
【ジャンプ、飛び乗り】
考えうる限り最悪の実装。微妙にズレたりして操作性が悪い割に小さい足場への着地を要求されたりしてストレスが溜まる。例えば「動く足場のタイミングを図り損ねて落下死」なら自分の責任だと思えるし次は頑張ろうとなるが、「謎の挙動で位置がズレて落下死」はこんなゲームがしたかったんじゃないと思ってしまう。(勿論実際にはこれらの挙動はプレイヤーの入力に対して決定的なので本質的にはやはりプレイヤーの責任ではある。プレイフィールの問題。)
その一方でせっかく導入したジャンプを戦闘面にほとんど活かせていない。SEKIROやブレワイのようにジャンプを利用して避ける攻撃があるのかと思っていたら一切そんな事はなく、明らかに下振りの攻撃でもローリングだと避けられるのにジャンプだと当たってしまう有様。一応ジャンプで避けられる攻撃も存在するが、それらは全てローリングでも避けられるどころかローリングの方が避けやすい印象。
ジャンプ攻撃は強くはあるが、これによって戦闘の深みが増したりはしていないし、「ガードを崩しやすい強力な攻撃」がジャンプ攻撃である必要性は微塵もない。
【雑魚敵】
ボスが弱い割に何故か雑魚は硬くて強い。別に難しいと文句が言いたいのではなくて、「雑魚は倒すメリットがほぼないので駆け抜ければOK」のプレイスタイルを更に助長する結果になってしまっている。
実際駆け抜けはある程度は仕方ないし、逆に雑魚を全部倒さないと先に進めないのもそれはそれで面倒なのも事実ではある。梯子を登っている間に攻撃を一定以上食らうと落とされるのでその付近の敵は倒したりする。これは是非活用すべきで、宝箱や扉を空けている間の無敵はない方がいいし、これらもダメージを受けたらキャンセルが入るべきだった。
【基本ルールの貧弱さ】
ゲーム中には弓、魔法、戦技、パリィ等の様々な要素が搭載されているし、それらを使ってプレイする事も何の問題もなくできるが、これらが全て選択的になってしまっている事で、ほとんど全ての敵は「相手の攻撃をタイミングよくローリングで回避して、そこで生まれた隙を付いて攻撃」で片付いてしまう。
SEKIROでは攻撃の対処は基本的なものだけでも「弾く」「ステップで避ける」「ジャンプで避ける」の3パターンがあったし、実質的には「見切り」も殆どのプレイヤーが使っていたと思う。
ブレワイも戦闘メインのゲームではない筈なのにこの点が非常に優秀で、弓や盾だけでなくシーカーアイテムまでが基本システムに組み込まれる事で、「ビームをパリィで弾き返す」「弱点を矢で狙う」「攻撃をジャンプで避ける」「マグネキャッチで鉄の塊をぶつける」等の豊富な戦闘のバリエーションが実現されている。
エルデンリング(とソウルシリーズ)はローリングだけで難易度を担保するために、プレイヤーの攻撃後の硬直時間を長くしたり操作の発生を若干遅くしたり等の処置を施しているように思えてしまう。アクションがメインのゲームの筈なのに、アクションが全体的にもっさりしているのはどうなんだ?
若干ネタバレになるが、ラスボスにだけは「攻撃の合間を利用して位置を調整」「連続攻撃を走りながら避け続ける」「ジャンプで障害物を飛び越えて危険地帯を抜ける」等の操作が要求される面白い行動が搭載されていて、(理不尽な技が1つ搭載されているものの)好評価。それだけに「じゃあ他のボスの行動ももっと色々考えられたんじゃ…」と思ってしまって残念な面もある。SEKIROやブレワイの例を挙げはしたものの、実際の所ローリング、ジャンプ、ダッシュ、攻撃の基本システムだけでももっと敵の本質的なバリエーションは豊かにできた筈。